データ活用した「真のデータドリブン経営管理」
~プロセス効率化重視からデータ活用目的の経営へ~

ここ数年、新型コロナウイルス感染症によってテレワークが定着化し、ネットサービスが強制的に拡大しました。ただ、そこで分かったことは、日本企業のDXへの取り組みが進んでいないという事実でした。
これからは、企業を取り巻く環境がデジタル化され、企業自体もDXを推進し、経営意思決定情報の多くがデジタル化されて行きます。経営におけるデータ活用は、こうしたデジタル化の波の中でますます重要性が高まっております。

今回は、データを活用した「真のデータドリブン経営管理」を実現するための要諦をご紹介します。

データ活用して変化を捉え、迅速な意思決定をすることが重要

昨今、世の中では「VUCA(Volatility:変動、Uncertainty:不確実、Complexity:複雑、Ambiguity:曖昧)の時代」と言われ、変化が大きく、先が見えず、正解がない時代になっています。
このようなVUCAの時代、取り巻く環境が変化し、将来予測が困難な状況においては、迅速な情勢判断と予測と決断が求められます。今までのしっかりと詳細な計画の立案に時間をかけるPDCA型は先が見えない時代では機能しません。的確な状況判断に基づく迅速な実行を目的とし、状況を見て判断し、意思決定して、行動していくOODA型に経営スタイルを変えていく必要があります。
OODA型においては、データ活用して変化を機敏に捉え、迅速な意思決定をすることが重要となります。

【図1】PDCAサイクルからOODAループへ

データに基づく経営が重要視されてきている

【図2】左は総務省が2020年に日本企業におけるデジタルデータの活用に関する実態をまとめたものです。「経営におけるデータ活用」に関する調査結果となり、データ活用に関連した取り組みとして、「データ分析人材の採用」、「データ活用戦略の策定」、「データ分析に基づいた経営判断の実施」を挙げた企業が4割程度となっています。3年前は、2割に満たない状況でしたが、徐々にデータに基づく経営が重要視されてきていると言えます。

また、【図2】右は経済産業研究所が2020年に行った実態調査をもとに、企業のデータ利活用の成果に関する回答をまとめたものです。データ利活用への期待は大きいが、具体的な成果が得られている企業は一部に過ぎず、多くの企業はまだ成果が得られていないと言えます。

【図2】(左)経営におけるデータ活用の状況/(右)データ利活用のこれまでの成果

プロセス効率化重視からデータ活用目的の経営へ

これまでのシステム構築においては、特にERPに関しては、業務プロセスに合わせたFit&Gapのアプローチであり、どのようなデータが発生するのか意識してきませんでした。そのため、多くの企業で別途データをかき集めて経営管理を実施しており、情報の粒度、鮮度、精度においても不十分と言えるのではないでしょうか。また、業務効率化を目指した側面もあり、経営を意識したシステムではありませんでした。

しかし、今後はデータ活用目的でシステムを構築し、真の意思決定ができる姿を目指すべきです。
即ち、いかに早く経営に必要なデータを取り出せるかが重要であり、そのためにデータ活用を目的としたFit to Dataのアプローチで、正しいデータを迅速に活用することが出来ることを目指すべきです。それにより粒度は細かく、鮮度は新しく、精度は高いデータを提供することができる経営を意識したシステム、つまり「真の意思決定ができるシステム」が実現できます。

【図3】Fit To Dataアプローチ

データ活用を下支えするデータマネジメント

データ活用を実現するため、下支えする仕組みづくり、即ち、データマネジメントが重要となります。せっかくデータを収集、蓄積しているにも関わらず、適切に活用できていない企業が多くあるのも事実です。欲しい時に欲しいデータがすぐ取れる、データが常に鮮度が高い状態、精度が高い状態が理想とする姿であり、これらを実現するため、データマネジメントを整備する必要があります。

データマネジメントの要諦

では、データマネジメントの実現に向け、実際に何を準備・検討しなければならないかというと現状の把握と今後の拡張性および体制を考慮する点が挙げられると思います。

【図4】データ活用を支えるデータ基盤の構築

①データかいぼり/カタログ化

ERPの外側のシステムはパッケージではなく手組みで構築され、サイロ化が進んでいることが多く、単純にデータを収集するだけでは、もう一つサイロ化したDBができることになります。従って、社内にどのようなデータがどういった形で存在しているのかについての視える化(データかいぼり)をすることが重要となります。また、「社内にこのようなデータがありました」だけでなく、カタログ化して意味付けしておかないとあとで混乱することになってしまうため、合わせてカタログ化することが重要となります。

②クラウド

オンプレでも可能ですが、クラウドの一番の特徴として安価で構築することができることです。クラウドは従量制のモデルを使用するので、高い費用対効果を実現できます。
また、より簡単にかつ迅速に開始でき、将来のニーズ拡大に応じてスケールアップも可能です。

③データマネジメント体制
データについては、一度きりの整理・整頓ではなく、そのデータ品質を維持していく活動が必須となります。現場の生データを集めてくることになり、データの中身は刻一刻と変化するため、データスチュワード中心のデータマネジメント体制の構築が重要となります。

今回は、データを活用した「真のデータドリブン経営管理」を実現するための要諦をご紹介しました。
詳細については、是非お問い合わせ下さい。

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