標準原価

標準原価とは

標準原価とは「財貨の消費量を科学的、統計的調査に基づいて能率の尺度となるように予定し、かつ、予定価格又は正常価格をもって計算した原価をいう。この場合、能率の尺度としての標準とは、その標準が適用される期間において達成されるべき原価の目標を意味する」(大蔵省企業会計審議会 原価計算基準より抜粋、以下原価計算基準)
標準原価は元々、財務会計上財貨の実際消費数量をもって計算される実際原価の簡便法として利用が認められものでした(原価計算基準の解釈による)。しかし、近年のERP(基幹システム)の導入・発展により、標準原価を採用している企業が増えているのが実態です。
 

標準原価の分類

  • 理想標準原価
    製品の製造段階における失敗や労働者の休暇など原価を引き上げる要因を除いた計算されたもの
  • 現実的標準原価
    理想標準原価で排除されていた要因を考慮して、実際にかかる原価を予想し、計算されたもの
  • 正常原価
    過去の指標や実績などを分析して、将来的な予測を加えた標準原価
  • 基準標準原価
    翌年度以降も継続することを前提として計算されたもの
    標準原価を導入している企業は現実的標準原価又は正常原価を採用している企業がほとんどです。

 

標準原価の課題

標準原価を採用している企業の課題として、まず改定サイクルが課題に挙げられます。多くの企業は年次サイクルで年次の予算策定に合わせて購入単価及び賃率を改定している企業も多いですが、数量標準については数年前に設定したものをそのまま改定せずに利用している企業も少なくありません。
また、実際原価との対比(原価差異の把握)についても、工程別・部門別に原価差異を把握しても、製品別に把握は行っていないケースがほとんどです。これは製品別の実際原価を把握できず、実際原価は部門別・工程別にしか把握できないことに起因しています。
また、原価差異の分析を実施している企業でも、財務会計上の適切な処理(売上原価と在庫への案分処理)等が中心となり、原価低減のための原因分析まで実施できている企業は少ないのが実態と思います。標準能率についても、不良率や歩留まり率をきちんと標準に考慮して設定している企業もまだまだ少ないのではないでしょうか。

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