人材獲得の新時代:AIで加速する採用活動
採用活動についても例外ではなく、デジタル化が急速に進んでいます。一方、DXの目的はデジタル技術を活用して競争上の優位性を確立することですが、採用活動のDXの現況としては、ほとんどが表面的なデジタルツールの導入にとどまっており、競合他社と明確な差別化ができている企業は多くありません。
そこで今回は、最新技術による革新的な採用DXの進め方についてご紹介いたします。
採用活動におけるDXの現状と課題
DX推進の動きが様々な領域で急激に拡大していく中で、企業の採用活動においてもデジタル技術の導入が進められています。自社HPや就活情報サイト、オンライン面接等は多くの企業の採用活動で活用されており、インターネットを介して全国から応募者を募集することが採用のスタンダードになりました。
一方、応募者の母数が増加したことで、採用担当の業務負荷は以前より大きくなりました。多数の応募者の中から自社に合った人材を見極めるために面接回数を増やす傾向があるため、応募者一人あたりの採用に要する時間・業務負荷も増大しています。
また、せっかく多くの時間と手間をかけて採用したにもかかわらず、自社でパフォーマンスを十分に発揮できなかったり、定着できずに退職してしまったりするケースもよく耳にします。こうした状況の中で、AIを中心とした最新テクノロジーを活用した採用業務改革が注目を集め始めています。
AIを活用することで、選考に要する時間・業務負荷を小さくしながら、企業にマッチした人材を採用することができるようになりました。実際に、AIの活用によって初期選考(書類選考・一次面接)の選考時間が97%減少し、内定承諾率が10%以上増加したというケースも登場しています。
最新のデジタル技術の登場が採用業務をどのように変えるのか、次のチャプターで詳述します。
採用活動における最新DXソリューション
採用活動の選考プロセス別に、最新のDX事例をご紹介します。
① 書類選考
面接を行う応募者を絞り込むために、まずはエントリーシートを確認する必要がありますが、記載内容の確認に時間がかかる一方で、面接をしてみたらイメージと違っていたというケースが多く発生しています。現在は書類選考をAIが支援してくれるサービスが複数存在します。
例えばとあるサービスでは、過去の応募者のエントリーシートと選考結果をAIに分析させることで、自社固有の書類選考AIを構築することが可能です。あとは応募されてきたエントリーシートをAIに読み込ませることで、AIが記載情報を診断し、過去に内定を出した応募者と類似の傾向のエントリーシートを優先的に採用担当に提示してくれます。その後の選考結果をAIにフィードバックすることで、書類選考の精度をさらに高めることも可能です。
② 適性検査
適性検査(性格検査)は多くの企業で実施されている選考プロセスですが、検査結果を活用しきれていない企業が多いのが実態です。仕事への意欲や社交性が高い応募者をそのまま高く評価しがちですが、本当に重要なのは自社に合った人材かどうかです。どれだけ意欲があっても、自社のカルチャーに合わなければ、早期退職につながってしまいます。
最新の適性検査サービスでは、自社の中で活躍している社員の性格を分析することで、どんな性格・考え方の人が定着・活躍しやすい会社なのかを特定し、自社だけの適性検査基準を策定することができます。なんとなく候補者のスクリーニングを行うのではなく、自社にマッチした性格傾向の人材の選考に時間をかけることができるようになります。
③面接
面接は採用活動において最も重要な選考プロセスですが、企業側の負荷が最も大きい選考プロセスでもあります。面接のDXの方向性としては、大きく二つのパターンに分かれています。
一つ目は、AIによる面接代行サービスの利用です。
人の面接官の立ち合いは不要で、AIがオンライン会議形式で応募者との面接を行うサービスが複数登場しています。AIは応募者の発言を音声認識し、適切な質問をリアルタイム生成し、応募者に投げかけます。
AIによる面接代行の場合、企業側の面接官の稼働を減らすことができるほか、応募者の発言内容・態度から志望度・社会人としてのベーシックスキルを公平な採点基準で評価することができます。24時間365日面接可能であるため、応募者側の都合のよいタイミングで面接することができ、機会損失を最小限に抑えることができるのも強みです。一次面接をAI面接で対応し、二次面接~最終面接を人の面接官が対応するといった使いわけによって、面接に割く人的リソースの最適化が可能となります。
二つ目は、人の面接官が対応した面接の録画データをAIが分析するサービスの利用です。
AIが面接代行を行わない分、分析能力に特化しているサービスが多いのが特徴で、過去の面接録画と入社後の評価情報をAIに学習させることで、会社ごとに活躍できる人材の特徴を抽出することができるサービスもあります。新しく面接した応募者の録画データをAIに分析させることで、話し方・発言内容等の情報から、自社でどれくらい活躍できそうかシミュレーションすることができます。
【図1】最新DXソリューションの導入効果
採用DX改革の進め方
最新DXソリューションの事例をいくつかご紹介しましたが、これらのソリューションをやみくもに導入しても採用DXはうまくいきません。例えば面接一つを取っても、効率化できるDXソリューションは様々あり、改善するアプローチも改善効果も様々です。各社のかかえる採用上の課題や、現在使用しているデジタルツールによって、導入効果が最も大きくなるソリューションは異なります。
また、計画的にツール選定・導入を進めないと、結局使われないツールを導入してしまったり、手戻りで余計な費用がかかってしまったりする等、限られたリソースを無駄に消費してしまうことにもつながります。採用DX改革を成功させるためには、採用活動の現状整理(業務観点/システム観点)・採用戦略の具体化から開始し、世の中に出回っている多数のDXソリューションの中から、自社に必要なソリューションの選定を行うことが必要です。加えて、導入したら終わりではなく、継続的に効果検証を行い、改善施策検討やツール継続是非の検討を素早く行うことが重要です。
今回ご紹介した事例について気になる点・ご不明な点がある方は、是非当社までお問合せください。
【図2】採用DX改革の具体的な進め方(一例)




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この記事の執筆者
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間部 裕之DX事業部
マネージングディレクター -
田中 智行DX事業部
シニアコンサルタント
職種別ソリューション