『パーパスが響かない問題』になっていませんか
~パーパス経営の代表事例ご紹介~

ソニーグループのようにパーパス経営が成功している企業がある一方で、パーパス自体が従業員やお客様に響かない問題が発生している企業もあります。これは、どこの企業にも当てはまるようなパーパスを経営者の独断で策定して壁に飾って終わってしまっている企業に多く見受けられます。
 
今回は、パーパス経営が少しでも成功に近づけるようなヒントになればと思い、下記内容をご紹介させていただきます。

パーパスブームの背景

コロナ禍、円安、半導体問題、米中対立、ウクライナ問題、中東問題、気候変動、自然災害と色々な課題が企業を取り巻き、「VUCA時代だ!」と色々なところで喧伝され、そうした中での持続可能性(サステナビリティ)が重要視されています。
正解があり、PDCAサイクルを回していれば成長できた時代であれば、トップが具体的な計画を立ててそれを愚直に現場が推進すればよかったのですが、変化が「早く」「大きい」このご時世においては、各現場で自ら判断し動くことが求められます。
 
各現場で判断し動いていく時必要となってくるのが、「我々の存在意義はなにか」「我々はどこを目指すのか」「社会に対してどんな価値を提供するのか」というパーパスです。各現場が変化の多い中で、その都度判断していく必要があり、少しくらいやり方や行き方が違ったとしても、目指すゴールや着くところを同じにするためには、目指す方向性や大切にすべきことを共有化しておくことが重要となります。
 
山の頂上を目指す、でも行き方はどのルートでもいい!とか、ゴルフで言えばパー5のコースでOB杭はしっかり理解して、あとはドライバーで飛ばすのか、刻んでいくのかはそれぞれの判断に任せる、ということです。最終的にゴールすればよい、というイメージです。
どこを目指すのか、ゴールはどこか、何を大切にして、何をしてはいけないのか、をしっかりと認識を合わせるためにもパーパスが必要となります。

【図1】パーパスが必要となった背景

『パーパスが響かない問題』になっていませんか

上記背景からパーパスブームが到来し、各社でパーパス策定が行われましたが、色々な企業とディスカッションさせていく中で、聞こえてきた「声」が「パーパスが響かない問題」でした。
「パーパスが響かない問題」とは、パーパスだけを見て「企業名」が出てこない、どこの企業にも当てはまるパーパスだったり、創業精神と繋がっていなかったり、経営者と一部のメンバーだけで作ったパーパスによって、従業員やお客様、取引先パートナー、消費者に響かないパーパスになってしまっている状態です。
 
パーパス策定にあたり、ブームの際に話題となったSDGs、ESG経営、サステナビリティから、パーパスの中に「社会課題を解決します」と入れればいいと思ってしまった勘違いや、独りよがりで経営者の想いだけで作ればいいという策定におけるプロセスの勘違いなどが多発しています。
また一番の問題は、策定したパーパスを額に入れて飾って終わってしまい、浸透のための努力をしなかったという、浸透の不徹底があります。一生懸命策定したパーパスも、浸透のために一人ひとりの行動まで落とし込むことが求められますが、そのための仕組みや仕掛けを作り込まずに終わってしまい、「パーパスが響かない問題」が起きているのです。

【図2】パーパスが響かない問題

パーパス経営の代表例

世界におけるパーパス経営の代表例としては、パタゴニア、テスラ、そして日本のソニーグループなどがあげられます。
パタゴニアのパーパスは「パタゴニアは、我が故郷地球を救うためにビジネスを行う」というパーパスです。テスラはパーパスという形で掲げられているわけではありませんが、「世界の化石燃料への依存に『終止符』を打ち、ゼロエミッション社会への移行を加速する」というものがホームページに記載されており、様々なところで取り上げられました。そして日本のソニーグループは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパスを掲げています。
 
