2022/10/13

グループSSC(シェアードサービスセンター)とは?目的とメリットを解説

#ヒューマンリソースマネジメント
経営効率化を図るため、グループ企業の間接業務(オペレーション業務)の集約化・標準化が叫ばれて久しいですが、その機能を自グループで持つグループSSC(シェアードサービスセンター)の成功事例はそう多くありません。
コロナ禍に見舞われている2020年代に見合ったグループSSCとはどのような形態なのでしょうか。グループSSCの目的やメリット、その課題などを紹介します。

1.グループSSCとは/オペレーション業務を集約・標準化する組織

グループSSCとは、経理や人事、総務、法務などの管理部門や情報システムなどグループ企業が共通して対応している間接業務を集約化・標準化し、運用する組織です。親会社内の別組織または子会社として、グループ内に設置されます。

2.グループSSCの目的/求められる新たなグループSSCモデルの確立

グループ企業の間接業務を一元化することで、業務効率化とコスト削減が目的となります。日本に初めて導入された90年代終盤は子会社で業務を集約した方が人件費を抑えられる観点からコストダウンが主な狙いでした。それから20年以上経ち、ビジネス環境や社会情勢も大きく変化を遂げました。人事や経理などコーポレート部門に戦略機能が求められたり、DX化の流れも加速している今、新たなグループSSCモデルの確立が求められています。

3.グループSSCのメリット・効果/コスト削減と業務改善に効果

オペレーションコストの削減

グループSSCでは人財やシステムを集約できるため、各グループ企業は個別にリソースを用意する必要がなくなり、コスト削減ひいては利益拡大につながります。効率化や集約化はプロジェクトごとに幅はありますが、一般的には2、3割の工数の削減が見込めます。デジタル化やDX化を推し進めれば、5割~8割の削減が可能となります。

業務改善

グループSSCでの集約化に伴い、同じ業務において、グループ内企業間の業務プロセスの差異が可視化されます。各社の良さをハイブリッドすることが可能となり、大幅な業務改善とともにスムーズな標準化ができます。また、特定の担当者が組織を横断して業務に携わるので、品質や処理スピード、正確性も向上します。

内部統制の強化

グループ企業の業務集約化は可視化につながり、ガバナンスを強化できます。各企業の部門ごとに独自ルールや判断基準が存在することもあり、担当者の不正やセキュリティリスクが低下します。

4.グループSSCの課題/間接業務をスリム化し、どう戦略機能に重点配分するか

間接業務の集約化としては近年、単価の安かった海外へのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)が主流でしたが、円安が進み、海外の賃金も上がった昨今の市場環境を踏まえれば、コスト削減のインパクトは薄れつつあります。
さらに、「間接業務をすべてアウトソーシングしていいのか」という見直しを求める声も高まっています。本社機能が大き過ぎる議論がある一方、戦略機能が足りないとも言われています。コーポレート機能においては、管理会計上の数字や戦略的な人員配置など、経営戦略を立案する上で必要な示唆する力が弱いとされています。その機能を強化するためにも、間接業務の集約化は重要な意味を持ちます。
そこで当社が提案しているのが、『Three-pillar model』です。各領域の専門家集団であるCoE(Center of Excellence)、戦略的なビジネス変革推進者であるBP(Business Partner)、データ管理など日常業務のオペレーションを担うOPE(Operational Excellence)の三者を適用し、コーポレート機能を変革していくモデルです。SSCでOPEをスリム化し、CoEとBPへのリソースを確保します。併せて、効率化によって生まれた余剰人員をどう配置するのかを検討していくことが重要となります。

5.グループSSC導入事例/①大手私鉄グループ ②エネルギー系グループ企業 ③教育系グループ企業

導入事例①/大手私鉄グループ

子会社約100社のうち、グループSSCでは20~30社の機能しか集約できておらず、グループSSCの在り方を考えるプロジェクトでした。
特徴は大半の業務をBPOに移行し、経理部門であるSSC会社に『Three-pillar model』のCoE的な経理の専門家集団および経理効率化を進めるプロジェクト機能を持たせていることです。グループ全体で約400人の経理人財がいましたが、150人に削減することを目指しています。
BPの役割は親会社や各社の経営企画部門が受け持つ発想で、工数は半減し効率化が進んでいます。

導入事例②/エネルギー系グループ企業

グループ会社が約80社あり、オペレーションを徹底的に磨くのが目的でした。まずスリム化を図り、次にデジタル化を徹底的に進めました。CoE的機能は親会社の人事部門と経理部門が担い、各社には戦略的機能を残す発想です。工数は3割減を目標としています。

導入事例③/教育系グループ企業

グループ会社は約20社。グループSSCで業務を引き受け、障がい者雇用を集約化している特例子会社と連携し、障がい者雇用とオペレーションの効率化を狙っています。

まとめ

目覚ましいテクノロジーの発展をはじめ、政治や経済などに起因した社会情勢の変化に伴い、2、3年に一度の体制や配置の見直し・点検は必須です。
グループSSCでオペレーションをスリム化するのは大前提ですが、グループSSCをどう経営戦略で活用していくかを考える時代に突入しています。バックオフィスやコーポレート機能の戦略化は今後の大きなテーマになってくるでしょう。
そして、デジタル化やDX化が進んだことで、自社にオペレーションを持たない環境を見直すタイミングにきています。その意味でも、グループSSCへの注目度は高まっていると言えます。

お客様の声

東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社 様
東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社 様
レイヤーズのみなさんが現場に入り込んで毎日のように議論していただいたことで、プロジェクトを完遂することができました。
レイヤーズのみなさんが現場に入り込んで毎日のように議論していただいたことで、プロジェクトを完遂することができました。

この記事の執筆者

小川 嘉一
小川 嘉一
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
HR事業部
シェアードサービスビジネスユニット長
マネージングディレクター