「サプライチェーンに機動力を」
~やってみる精神とデータ駆動経営~

◆この記事の要約

本記事では、「サプライチェーンに機動力を」テーマに、やってみる精神とデータ駆動経営を融合させることで、変化に強い柔軟なサプライチェーン構築の重要性を解説します。実践的なアプローチと最新のデータ活用手法を通じて、企業が競争優位を確立するための具体的な戦略を示します。

  • やってみる精神を起点にした迅速な意思決定と実行の重要性
  • データ駆動経営によるサプライチェーンの可視化と最適化手法
  • 機動力を高めるための組織文化とテクノロジーの融合
  • 変化に対応可能な柔軟なサプライチェーン設計の具体例と効果
VUCAの時代(ビジネスの多様化、不確実性の拡大)を乗り切るためには、より現場に近いところでビジネスができるよう、臨機応変に対応する「データ駆動経営」への変革が必要となります。ビジネス状況の変化の情報は、「顧客関連データ」と「製品関連データ」に潜んでいます。両者をデータの背骨ととらえ、様々な情報を有機的に結合して、「進むべき方向を見出すデータセンス」や「背骨データの一貫性を保つしくみ」を持てば、不確実な未来を拓くためのデータ駆動経営に進むことができると考えています。
そこで今回は、データ駆動経営による3つのビジネス変革ポイントと、その実行に必要な仕組みの構築についてご紹介いたします。

データ駆動経営による3つのビジネス変革ポイント

「データ駆動経営」とは、顧客や製品といった幹となるデータと、販売情報といった経過情報を紐付けて、ビジネスの実態をデータとして捉え、そのデータから得られた示唆に基づき、経営上の選択肢をシミュレートし、経営の方向性を決めるといった考え方になります。
そこで今回は、そのデータの代表例として、顧客関連情報と製品といったデータをつなげることで見えてくるビジネス変革ポイントを3点紹介します。

1.「顧客関連情報」×「製品」データ(接点が顧客×営業部門の場合)

顧客と営業の接点では、顧客の属性情報や環境情報と販売実績、サービス実績を結合することで、プロモーションや付帯サービスの変革機会(要素/きっかけ)を捉えることが可能です。
(例:自動車の外装部品の発注が急増していたため、様々な情報をつなげて確認した結果、ある週の天候に依存していたことが判明しました。そのトリガーを分析の軸として、起こりうる年や月を見極め、予め外装部品を先行手配することで顧客満足度の向上、自社離れの抑止に寄与しています。)

2.「顧客関連情報」×「製品」データ(接点が顧客×開発部門の場合)

顧客の使用状況や口コミ等から、自社製品の新たな市場価値を発掘することができ、同時に需要を逃さずタイムリーな商品提供につなげることができます。
(例:SNSを中心に自社商品へのコメントを確認した際、本来とは異なる用途を発見しました。ユーザーに直接アプローチを行った結果、新たな要望を踏まえた商品開発に寄与しています。)

3.「生産変動データ」×「需給情報」データ(接点が顧客×需給調整の場合)

顧客と需給調整では、常に最新のキャパシティを可視化し、得意先の発注傾向と掛け合わせることで、製造能力の最大活用や重点販売機種の提案につなげることが可能です。
(例:特定の部材の供給難をきっかけに、非稼働分による損失を防ぐ策を製造側で検討・提案をしました。ただし、一方的な製造都合でキャパシティを埋めるのではなく、特定顧客を見据え、営業活動と地続きの提案を行うことに貢献しています。)

上記のとおり、顧客関連情報と製品情報、生産変動情報をつなぐことで、環境変化に臨機応変に対応したビジネス変革を実現できます。

【図1】データ駆動経営によるビジネス変革ポイント

進むべき方向を見出すデータセンス

「進むべき方向を見出すデータセンス」とは、データを切り取ってつないだり、傾向を見て対比したりするなどデータをどのような切り口で整理して、どのような物差しで分析・評価するかのセンスそのものを指します。それらのセンスを磨くためには、データから示唆を得やすくするためのデータ分析スキルやデータ結合スキルなどが必要となります。その中で今回は、下記3点をご紹介します。

