製品アーキテクチャー
製品アーキテクチャーとは
製品アーキテクチャーとは、製品機能に対する顧客ニーズや潜在的な技術・コアコンピタンスが将来どのように関連し、発展していくかを構造化し明確化したものです。
自社の製品アーキテクチャー分析を通じて、自社の製品におけるコア・ノンコア領域を定義し、製品仕様・機能を標準・オプション・カスタマイズ領域に峻別してモジュール化するなどに活用されます(アーキテクチャー設計)。
現状の製品構成の課題
- 製品構成の自社における競争優位の源泉が不明確
- 製品バリエーション(派生商品)が多く、顧客仕様に合わせたカスタマイズ品も多い
- 顧客の要求仕様に対して、その都度ゼロベースで設計を行う
- モジュール化していてもモジュール間の相互依存性が強く、結局ゼロからに近い設計になる
- 都度設計するので、結果として試作やテストも全て実施しなければならない
製品アーキテクチャーを変革するに際しての重要ポイント
① 製品構成のどこをコアにし、どこを外出しするか峻別
- 要求と仕様の関連が整理されていないと軽微な変更が生じても影響範囲が大きくなってしまいます。顧客要求の分析と性能・仕様との関連性を明確化し、機能の組み合わせで製品の多様性に対応できる仕掛けを構築すれば、要求と仕様の粒度をコントロールする事で、コスト削減ができます。また、機能の優位性、自社のコア技術を明確にする事で調達方針を決める事ができます。
- コア機能は自社内技術として、他社に真似ができない技術領域を磨いていきます。コア機能はアップデートが可能なモジュールとし、コア機能のアップデートによる顧客満足度の向上および自社内に高付加価値をもたらす戦略的領域として位置付けます。
② 製品構成(モジュール構成)の細分化・見直し
- 現状の製品構成(モジュール構成)は部品単位でのモジュール構成となっていることが多いですが、機能との関連で見ると機能と部品モジュールがN:Mになっていることが多いです。しかし、自社の機能的優位性を明確にし、コア・ノンコアを峻別してモジュール群を定義するためには機能と部品の相互依存関係の相関度を見ながら、機能単位でモジュール群を再構成、見直すことが必要となります。
③ アーキテクチャー設計における、グローバル/ローカルの峻別
- コア・ノンコア機能を峻別し、各種モジュール間を依存度無く再構築することにより、マスカスタマイゼーション対応が可能になるとともに、世界各地(ローカル)のニーズへの対応も可能となります。
- コア機能を最小単位のモジュールとして設定し、グローバルに展開を行う際は標準周辺モジュール+各種モジュール(ローカル/個別/カスタム)でローカル対応します。各種モジュールは、各地で独自の開発生産を行う事を可能とします。
- その際、確立されたインターフェースを用いてローカル各拠点で開発を行う事で、製品全体としての品質を低下させることなく早期に市場へ投入する事が可能になります。