予算原価

予算原価とは

予算原価とは、当該会計期間において、経営計画の基礎となる当期の販売計画及び調達計画・生産計画・在庫計画を構成する各部門の予算を基礎として算出される製品原価のことです。一般的には、販売計画に基づき生産数量を決定し、その生産計画を実現するために必要な資源計画を策定します。
資源計画は原材料・購入部品等の外部購入品に対する数量と価格、製造に必要な部門別工程別の要員及び稼働時間(勤務体制・直数、残業等)、製造設備(投資・修繕等含む)と稼働率、要員に対する賃金労務費、外注費、製造経費(水道光熱費、副資材、物流費等)、本社費や管理部門を含む間接経費等を当該会計期間における予算値として見積もります。これらの資源計画を基に製品別の予定数量(もしくは標準数量)と予定単価(もしくは標準単価)を算出し、予算原価を算出します。

予算原価と標準原価、目標原価の関係

予算原価は多くの場合標準原価とほぼ一致するケースが多く、標準原価として設定されている企業が多いです。標準原価は財務会計の利用目的を鑑みると原価差異があまり生じないように設定するケースが多いので、年度の予算値として期初に計算されるケースが一般的です。但し、事業環境は流動的で、売り上げの変動や調達価格の変動、サプライチェーンの見直し・変更等により、期中に定期的に予算を見直す企業も少なくありません。この場合。予算原価は見直されますが、標準原価を変更する企業は少ない(標準原価は1年に1回更新)と思われます。
また、目標原価については、当該年度の目標として毎年設定するのであれば予算原価とほぼ一致するケースも多いですが、当該年度の改善目標を高く設定する企業も少なくありません。この場合、標準原価は前年をベースの成り行き値として設定し、原価差異を当該期間の改善成果として把握・管理する場合も実務上多く、この場合には目標原価と標準原価は一致しません。また、製品ライフサイクルの長い企業(例えば自動車関連企業)などは、生産の習熟が進み、改善が進んで落ち着いた状況での原価を目標原価の目標値として設定する場合も多くあります。その場合には年度毎の達成水準を予算値として設定する場合もあり、生産開始初期段階では予算原価は目標原価よりも高く設定し、各年度の実際原価を予算値と対比して目標達成を管理するという手法もあります。

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