決別すべき「同質性」
~管理する経営から任せる経営への変革~

今は、変化の激しい時代となり、その場その場で現場での判断が必要となります。そのためにも「管理する経営」から「任せる経営」への変革が求められます。正解があった時代では同質性、協調性が求められていましたが、正解のない時代においてはダイバーシティによって様々な意見や考え方でいろいろ失敗を多くすることでイノベーションを生み出すことが求められます。
今回は「任せる経営への変革」と題して説明をさせていただきます。

メンバーシップ型から生まれた「同質性」

今、バズワード化している「JOB型雇用」の対比として言われる「メンバーシップ型雇用」ですが、先が見えて、正解があり、やるべきことも明確で、業務も標準化していた時代では、「メンバーシップ型雇用」が非常に機能しており、日本は世界から経済大国として称賛されていました。

会社に入社して何をするか、ではなく、まずは会社の一員としてメンバーになり、その会社で一生懸命働くし、会社側もその社員を退職まで一生面倒を見るという終身雇用制度を採用していました。もしかすると、一生面倒見てあげるから、会社の言うことは素直に聞くように!という形で社員の望まない転勤や異動、単身赴任が実施されていたのかもしれません。

時代的に先が見えていて、やることも見えている状況では、わざわざ面倒な意見や文句を言ってくる社員や、異能人財などはそこまでの必要性がなく、従順な社員が重宝されたのかもしれません。よって採用基準として大きなウエイトを占めた項目が『協調性』であり、入社して文句や面倒な意見を言わない人財を新卒一括採用で獲得してきました。

このメンバーシップ型雇用と年功序列で順番に昇格させ給与を上げていくことで、文句を言わせず、「同質性」人財を作ってきたのが多くの日本企業なのかもしれません。さらに年功序列によって順番に上がるために、失敗を避け、わざわざチャレンジングなことをせず、目の前の仕事だけを一生懸命やる短期視点の人財が増えてしまったのかもしれません。

VUCA時代で日本的人事の崩壊

先が見えて正解のある時代が終わり、VUCA時代と言われる、先が見えず正解がない、もしくは正解があっても賞味期限が非常に短い、予測不能な現代においては、旧来型の予測できる時代の制度は機能しなくなり、日本的人事が機能しなくなっています。

【図1】時代の変化

今はスピードが求められ、変化対応力、適応力が求められます。今までのように、しっかりとPDCAで詳細な計画を作っていると、その間に業界に突然ディスラプターが現れて業界を変えてしまいますし、業界で取り残されてしまいます。OODA型で状況を観察して、各現場で判断し、行動に移していくスピードが求められます。
つまり現場に任せて、各現場で意思決定し、腹を括ってやり切ってもらうスピード感が重要となってきます。

任せる経営へのシフト

そもそも人というものは、ガチガチに管理されて、あれやれ!これやれ!と言われたら、モチベーションは高まりません。逆に、「責任は私がとるから、君たちの好きなように自由にやってくれ!」と言われたら、非常にモチベーション高く仕事をすると思います。やる気がでると成果も倍増してきます。よって前述の環境変化の点からも、そしてモチベーションの点からも「任せる経営」へシフトしてくことが重要となります。

【図2】「管理する経営」から「任せる経営」へ

任せるための重要なポイント

任せる経営にシフトしていくために重要なポイントを一部ご紹介していきます。

パーパス(Purpose):存在意義

各現場に任せていくと、どうしてもバラバラになってしまいます。よって、自社がどこに向かっているのか、何を成し遂げようとしているのか、しっかりと存在意義、ミッション、ビジョンを共通認識にする必要があります。
実はパーパスもバズワード化していて、最近多くの企業でパーパスを掲げておりますが、各現場で起きている問題は、「パーパスが響かない問題」です。

・パーパスを見ただけでどの企業かわかるようなユニークなパーパスになっていない
・似たようなパーパスでどこの企業にもあてはまるパーパスになってしまっている
・創業者精神、経営理念などと繋がっていないパーパス
・社員を巻き込まず経営者が独断で決めたパーパス

上記のようなパーパスのため、複数の企業で「パーパスが響かない問題」が発生しています。

エンゲージメント(engagement):会社、仕事に対するポジティブで充実した心理状態

パーパスを掲げて、それをしっかりと社員とコミュニケーションを取り、自社がどこに向かっているのか、一人ひとりが腹落ちして、モチベーション高く自走していくことが重要となります。

コラボレーション(collaboration):協力、協働、協業

VUCA時代で変化も激しく、スピードも速く、解決していくべき課題も複雑化していき、高い専門性が求められる状況で、ひとりで解決していくことが困難となっています。よって、社内のみならず、社外も含めてコラボレーション、協働が重要となってきます。

リーダーシップ(leadership):大局観、許容力、サプライズ対応力

現場に任せるといろいろと失敗が発生します。そのようなサプライズが発生した際に動じず、しっかりと責任を取り、対応していくリーダーシップが経営層、マネジメント層には求められます。

リスキリング(Reskilling):人財再開発

現場に任せていくわけですから、各現場で腹を括って意思決定し、やり遂げる人財を育成していく必要があります。しかし、今までずっと管理されて決められたことを推進してきた人財は、マインド面も含めて再度育成していく必要があります。

他にも「任せる経営」における重要なポイントや、具体的に実施した事例がありますので、ご興味のある方は是非弊社までお問い合わせください。

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この記事の執筆者

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