ソニーグループはパーパスの中に、「感動KANDO」を掲げて、心が躍る瞬間を大切にしています。当時の社長 平井氏が月に1回世界のどこかでタウンホールミーティングを実施し、「規模は追わず、違いを追う」「リーダーは自社の商品やサービスの一番のファンであれ」「愉快ナル理想工場ノ建設」、そして「KANDO」といった大切にすることを浸透させていきました。詳細は『ソニーグループ再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」』2021/7/13 平井 一夫(著)日本経済新聞出版 を参照いただければと思います。また、ソニーグループのホームページにある2分52秒の「感動ってなんだろう。」という問いかけから始まる動画、Sony‘s Purposeは是非見ていただければと思います。
 
このようにパーパス経営をしっかりと成功させている企業も多数あります。しかし、「パーパスが響かない問題」が起きている企業も残念ながら多くあります。

パーパスの策定の仕方

よくパーパス策定において言われることは、『自社の強み』と『社会が求めているニーズ』の2つの視点から導き出し、企業が存在し続ける意義を定めていく、ということです。創業者精神に立ち返り、またSWOT分析を実施し、自社の強みを再認識して、他方で社会が求める社会課題への解決、SDGs17のゴールなどを見て、社会にどう貢献していくのか、といった2つの視点から、パーパス(存在意義)を定めていきます。
 
我々はさらに、企業の「情熱・才能」を追加した3つの視点から交わる交点でパーパスを策定していくことを提唱しています。
パーパスには、その企業に集う人たちの「異常な興味・好き・夢中」を注入することが大事だと考えています。太宰 治 氏が「才能というものは、或(ある)ものに異常な興味を持って夢中でとりかかる時に現出される」というように、異常な興味を持って夢中に取り掛かるときに才能が出現して、その才能を注入することが非常に大切だと思います。前述のテスラのパーパスも、イーロンマスクの「異常な興味」が込められているように思います。
 
強みというと、「企業としてこれまで積み上げてきた自社・事業の精神・独自能力(優位性)」を過去・現在視点で見がちですが、未来視点で才能・情熱も加えた重なりの中で定めていくアプローチが重要だと考えます。
額にかかった形だけのパーパスではなく、こういったパーパスを定めれば、その企業の『ヒト』の「自分たちにしかできない」という自負心・使命感の激増に繋がるはずです。

【図3】パーパス策定の3つの視点

パーパスの浸透の仕方

せっかく策定したパーパスも、従業員に浸透し判断基準にしていってもらわなければ意味がありません。非常に参考になる事例がオムロンのTOGAです。
 
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The OMRON Global Awards(TOGA)は、企業理念実践をグローバル全社で共有することで、オムロンの強みの源泉である企業理念を全社員に浸透させ、共感と共鳴の拡大を促す取り組みです。
(出所:オムロンHPより)
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上記ページにある4分のTOGAの動画も是非見ていただきたいと思います。創業記念日の5月10日に「① 旗を立てる」「② 宣言する」として、チームを組んで企業理念をどのように実践していくかを考え、挑戦する内容をチームで宣言します。そして「③ 実行する」では、1年間を通じてチャレンジし、実践していきます。「④ 振り返り、共有する」「⑤ 共鳴する」で、各組織、地域で取り組みを共有し、最終的にはグローバル全社で取り組みを共有し、最も企業理念を体現したチームが表彰される取り組みです。

【図4】オムロンのTOGA

パーパス浸透のためには、全社員参加型、巻き込み型で推進していくことが非常に重要となります。
 
パーパス策定においては、従業員がワクワクするようなものであり、その企業独自性が高く、そして厳しいけど頑張ればそこにたどり着ける!という実行可能性が必要となります。そして浸透のためには全社員参加型、巻き込み型で推進していくことが重要となります。
 
パーパス策定のワークショップ、アート・シンキングを取り入れたパーパス策定など、他にも様々な支援の実績がございますので、是非ともお問い合わせください。

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