1.粒度を変える

データを見る粒度を変えることで、今まで見えなかったものが見えるようになります。
例えば、マス分析では具体的な顧客像がぼやけてしまうため、セグメンテーションでターゲットを決めて、N1分析により具体的なターゲット顧客を見える化します。
N1分析:一人の顧客(n1)を深く理解することで、その人が商品やサービスについて感じていることや望んでいるものを把握し、そこから新たな訴求方法や製品を生み出そうというマーケティング手法。

2.雑多な情報をつなげる

これまでつながっていなかった雑多な情報をつなぐことで、今まで見えなかったものが見えるようになります。例えば、顧客の声をデジタル技術によってデータ化(Xデータとしてデータレイクへ溜め込む)し、マッチングやシミュレーションを行ってニーズを顕在化します。
Xデータ:顧客満足度や購入意向などのエクスペリエンスデータ(Experience)のことです。

3.逆説的な見方をする

逆説的な見方をすることで、新たな価値が見出せるようになります。
例えば、製造ラインの非稼働分による損失を防ぐ策を検討する際、製造能力(通常は需要に追従する、対応することがミッションとなる)だけを見るのではなく、サプライチェーン全体のヒト・モノ・カネ情報を掛け合わせて見ることで、製造能力の最大活用や重点販売機種の提案といった「今できそうなこと」を見出すことが可能です。

データをつなぎ“やんちゃ”に進むべき方向を意思決定

「データ駆動経営」に変えていくためには、データから得られた示唆に基づく業務上のアクションを“やんちゃ”に「まずやってみる」ことを経営層が許容することが重要になります。
VUCAにおける意思決定の成否はスピードの早さが決め手になります。データ示唆に基づくアクションに、何らかの効果が期待されるならば、OODA的思考を取り入れ、「まずやってみる」ことを重要視し、失敗を恐れずトライさせていくことを経営層が推進していくべきだと考えます。

【図2】OODA的思考による意思決定のイメージ

データ駆動経営の実行に必要なしくみの構築

次に、データ駆動経営を実行するためには「背骨データの一貫性を保つしくみ」が必要になります。

  • 「背骨データの一貫性を保つしくみ」
    【ポイント】
    複数のシステム・データをつなぐため背骨の一貫性をいかにして保つか

    【対応】
    – ERPを活用したデータ視点でのシステム統合
    – 管理単位の統一、データ管理ルールの整備
    – 鑑となるライフサイクルデータモデルの構築

データ駆動経営の実現には、顧客と製品を背骨として様々なデータの結合が必要になります。
しかしながら、システムの分散や非デジタルデータの存在、統制力など様々な問題が存在し、背骨データの一貫性を阻害しています。対応方法として特に重要となるのが「鑑となるライフサイクルデータモデルの構築」です。

従来のプロセス起点でのシステム構築は、各業務機能でメジャーな取引を基に標準化を図りながら進められています。結果、隣接するシステム間で正流情報はつながるものの、ひとたび「情報の遡り」や「緊密でないデータ間の分析」が求められた場合、人力で高い負荷をかけて対応することになります。
よって、あらかじめ“つなぐ”ことを想定したライフサイクルデータモデルを定義することが肝要です。

【図3】ライフサイクルデータモデルのイメージ

データ駆動経営への変革のポイント

データ駆動経営への変革のポイントをまとめると以下の3点になります。

1.製品ライフサイクルを網羅した鑑となるデータモデルを構築

  • データの背骨は顧客と製品と捉える
  • ゼロベースで少数精鋭で検討・構築する

2.データをつなぎ “やんちゃ” に進むべき方向を意思決定

  • データモデルを鑑に俯瞰するしくみを構築
  • 失敗はあるものと理解し、積極的にリスクをとって決断する

3.データ基軸でリードタイムを短縮化し変動対応力を強化

  • データモデルを鑑にデジタル技術を活用し、リードタイムを短縮化
  • データに着目し、プロセスの歪み・澱みを除去

以上となりますが、データが部門の壁を破り、変革を成功に導くと考えております。
今回ご紹介した内容の詳細については、是非レイヤーズ・コンサルティングにお問い合わせください。
皆様と共にVUCA時代を乗り切るためのデータ駆動経営を進めていきたいと考えております。

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この記事の執筆者

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