ポスト2027年の基幹システム

ポスト2027年の基幹システムに求められる5つの目標と4つのトランスフォーメーション戦略

デジタルテクノロジーによるイノベーションが、私たちの社会や経済を変えていくスピードは、ますます加速しています。世界中に行き渡ったユビキタスなネットワークとスマートデバイスは、私たちのコミュニケーションスタイルを大きく変えただけでなく、個人情報の透明化やプライバシーの消滅といったリスクももたらしています。ブロックチェーン技術の発明は、仮想通貨やNFTを生み出し、金融機能のデジタル化とも相俟って、無形資産経済化をさらに加速させています。企業活動や消費者の生活でも一般化しつつあるAIは、仕事の生産性や生活面での利便性、質を高めていますが、利用にあたっての評価や価値判断、新たな倫理観を要求しています。
こうした革新的なイノベーションが、ほんの数年のうちに行き渡り、消費者の行動様式や価値観、自社の製品やサービス、社員の働き方や意識を、これまでに経験したことがないようなペースで変えていってしまう時代にあって、企業は自社の基幹システム(旧来の集中型システムだけでなく、企業活動の基盤・中核となる分散したシステムも含みます)を、今後どのように変えていくべきでしょうか。

基幹システムを巡る問題

多くの企業のCスイート(CEO、CFO、CIO等)にとって、基幹システムの問題は、なかなか解決が難しい、古くて新しい問題だと思います。重要な問題として、常に頭の片隅にはあっても、いつも先送りになってきたのには、以下のような理由があるのではないでしょうか。

  1. 自社のコアビジネスのモデルやオペレーションプロセスは、大きく変化しておらず、今のシステムが最もフィットしている。
  2. 再構築に掛かる大きな投資を正当化できるだけのリターンが見出せない、説明できない。
  3. 技術変化のスピードが速すぎて、いつやるべきか決めきれない、確信が持てない。
  4. 社内にプロジェクトを任せられるリーダーがいない、要員や知識が不足している。
  5. これまでに大規模な再構築プロジェクトはやったことがなく、どのように進めていくのか、イメージができない。

基幹システムを再構築する目的は、サーバやアプリケーションパッケージのサポート終了や陳腐化、保守要員の高齢化といった受け身のものだけに留まらず、デジタルテクノロジーのイノベーションを自社に取り込み、内外の経営環境の変化に積極的に対応することにあると言えます。
ポスト2027年の基幹システムのあるべき目標を定め、実現のためのトランスフォーメーション戦略を推し進めていくことが求められます。

ポスト2027年の基幹システムに求められる5つの目標

アーキテクチャ

消費者や企業等の顧客が求めるものは、モノからサービスへとさらにシフトしていきます。モノの供給とサービスの供給という、大きく異なる2つのバリューチェーンの基盤となることや、モノリシックから疎結合・マイクロサービス型のアーキテクチャが目標となります。

データ

数字やコードといった企業内部で作り出された構造的なデータだけでなく、エッジやインターネットから大量に流入する画像や音声、センサー、チャットやツイートのような不定形テキスト等の非構造的なデータを蓄積、活用していくためのデータ基盤の構築と運用が目標となります。

プライバシー

国や地域で異なるプライバシー保護に関する法令・規制・基準への対応と、生成AIのような新たなテクノロジーの利用を前提としたガバナンスの確立と運用が目標となります。

セキュリティ

ゼロトラストとともに、外部ネットワークに接続したセンサー等のOT(オペレーションテクノロジー)を含めたセキュリティの構築と運用が目標となります。

インフラストラクチャ

クラウドシフト・クラウドファーストをさらに進め、可用性やROIを高めるとともに、レジリエントなインフラストラクチャの構築が目標です。

実現のための4つのトランスフォーメーション戦略

IT組織・人財

旧来の外部ベンダー依存から、自社エンジニアによるイニシアティブ志向、内製化を推し進めていく必要があります。自社ビジネスにとって価値を生み出すであろう新しい技術の探索、試行、評価を継続的に行っていける体制づくりと、定型的事務業務を前提とした組織構造から、プロジェクト型の組織への漸進的に変えていくべきと考えます。

グローバル・グループ展開

日本企業のグローバル化は、今後もさらに発展していきます。M&Aやパートナーシップ、リージョナル経営構造等の変化に対応していく必要があります。そのためにはITガバナンス、明文化されたポリシーによるコントロール、ITに関するPMIメソドロジーの確立等が求められます。

ソリューショニング

必要な機能を備えたパッケージやソフトウェアを評価、選定するというソリューショニング手法に加えて、パブリッククラウドのマネージドサービスやオープンソースを用いたソリューショニングが、新しいサービスを社内外にスピーディに提供していくための鍵になると言えます。

開発アプローチ

ベンダーに依存したウォーターフォール型の開発アプローチだけでなく、アジャイル、DevOpsといった新たなアプローチを取り込んでいく必要があります。

【図1】ポスト2027年の基幹システムに求められる5つの目標と4つのトランスフォーメーション戦略

次回以降の配信では、弊社コンサルタントが、ポスト2027年の5つの目標と4つのトランスフォーメーション戦略について、これまでの構想策定やプロジェクト実行支援の経験を踏まえ、ひとつずつご紹介してまいります。
弊社では、「日本の企業を強くする」 というパーパスの実現を目指して、デジタル戦略の策定からトランスフォーメーションの実行に至るまで、一貫して支援をさせていただいております。

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