マイグレーションとリビルド

マイグレーションとは

マイグレーション(migration)とは、現在利用中のシステム・ソフトウェア・データ等の別の環境やバージョンへの移行・乗り換えを意味します。システムの場合はオンプレミス環境からクラウドサービスへの移行がメインとなっています。
マイグレーションには主に以下の3つの種類があります。 

ライブマイグレーション

ライブマイグレーションとは、ハイパーバイザーを利用している仮想サーバー同士であれば機能を移動できるマイグレーションです。

データマイグレーション

データマイグレーションとは、古いハードウェアから新しいハードウェアの記憶媒体に業務データを移行するマイグレーションです。

レガシーマイグレーション

 

レガシーマイグレーションとは、旧時代的な基幹システムやオンプレミスサーバ等を新システムに移行するマイグレーションです。現在は、このレガシーマイグレーションが、マイグレーションの主流となっています。
 

 
マイグレーションを実現する手法は様々あり、システムをどのように移行するかによって使用する手法が決まります。例えば、インフラ環境の移行を目的とするならリホスト、プログラム言語を変更するならリライト等の手法を用います。

マイグレーションを実現する手法

マイグレーションを実現する手法は、大きく以下の4つが存在します。

リライト

リライトとは、アプリのロジックは変更せずに、古いプログラム言語から、別のプログラム言語への書き換えを行う手法です。システム効率の向上・セキュリティ強化等が期待され、ユーザービリティへの影響が少ないといった特徴があります。

リプレース

リプレースとは、スクラッチ開発のシステムを、同様の機能を持ったパッケージ・ソリューションツール等に置き換える手法です。移行へのスピード感がある一方で、競合他社との差別化が難しいといった特徴があります。

リホスト

リホストとは、ロジックやプログラムの書き換えを行わずに、プラットフォームをクラウド環境に移行する等のインフラ環境の整理をする手法です。何らかの理由でシステムロジックの変更を行えない企業にとっては優れた手法といえます。

リビルド

リビルドとは、既存システムでの要件をベースとして新システムを全面的に再定義し、データのみを変換・移行する手法です。既存システムの要件を取り込むことが必要にはなりますが、スクラッチ開発の為、最適なシステムへの移行ができる特徴があります。一方で、システム全体を再定義するので、開発コストは4つの手法の中で最も高くなります。

リビルドとは

前述したようにリビルドの特徴は既存システムをベースとして新システムを網羅的に再定義する手法です。そのため、開発工数も多く、初期投資も大きくなります。
ではなぜ、他の手法ではなくリビルドを行うのでしょうか。大きな要因としてはビジネスへの効果が最も大きくなるからです。他の3つの手法は、既存のシステムの一部を新システムに置き換えるので、コストはリビルドと比べて比較的少なく済みます。一方で既存環境の影響が残りやすくなっています。しかし、リビルドでは既存システムをベースとして再定義しますが、全体を網羅的に置き換えることで、部分的なレガシー環境が残る可能性を排除することができます。また、クラウド・IoT・モバイル等の最新の環境を考慮した上での再設計が可能なことから、業務最適化への期待にも応えることができます。また、システムを網羅的に再設計することから、新システムとの親和性も確保できます。

マイグレーション、リビルドで注意したいこと

マイグレーション、特にリビルドでの留意点は大きく以下の2点です。 

要件の把握

マイグレーションを行う際に最も重要になってくるのは、既存システムでの要件の把握です。既存システムでのロジック・機能を明確に把握せずに要件定義を行う事により、システム開発後の必要要件の抜け漏れが発生し、手戻りが頻発します。しかし、レガシー状態のシステム要件を把握することは、容易ではないので綿密な事前準備が必要となります。

クライアントのリビルドへの理解

マイグレーションの手法で最も効果が高いのはリビルドですが、コストも最も高くなります。クライアントに対して、費用対効果の理解が得られないと、比較的低コストのリホスト・リプレース等の手法への変更を余儀なくされます。しかし、そういったマイグレーションでは一時的な解決にしかならず、再度、マイグレーションを行う必要性が出てくるといった問題もあります。そのため、ベンダー等はクライアントのシステム状況を適切に把握し、最適なマイグレーションを提案し、同意を得る必要があります。

まとめ

現在の時流として、システムの最適化は必要不可欠なものとなっています。また、さらなる成長・競争力強化のためにDXを駆使し新たな価値を創出する必要性があります。今後のビジネス環境では、旧時代的なレガシーシステムを、最適な手法でマイグレーションすることにより、業務最適化を図り、新しい価値を創造することが求められているのです。

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