ガバナンス改革
ガバナンス改革とは、会社が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえたうえで、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みについて改革していくことです。
日本企業の持続的成長と中長期的企業価値向上のために、2014年にコーポレートガバナンス・コードが制定されました。その後、さまざまな提言や改訂が行われ、ガバナンス改革の重要性はますます高まっております。ESG投資が盛んになり、ESGの観点からも企業が評価される今日においては、G(Governance)を改革していくことは、資本市場からの評価の面においても重要です。
レイヤーズでは、取締役会などの機関設計、企業内の意思決定の仕組みやマネジメント体制、資本効率向上のためのさまざまな取り組みの推進などを支援するコンサルティングサービスを提供しています。
コーポレートガバナンス・コードの制定・改訂
コーポレートガバナンス1.0では、ROE8%を上回ることを求められました。このため、多くの企業は期待される資本コストを上回るROEを達成するための資本効率改善施策が必要でした。
コーポレートガバナンス2.0においては、着目すべき経営指標としてPBR1.0以上が求められました。ROE8%以上での資本効率向上に加え、将来期待を高めていく経営として、無形資産投資、ESGへの対応といった中長期的な企業価値向上のための積極的投資が必要と言えます。
また、2021年6月改訂においては、『稼ぐ力』を取り戻すという観点から、
1.取締役会の機能発揮
2.中核人財における多様性の確保
3.サステナビリティを巡る課題(TCFD対応等)への取り組み
に関する開示の拡大・強化が求められました。
上記の要請に応え、持続的成長と中長期的企業価値向上のため、日本企業においてはコーポレートガバナンス改革の必要性がますます増していると言えます。
【図1】コーポレートガバナンス・コードの制定・改訂
ガバナンス改革を推進するうえでの重要視点
ガバナンス改革を推進していくためには、ステークホルダーとの協働と対話、取締役会等の機関設計、コンプライアンスやリスクマネジメントへの対応、適切な情報開示などさまざまな取り組みが必要です。
また、取締役会の役割が、経営の意思決定から経営陣による執行の監督に移行していく中では、経営陣の執行を担保するマネジメントシステム(広義の内部統制)が不可欠です。
【図2】攻めのガバナンスと守りのガバナンス
ここでは特に、大胆な事業構造の転換、中長期的な企業価値向上のための積極的投資など強力に推進していくために、経営陣がアクセルとブレーキをスピーディに踏み分けられる柔軟で強靭な「攻めのガバナンス」を中心にご説明します。(「守りのガバナンス」は、リスクマネジメント強化、内部統制強化、コンプライアンス強化でご説明します)
コーポレートガバナンス改革における「攻めのガバナンス」を実現する上で特に重要な視点を5つご紹介します。
①マネジメントシステムの全体像の明確化
②経営理念やミッションの明確化と浸透
③ストーリーを持った経営戦略・経営計画の策定
④マトリクス組織における横串機能の強化
⑤意思決定プロセス(各社の権限・責任)の再設計
マネジメントシステムの全体像の明確化
攻めのガバナンスを進めていくためには、経営陣の執行を担保するマネジメントシステムの全体像を明確化し、それぞれを具体的に整備・運用する必要があります。
レイヤーズでは、マネジメントシステムを下記の図のように6つの領域から捉え、具体的なマネジメントシステムとして整備しています。
【図3】マネジメントシステムの全体像
経営理念やミッションの明確化と浸透
経営理念やミッションは、投資家、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとするさまざまなステークホルダーとの協働の基盤となるものですから、これを明確化しグループ内に浸透することが不可欠です。
また、不確実性の高い環境で健全な意思決定をスピーディに行っていくためには、経営理念やミッションからみて、正しいことや大切なことを判断できる価値観やバリューも定め、これらを国内外の事業活動の第一線にまで広く浸透させ、遵守されるようにすべきです。
これらは日常的には見えない部分ですから、これらを具体的に表すもの(見える部分)として業務プロセス、マネジメント方法や組織体制などをグループの構成員に示していくことが重要です。
【図4】経営理念やミッションの一気通貫での浸透
ストーリーを持った経営戦略・経営計画の策定
経営戦略・経営計画がない会社は、ほとんどないと思いますが、例えば中期経営計画が数回に渡って未達であったり、選択と集中、DX化、DE&Iなどの用語が先行して、その実行性に疑問がつくケースも多く見受けられます。
経営戦略・経営計画においては、投資家や従業員にとって、納得性・合理性があり、それらの実行性が担保されているものになっているか、再度チェック・検討すべきです。特に、大胆な事業構造の転換、中長期的な企業価値向上のための積極的投資などについては、より具体的で実行性のあるストーリーを語ることが重要です。
また、資本市場や投資家との対話と自社内の経営指標や経営計画が違うという「ダブルスタンダード経営」も見受けられますが、社外と社内でストーリーが異なることは避けるべきと言えます。
【図5】ストーリーを持った経営戦略・経営計画
マトリクス組織における横串機能の強化
経営のグローバル化に伴い、日本企業においても、製品、顧客、エリア、機能といった観点からのマトリクス組織を採用せざるを得なくなっています。しかし、マトリクス組織は、その設計・運営が難しい組織形態であり、それが十分機能している企業は少ないと言えます。
経営環境の変化や目指す戦略から見て、マトリクス組織の各次元(事業、製品、エリア、顧客、ファンクション等)から有効かつ十分な管理体制となっているかを再評価し、マトリクス組織が機能不全を起こしていないかを検証する必要があります。
特に、激しく変化する経営環境においては、CXOにより事業やエリアへの横串マネジメント機能を強化することが重要です。
【図6】マトリクス組織におけるマネジメント
意思決定プロセス(各社の権限・責任)の再設計
グループ会社においては、グループ会社間の意思決定範囲・方法が曖昧なケースが多く見受けられます。事業のライフサイクル上の位置付け、事業リスク、事業規模などを考慮していない画一的なマネジメントをしていては、戦略的な企業価値の向上はできません。
グループ各社の戦略的位置付けと関与度を明確化したうえで、親会社、子会社、関連会社の各社の意思決定範囲・方法を再設計すべきです。
【図7】戦略的位置付けと本社の関与度
レイヤーズのガバナンス改革の構築ステップ
ガバナンス改革は、各社を取り巻く環境や直面する経営課題などによって取り組むテーマが大きく変わってくるため、検討の進め方は各社ごとに異なります。
皆様の抱えている課題に合わせてさまざまなサービスを用意しておりますので、詳細は是非お問い合わせください。
【図8】レイヤーズのコーポレートガバナンス改革のサービス
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