現場のデジタル化が進まないワケ

近年多くの企業が経営計画にDX方針・施策を織り込んでおり、各事業部門ではDX化の足掛かりとなる「現場業務のデジタル化」を旗印に、日々試行錯誤を繰り返しています。
しかし、DX化の“足掛かり”であるにも関わらず、なかなか思うように進まず、このままでは自社のDX化の足を引っ張ってしまうのではないかと一層強い危機感を持っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、現場のデジタル化が進まない失敗パターンと成功事例をご紹介します。

現場業務のデジタル化が進まない3つのワケ

最近、経営者の方々からこんなお声をいただきました。
「ノーコードとかRPAとか、色々ツールを試してどんどん使っていっていいよ、と言って若手に任せているんだけど、なかなか実務として定着してこないんだよね…」
「デジタル化は将来を担う若手中心にやらせている。だけどなかなか成果が上がらず、今後どうしようか迷ってるんだよね…」

コロナ禍での業務変革を皮切りにデジタル化を一気に進め、DXで成果を上げた企業も増えてきている一方で、まだまだ既存業務のデジタル化さえ光明が見えない…、と本当にお困りの企業も多いのが実態です。
何故このような状況に陥ってしまうのでしょうか。

ここでは現場業務のデジタル化が進まないワケとして、以下3つの失敗パターンをご紹介します。

1.無益なトライアルの繰り返し
2.若手の自助努力頼み
3.自社人材だけでやるべきという思い込み

【図1】DXのステップ

1.無益なトライアルの繰り返し

1つ目は「まずは無料版でできる範囲で現行業務と並行して部分的にやってみようか」といった中途半端な決断でスタートしてしまうことです。結果として既存の一部業務プロセスに無理に新しいツールを当て込んだだけという残念な案に落ち着いてしまいます。当然大きな改善効果も見えず、トライアル導入の手間ばかりかかって現場担当者も疲弊していってしまいます。

【図2】無益なトライアルの繰り返し

このような場合は、メリットの検討が不十分なため弱気な決断しかできない状態になっている可能性があります。曖昧な根拠で低めの効果試算をしていないか(例:ツール習熟に期間を要する分当面は大した工数削減効果を期待できないといった弱気な推測)、影響範囲の考え方に漏れがないか(例:波及効果で他部門の業務改善にもつながる)などの視点でメリットを再確認する必要があります。その上で総合的にメリットが小さいと判断するのであれば、無理に無料版でトライアルせず、他の手段の検討を進めるべきです。

2.若手の自助努力頼み

2つ目は「俺は最新技術とかツールとかよくわからないから、まだ頭が柔らかい人に任せよう」ということで若手に丸投げしていることです。「自由にやっていいよ」と体の良いことを言って任せれば、若手が忙しい業務の合間を縫って喜んで新しい仕事を作りに行く、と勘違いしてしまっているパターンです。

【図3】若手に丸投げ

ミッションとしても不明確な状態、十分な報酬も約束されていない状態で、積極的に動いてくれる若手の方はどのくらいいるでしょうか。仮にそんな方がいたとしても、往々にして若手のうちは十分な決裁権や業務経験を持っていないため、コストがかかる施策実施を躊躇し前述の通り無益なトライアル止まりになりがちです。業務負荷は増える一方で、早々に破綻するのが目に見えます。
結果、雑に任された若手はこう思います。
「おじさんたちの思い付きみたいな雑なアイデアに、貴重な私たちの時間・労力を使わせるな!」
こうして頼みの若手もどんどんデジタル化に消極的になっていくのです。

このような場合には、目標設定や難易度の高い複合的な検討をマネジメント側で巻き取る必要があります。つまり、経験の少ない若手中心でのボトムアップ形式で思うように推進しないのであれば、多少なりともトップダウン形式でのテコ入れも必要になるということです。マネジメント側でこの点の腹積もりがないと現状打破はできません。

3.自社人材だけでやるべきという思い込み

3つ目は年々企業におけるIT需要が増し、人材不足の懸念からIT内製化の必要性が語られる場面が増え、ローコード・ノーコードツールの開発・プロモーションもますます盛んになったことから、「現場社員のリソースだけでデジタル化を進めよう」と思い込んでいることです。
その考え自体は間違いではないですし、それを実現するに足るソリューションも世の中に溢れてきています。しかし、組織として新しい手法・ツールを導入していくということは相応のパワーが必要です。いかに便利なツールだとしてもそのツール特有の操作スキルを一定人数・一定レベルで体得する必要があります。
それを既存業務と並行でやりきれるほど、余力もモチベーションもないというのが現場の実状ではないでしょうか。

最新ツールの多くは「現場社員でできる」と銘打たれますが、実際に自社人材だけで導入しようとするとスキルも時間もないためなかなか習熟が進まず、結局中途半端な改善に留まってしまうのです。

新しいツールの導入・運用のためにやるべきことは多々あり、単に工数面だけでなくスキル・ナレッジ面でも自社だけで進めるのが難しければ、どこを補完するかを明確にした上で当然外部リソースの活用も考える必要があります。

【図4】デジタルツール導入・運用でのタスク例

通信事業会社での業務デジタル化推進の事例

では、業務デジタル化をうまく進めている企業はどのように取り組んでいるのでしょうか。
ある通信事業会社での成功事例を紹介します。

もともとは、各業務部門でデジタル化のアイデアはあるものの、なかなか知見・予算のない中で社内提案がしにくく、仮に何かしらのデジタルツールのトライアル導入までこじつけたとしても、通常業務と並行して活用・習熟していくのが困難な状態でした。

そこで、本社経営企画部主管で業務デジタル化推進チームを立ち上げ、予算管理や外部コンサルを活用してのツールの調査・選定を行い、さらにツール導入・運用初期は立ち上がりをサポートしてくれるベンダーを活用し、その費用も本社側で負担しました。つまり、費用・人材を本社側から提供することで、業務部門側の負荷を少なくしたのです。また、初期はベンダーを”先生”として着実に活用を進めつつ、業務部門側の次期推進リーダーを育成しました。
現在は施策が軌道に乗り社内案件が増えてきたため、業務部門側の推進リーダーを中心に新規案件に対応しています。

本社主導で体制を構築することで、業務部門や個人頼みにせず、また、無理に完全内製を目指さず外部リソースをうまく活用したという点がこちらの企業での成功要因と言えるでしょう。

【図5】推進チームの立ち上げ

【図6】推進リーダーの育成

今回は、現場のデジタル化が進まない失敗パターンと成功事例をご紹介しました。失敗パターンにご共感いただいた方、成功事例の詳細にご興味のある方はぜひお問合せください。

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