中堅企業の逆襲
~ダントツ生産性を目指して~

日本経済を支える屋台骨とも言える中堅企業の元気がありません。
中堅・中小企業の生産性が大企業と比べて大きく伸び悩んでいる状況はずっと言われていましたが、昨今、終身雇用制度の見直しやJOB型雇用の推進等の働き方の多様化により、人材の流動性が大きく増し、多くの中堅企業において人材不足にも拍車がかかっています。
各中堅企業は生産性を上げるためのデジタル活用や人材確保のための働き方改革の推進等、生き残りに必死な状況と言えます。
今回は、そのような状況の中で、中堅企業が底力を発揮し、日本経済を復活させるためのヒントをご紹介します。

中堅企業が置かれている悲しき現実

中堅企業(※)は日本の約30%を占め、日本経済の屋台骨とも言えますが、中堅企業の生産性は大企業に比べて大幅に低い状況です。
企業規模別に従業員一人当たりの付加価値(労働生産性)の推移を見ても、いわゆる大企業に対して半分以下の生産性しかないことが分かります。
中堅企業の労働生産性が低い原因として「規模の経済」の原理が働かないことが理由の1つと言われています。
製品や材料を仕入れる場合、大量仕入れができるほど、コスト単価は低くできます。
生産も、生産量を大きくして、大量生産できるほど、効率が良くなり、単価を低く抑えられます。つまり、企業の規模が大きいほど、生産性を高められるのです。
しかしながら、中堅企業単独で「規模」を追求することは様々なリソース(ヒト・モノ・カネ)の制約がある中で非現実的です。

※中堅企業の定義は様々あるが、本記事では年商10億~1,000億を中堅企業と定義

【図1】中堅企業の生産性は低い

なぜ中堅企業の生産性は低いのか?

もう少し生産性が低い理由をひも解いていきましょう。
キーワードは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と「人材」です。
中堅企業の生産性の低さに対しては、日本政府も危機感を持っています。
2022年4月に経済産業省より中堅・中小企業向けの「デジタル・ガバナンスコード実践手引き」が公表されました。
(参考URL:経済産業省HP『中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き』)
大企業だけでなく中堅・中小企業がデジタル化を実践するための手引書となっており、デジタル活用によって企業価値を向上させることが不可欠であることを示しています。
では、中堅企業のDXへの取り組みの実態はどうでしょうか。
調査結果を見ると、DX投資を行わない理由のNo1は「お金がない」「よいソリューションがない」といった理由ではなく、「IT人材の不足」という人材起因の原因であることが分かります。
では、「人材への投資が進んでいるか?」というと、規模の小さい会社であればあるほど人材への投資はできていない状況にあります。
結果として、大企業と比較しても、中堅・中小企業の離職率は高く、人材流出が起きてしまっているという現状がうかがえます。
これは、世の中の競争軸が、「モノ・サービス」を中心とした製品市場から「ヒト」を中心とした労働市場に移行していることの現れとも言えます。

【図2】中堅企業はDX導入の遅れ×人材不足の両ばさみで悩んでいる

中堅企業のジレンマ ~負のスパイラル~

このように、中堅企業が陥っている生産性低下は、「ヒトがいない」からと一言で簡単に説明できるものではなく、複層的な要因が絡み合って起きていると言えます。
人材に対して十分な投資ができず、人材を獲得していくことができない。
それにより、デジタル化による新しい働き方環境の提供や業務の効率化に割くリソースも確保できず、業務に余裕がなくなり(≒ブラック化)、社員のエンゲージメントが下がっていく・・・といった負のスパイラルに陥っていると言えます。
大企業を中心にデジタル革新や新しい働き方改革が進んでいく中で、中堅企業との格差は広がり、負のスパイラルを放置することでさらに悪化の一途を辿っている、というのが現状です。

【図3】中堅企業が陥る負のスパイラル

「仕事」と「ヒト」の両面からアプローチしていく

そこで重要なのは、「仕事」だけをDX化する、「ヒト」のエンゲージメント(イキイキ度)だけを上げていく、という片面からの考え方ではなく、仕事・人材の両面からアプローチしていくことが真の生産性向上には必須です。

まず仕事の面でいうと、「カネをかけずにちょこっとDX」を導入していくことがポイントとなります。例えば、近年では大がかりな基幹システムの入替・改修をせずとも、クラウドツールやローコード開発ツール等を駆使して複雑なIT知識が無くともスピーディーにデジタル活用ができる状況にあります。「うちはデジタル化ができる人材が居ないから・・・」と諦めてしまう前に、こういった選択肢にも視野を広げてみることが肝要です。

さらにヒトの面でいうと、「良い人材を上手く活用する」ということがポイントとなります。例えば、大企業を定年したリタイア人材や、家庭の事情で地方在住となり仕事をあきらめざるを得なかった人材 等、優秀だが埋もれた多様な人材は未だに多く眠っている状況です。そのような「埋もれた人材」に働く環境を提供・活用することで企業にとっても人材にとってもWin-Winの関係を築くことができます。
状況によってはアウトソーシングの活用も有効です。アウトソーシングは大企業が効率化のために大規模実施するだけでなく、品質向上・事業継承のために活用するケースも増えてきています。
当然ですが、多様な人材活用・アウトソーシング活用のためには、必要最低限の環境(リモートでの仕事環境等)が必須となりますので、やはり「仕事」「ヒト」両面からしっかりアプローチをしていくことが求められています。

以上のように、規模を追わずとも、中堅企業が勝つための選択肢はまだまだ多く残されています。
レイヤーズ・コンサルティングでは皆様と一緒に“ダントツ生産性”実現の選択肢を一緒に考え、お手伝いをさせていただきたいと考えております。

【図4】仕事×ヒトの両面から生産性向上を進めることが必要

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