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実際原価

実際原価とは

「実際原価とは、財貨の実際消費量をもって計算した原価をいう。実際原価は、厳密には実際の取得価格をもって計算した原価の実際発生額であるが、原価を予定価格等をもって計算しても、消費量を実際によって計算する限り、それは実際原価の計算である」(大蔵省企業会計審議会 原価計算基準より抜粋、以下原価計算基準)。一般的に原価は消費した数量×単価で計算され、実際原価は実際消費数量×実際購入単価(※労務費であれば実際稼働時間×実際労務賃率)と理解されていることが多いですが、原価計算基準においても記述されている通り、数量に実際消費量を使用すれば、単価は実際取得単価ではなく予定単価を使用しても実際原価とみなされます。
これに対して、標準原価もよく用いられていると思いますが、「標準原価とは財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ、予定価格又は正常価格をもって計算した原価をいう。この場合、能率の尺度としての標準とは、その標準が適用される期間において達成されるべき原価の目標を意味する」(原価計算基準)と記述されています。すなわち、消費量は実際ではなくあらかじめ過去の統計的あるいは科学的に見積もられた能率の指標となる標準消費数量×予定もしくは正常価格をもって設定される標準単価によって計算されます。
従って、割り切って考えれば実際原価か標準原価かは、数量が実際値を用いるのか、あらかじめ設定された標準値を用いるのかによって峻別されるということになります。

実際原価の利用局面

本来、製造に際しては消費量や能率、また価格についても常に変動するものなので、原価計算の目的である「過去の一定期間における損益ならびに期末における財政状態を財務諸表に表示するために必要な真実の原価を集計すること」(原価計算基準)を達成するためには一定期間における実際の消費数量と実際購入価格に基づいて原価は計算されることが望ましいです。しかし、製造における材料の実際消費数量及びその購入価格(あるいは実際稼働時間及び労務賃率)を製品別に正確且つタイムリーに把握し・集計することは実務上非常に負担が大きいのが実態です。また、ERP(業務基幹システム)の発展も相まって、簡便法としての標準原価を採用している企業も多い傾向にあります。しかし、外部公表に活用するのであれば、標準原価のみならず、必ず実際原価を計算して標準原価との差異を把握し、適切に処理しなければならないし、その他の目的である「原価能率を増進する措置を講ずる」(原価計算基準)すなわち、原価低減活動に活用するためには、標準原価のみならず、できるだけリアルタイムでの実際原価を把握することが望ましくなります。

実際原価の計算における留意点

前述の通り、実際原価を把握するためには、製品別にタイムリーに実際消費数量及び実際稼働時間(労務/設備等)の把握が必要となります。しかし、昨今の多品種・少量製品の生産形態が進むと、製品別に細かく実際数量を把握するためには、製造活動の都度記録することが求められます。従来は製造記録表あるいは作業日報等で人が手間をかけて紙ベースでの記録、又はコンピュータシステムに入力することが多かったが、近年IoTあるいは基幹システムの導入が進み、実際数量を人の手間を掛けずに自動的に取得できるケースも増えています。まだまだこれらの情報活用は発展途上ですが、今後それらで収集された実際数量情報が実際原価に活用される場面が増えてくると思われます。

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