レジリエンス(resilience)

レジリエンスとは

レジリエンス(resilience)とは、困難・苦境などからの「回復力」や、変形された物が元の形に戻る「復元力」「弾力(性)」という意味です。元々は、物理学や生態学の分野で使用されていた概念ですが、心理学や社会学などの人文科学の分野に広がり、個人や組織がストレスや困難な状況に対して回復力を持つ能力を指す言葉として使われています。ビジネスの分野における「レジリエンス」は、企業が困難や危機に直面したときに、それを乗り越えて回復し、さらには成長する能力を指します。企業が競争優位性を維持し、持続可能な成長を達成するための重要な要素として近年注目を浴びています。

経営管理におけるレジリエンス

現代のビジネス環境は、経済のグローバル化、テクノロジーの急速な進化、市場の変動など、予測不能な変化や危機が頻繁に起こる時代です。例えば、COVID-19のパンデミックでは、ロックダウンによる労働力の制約が発生し、生産拠点や物流が滞ることで供給網の混乱が生じました。こうした不確実な状況を乗り越えるために、企業としてはリスク管理の強化、組織文化の改革、IT基盤の強化などが必要となります。

レジリエンスを向上させるには

リスク管理の強化

  • リスク洗い出しと評価
    分野別・地域別に内外部のリスクを洗い出し、影響度を推定した上で、事前に対応策を用意すべきリスクを検討します。リスクに対する担当部署・レポートラインを定め、リスク発生時に相談する外部機関も選定することで、リスク発生時の初動を早めます。
     
  • 事業継続計画への反映
    洗い出したリスクの中で、災害や緊急事態など発生時の影響度が大きく、かつ発生が予見できる場合には事業継続計画に反映します。事業の中断を最小限に抑え、迅速な回復を図ります。
     
  • リスク意識の浸透
    企業の従業員に対して、リスク意識を浸透させることも重要です。リスク管理の重要性や対策の具体的な方法について、マネジメントブックを用意して全社共有をし、教育やトレーニングを行うことで、組織全体でのリスク管理が促進されます。

組織文化の改革

  • 多様性の尊重
    多様な意見やアイデアを尊重し、受け入れることが柔軟性と適応力を高める一因です。異なるバックグラウンドや経験を持つ人材を採用し、多様性を組織内に取り入れることで、新たな視点やアプローチが生まれます。
     
  • 組織文化の醸成・変革
    イノベーションを起こし、多様性を尊重するためには、組織文化の醸成も必要です。柔軟性と適応力の向上を目指し、組織・風土改革のビジョンを掲げ、達成するためのステップを検討し、社内のトップ・ミドル・現場が一体となって変革を進めることが必要です。
     
  • IT基盤の強化

  • ERP導入
    経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合し、リアルタイムでの情報共有を実現することで、情報の断片化や重複を防ぎます。リアルタイムのデータダッシュボードやレポートを活用することによって、迅速な意思決定や問題の早期発見が可能となります。
     
  • セキュリティとデータ保護
    近年では基幹インフラを狙ったサイバー攻撃が増加しています。特に、IoTやAIを活用した工場のスマート化も進んでいることで「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」も発生し、事業継続にも影響を及ぼしています。セキュリティ対策の立案・実行・見直しを実施し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを低減することで、情報の安全性と信頼性を確保することも重要です。

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