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GRCとは、「Governance・Risk・Compliance」の略であり、独立した3つの概念を統合的に全社統一で管理することで、効率的な企業経営を手助けするリスク管理のフレームワークです。 一般的に、Governanceとは、企業方針等を徹底し、組織としての目標を策定・達成する仕組みです。また、Riskとは、企業運営上のリスクを把握・管理する仕組み、Complianceとは、企業内での法規制・社内規定を準拠しているかの管理を行う仕組みです。GRCに取り組む事により企業内のリスク管理のレベルを向上させることができます。
GRCが必要な理由は、ビジネス環境の変化による以下の3要因への迅速な対応が求められるからです。
現在のビジネス環境変化のスピードは速く、上記の3要因に求められる要件は目まぐるしく変化していきます。また、Governance・Risk・Complianceの3要因は密接に交わっており、相互作用関係にあります。その為に、現在の3要因が独立した管理体制では、現在のビジネス環境変化のスピードに対応する事が出来ないので、GRCを適切にマネジメントすることが企業経営に求められています。
GRCを実行するのは、導入時は経営者及び経営幹部等の全部署の管理に跨る人材が望ましいです。 GRCを適切にマネジメントしていない企業では、個々で情報を管理しているので、縦串・横串共に情報の共有が出来ず、非効率な管理となっています。G/R/Cをそれぞれ独立した部署で管理している事も多く、問題に対しても都度対応するため、管理部署が複数に跨り、かつ階層も分化してしまう状況となっています。このG/R/Cを取り扱っている人が多岐に渡っており、統一的な管理を行っていない状況では、情報が細分化してしまい、リスク管理における方向転換等を迅速に行う事が出来なくなり、リスク管理としての機能を喪失してしまいます。 「なぜGRCが必要なのか」でもお話ししましたが、GRCは急速に変化するビジネス環境に対応する為のリスク管理のフレームワークであり、全社管理で行うものです。その為、導入時は全体を管理する経営層が実行し、導入後は関連執行部門が連携して実行する必要性があります。
コーポレートガバナンスコードとは、Governanceの向上を目的に2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で策定したものであり、2021年6月に改訂されました。企業がステークホルダーの立場を考慮し、迅速に公正な意思決定を行う仕組みです。 コーポレートガバナンスコードの基本原則は以下の5つです。
GRCを行う事はコーポレートガバナンスコードを準拠する事と相関関係にあります。 GRCを行う事で、全社での内部状況を正確に把握し、リスク管理を徹底することで、適切な情報の公表が可能になります。また、コーポレートガバナンスコードにおける多様性の確保等によるRiskの増加はGRCを行う事で対応出来ます。その他の原則に関しても、コーポレートガバナンスコードとGRCでは相互関係にあります。
GRCにS(Security)を付記してGRCSと呼ぶこともあります。前述しているようにGRCとは、企業の方針・目標を策定し、リスクとなる要因を分析・管理しステークホルダー準拠しているかを管理する事で、目標を達成するフレームワークです。昨今のランサムウェアやDos攻撃、情報漏洩などのSecurityリスクは企業の事業継続における重大な脅威になっており、CISOを任命して経営がSecurityリスクをコントロールする態勢が必要になってきています。Securityも経営方針を定め、リスクを分析し対応する事から、GRCと同様のアプローチであるといえます。 一方、違った意味でのSecurityの側面もあります。GRCは全社の情報を一元で管理するので、クラウド等のシステムに全ての情報が管理されます。その為、社員による不正取引等が起こりやすくなるのです。これらを防ぐために、GRCを行う際は、アクセス権限の管理・セキュリティシステム等を導入するといった対策を行うことも欠かせません。
今後、ビジネス環境の変化は加速すると考えられます。コーポレートガバナンスコードでも多様化の項目が追加された様に、企業の内部・外部環境共にますます変化していきます。現在の日本ではGRCはまだまだ進んでいませんが、一足早く導入することで企業運営を効率化し、今後の変化に備える事が求められているのです。
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