CDOって何のため?
~デジタルだけじゃない、データマネジメントのトップの重要性~

CDOとは、「Chief Digital Officer」(最高デジタル責任者)の略称です。
組織のDXを推進の観点から企業戦略の立案・実行を支える立場であり、日本企業においても年々設置率は向上しています。
 
しかし、CDOにはもう一つの略称があります。
それが「Chief Data Officer」(最高データ責任者)としてのCDOです。
企業の資産たるデータをキーワードに、その収集・保管や利活用といったデータマネジメントを通して、企業内のデータ戦略を策定していく立場です。
 
今回は、Chief Data Officerの旗振りのもとデータの観点から企業価値向上の一翼を担う取り組みついてご紹介します。

Chief Digital Officerとは、陥りやすい課題

デジタル時代の急速な変化において、デジタル技術の導入や活用を通して、企業の収益性や競争力を向上させることが「Chief Digital Officer」の役割です。
以降はCDO(デジタル)と呼称することにします。
昨今においてはビッグデータ、IoT、AIなどの技術を用いて新たなビジネスモデルや市場における機会を探り利益を最大化することが期待されています。言い換えるならCDO(デジタル)はDXの旗振り役です。

しかし、身の回りでCDO(デジタル)を設置している企業においても最適なDX施策立案ができず、効果の低い施策を乱発しているケースに心当たりはないでしょうか。
その理由の一つとしてデータドリブンな意思決定ができないことが挙げられます。
また、データドリブンな意思決定ができない原因を深掘りしていくと、データマネジメントが十分になされていない場合が多く見受けられます。

データドリブンな意思決定プロセスの中において、陥りやすいデータマネジメントの課題(阻害要因)は4つに分解できます。
I.   見切り発車のデータマネジメント
II.  サイロ化された業務データ
III. 集まらない分析データ
IV. 効果不明の施策実施結果

【図1】データドリブンな意思決定プロセスとありがちな阻害要因

次稿では、これらの課題(阻害要因)を解消していくため打ち手の一例をご紹介します。

Chief Data Officerを設置し、データマネジメントを促進せよ

データは企業における重要な資産であり、日本企業においてもデータの重要性の認知は日々増してきています。しかし、せっかくデータを収集や蓄積しているにも関わらず、適切に活用できていない企業が多くあるのも事実です。

必要なデータの精度や鮮度が高い状態で取得できるような環境を構築するためには、データマネジメントが重要です。データマネジメントの実現に向けて、はじめの一歩を踏み出すことが、データドリブンな意思決定、またその先の競争力獲得へ繋がります。

I. 必要なデータの定義
最初のステップは「どのような分析を行うか」の指針のもと、「そのためにどんなデータが必要か」を定義することです。必要なデータの定義にはデータの種類や形式、ソースも含まれます。

II. データ統合基盤の整備
多様なソースから取集されるデータを一元的に管理し、分析や利用を容易にしていくためにはデータ統合基盤の整備が必要です。データウェアハウスやデータレイクの構築、ETLプロセスの設定なども本アクションで行います。

III. データカタログの整備
データカタログは企業内のデータの検索や理解に有用なツールです。
データカタログを整備することで、管理対象となるデータの理解や活用の促進に繋がります。

IV. 効果測定し、次に活かす
データマネジメントの取り組みはビジネスの成果に繋げることが重要です。「やって終わり」ではなく、効果を測定・評価し、ネクストアクションに繋げることで、その先のビジネスの成果や新たな気づきが得られるようになります。

【図2】データマネジメントの実現に向けた4つのアクション

データマネジメントを始めてみたが成果がでない?
~大事なことは巻き込みと見極め!~

データマネジメントの推進を始めたものの、当初想定していた成果がなかなかでない企業もあるのではないでしょうか。
日本IBM社の調査によると、データ管理(データマネジメント)上の課題においても、「経営層の支援が不十分」がCDOを設置している企業/日本企業ともに重要視している課題となります。この調査結果からも単にデータマネジメントの環境を整備するだけでなく、経営層の旗振りのもと推進していくことが重要であることがわかります。

【図3】組織が抱える最も差し迫ったデータ管理上の課題

部門単位でスモールスタート的にデータマネジメントを始めていくことも重要ですが、経営への活用を考えると、一部門の担当者の努力だけでは限界があります。そこで起爆剤の役割を担うのがChief Data Officerです。以降はCDO(データ)と呼びます。CDO(デジタル)がDXの旗振り役であるのに対して、CDO(データ)はデータの観点から経営を支えますのでデータマネジメントの旗振り役といえます。

CDO(データ)が果たすべき旗振り役としての役割を3つ挙げます。

1. データ戦略の策定と実行

企業全体のデータ戦略の策定から実行・評価までの一連のサイクルを、経営層の立場からリードすることが最も重要なミッションです。

2. データガバナンスの強化

サイクルを回すことと同時にデータガバナンスのポリシーとプロセスの策定と、それを実行するためのCDO(データ)組織を整備することで、データの品質・セキュリティ・プライバシーを確保するためのデータガバナンスを強化します。

3. データ文化の醸成

データマネジメントの活動を全社に普及させるためには、「データを活用する」風土の醸成も不可欠です。データリテラシーの向上やデータ活用のベストプラクティスの共有を通して、社内への横展開を図ります。

【図4】データマネジメント全社推進に向けた進め方の例

レイヤーズでは、顧客の状況に寄り添った全社的なデータマネジメント推進はもとより、データマネジメント促進のカギとなるCDO(データ)の設置に向けた組織設計のご支援をしております。
もしお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

  • 大橋 遊
    大橋 遊
    経営管理事業部
    マネージャー
  • 米山 敬仁
    米山 敬仁
    経営管理事業部
    マネージャー
  • 提 大輝
    提 大輝
    経営管理事業部
    シニアコンサルタント

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