コーポレート(グループ本社)改革

コーポレート(グループ本社)改革とは、持続的成長と中期的企業価値向上のために、グループ本社としてのコーポレート部門を強力な横串機能へと改革していくことです。

VUCA時代(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの略)と呼ばれる今日の経営環境においては不確実性が非常に高まっているため、コーポレート(グループ本社)が強力な横串機能でグループ各社をマネジメントしていくことが不可欠となっています。

レイヤーズ・コンサルティングでは、コーポレート部門のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の見直し、役割の明確化、グループ会社との権限・責任の明確化、横串機能としての仕組みやマネジメント体制、マネジメントメカニズムなどさまざまな取り組みの推進などを支援するコンサルティングサービスを提供しています。

日本企業の稼ぐ力の改革は道半ば

コーポレートガバナンス1.0では、ROE8%を上回ることを求められました。このため、多くの企業は期待される資本コストを上回るROEを達成するための資本効率改善施策が必要でした。
 
コーポレートガバナンス2.0においては、着目すべき経営指標としてPBR1.0以上が求められました。ROE8%以上での資本効率向上に加え、将来期待を高めていく経営として、無形資産投資、ESGへの対応といった中長期的な企業価値向上のための積極的投資が必要と言えます。
 
このように、コーポレートガバナンス改革においては、持続的成長と中長期的企業価値向上のために、日本企業の稼ぐ力を取り戻すことが求められています。
しかし、上場企業においては、PBR1倍未満、ROE8%未満の企業も多く、稼ぐ力の回復はまだまだ道半ばです。
 
こうした稼ぐ力を取り戻すためには、大胆な事業構造の転換、中長期的な企業価値向上のための積極的投資などを強力に推進していくことが必要であり、そのためには、強い横串機能としてコーポレート(グループ本社)を改革する必要性がますます増していると言えます。

【図1】コーポレートガバナンス・コードの制定・改訂

コーポレート改革を推進するうえでの重要視点

コーポレートガバナンス改革を進めていくためには、まずは企業価値創造の推進役としての強い本社(コーポレート)を作ることです。すなわち、持続的成長と中長期的企業価値向上のために、これまでのコストセンター本社から、各事業の「稼ぎ続ける力」を高め、グループ全体での総和の最大化を実現する本社に変身することが重要です。
 
本社(コーポレート)がコングロマリットプレミアムを創造するうえで特に重要な視点を5つご紹介します。
 
①各事業を成長の理想曲線に乗せるマネジメント
②戦略資産のマネジメント
③長期視点での時間配分マネジメント
④横串・縦串の芯の通った強い執行体制の確立
⑤強い執行体制を支えるグループガバナンス基盤の再構築

【図2】企業価値を高めるために本社部門が生み出すべき価値

各事業を成長の理想曲線に乗せるマネジメント

事業には、導入期・成長期・成熟期・衰退期といったビジネスライフサイクルが存在します。
これまでの事業マネジメントは、成長が見込めない事業や利益が出ない事業などに対するリストラ型のマネジメントが主でした。
 
しかし、今後の事業マネジメントとしては、グループ全体としての持続的成長と中長期的企業価値向上のために、各事業を成長の理想曲線に乗せるステージアップ志向のポートフォリオマネジメントへ変革することが求められます。
 
そのために、事業の現状ポジショニングを事業部門・本社が相互認識し、今後グループにどのように貢献するかを方向付けし、事業のPDCAを回すことが重要と言えます。

【図3】各事業を成長の理想曲線に乗せるマネジメント

戦略資産のマネジメント

稼ぎ続ける力は、『現在の稼ぐ力』と『将来稼ぎ続ける原動力』に分解できます。
『現在の稼ぐ力』は、現在の事業における純粋な成果と言えます。
他方、『将来稼ぎ続ける原動力』は、インタンジブルな戦略資産(顧客基盤、製品パイプライン・案件パイプライン、ブランド、卓越した人材、特許など)やESG取り組み・施策などで構成されます。
 
したがって、稼ぎ続ける力を持つためには、事業のステージに合わせた「インタンジブルな戦略資産」の棚卸、戦略資産の創造と保持(投資・リスク・保護)及び戦略資産の効果的展開のマネジメントが重要です。また、こうした稼ぎ続ける力の源泉となる「インタンジブルな戦略資産」に関する対話を事業部門と本社で行い続けることが必要です。

【図4】戦略資産のマネジメント

長期視点での時間配分マネジメント

グループ全体としての持続的成長と中長期的企業価値向上のために、長期ビジョンや長期計画の重要性が増しています。
グループ全体として各事業の価値創造の時間軸を明確にしたうえで、短期・中期・長期視点でグループシナジーを最適化するポートフォリオにトランスフォームできるようマネジメントすることが重要です。
本社(コーポレート)が各事業を俯瞰し、資本配分することで、短期と中期と長期をつなぐ「経営」が実現します。

【図5】長期視点での時間配分マネジメント

横串・縦串の芯の通った強い執行体制の確立

グループガバナンスを推進するために、グループ本社としてのあるべき姿を定義したうえで、グループ企業群の特性に応じたガバナンス方針と横串機能を設計するとともに、縦軸(事業・地域)の自律的な経営を支援する体制を整備することが重要です。
横軸・縦軸の芯の通った強い執行体制の確立によって、縦軸のセルフマネジメントと横軸による一体的なマネジメントにより、コングロマリットプレミアムの創出が可能となります。

【図6】横串・縦串の芯の通った強い執行体制の確立

強い執行体制を支えるグループガバナンス基盤の再構築

本社(コーポレート)がコングロマリットプレミアムを創造するには、データが不可欠です。
すなわち、本社(コーポレート)が事業部門・子会社の事業活動や各種取引をモニタリングするために、グループにおける経営情報の適正性、均質性を担保するデータガバナンスを実現することが重要です。
 
<データガバナンス実現のポイント>

  • 会計ルール、会計処理基準、プロセス標準の統一(APM)
  • 個社勘定科目・連結勘定科目の統一、科目の中身の統一(COA)
  • 会計データとしての標準型の定義(データ標準)

【図7】データガバナンスの実現

レイヤーズのコーポレートガバナンス改革の構築ステップ

本社(コーポレート)部門におけるコーポレートガバナンス改革においては、まず本社部門のミッションを再定義し、価値創造部門としてのあるべき姿を描くことが重要です。
そのうえで、ミッションを果たすためのビジネスアドバイザーとしてのBP(Business Partner)、専門家集団としてのCoE(Center of Excellence)、オペレーションを担うOPE(Operational Excellence)の観点からグループ本社機能を定義します。
3機能の基本的な配置としては、BPは事業ラインに合わせて配置、CoEはグループ本社に配置、OPEは地域統括会社等に配置します。

【図8】横串としてのBP・CoE・OPEの配置

関連するセミナーアーカイブ

コーポレート(グループ本社)改革に関連するセミナーアーカイブ動画を配信しています。ご興味をお持ちいただけましたら是非お申し込みください。

企業価値向上を果たすためのCFO組織とFP&Aの強化とは

日本企業の企業価値向上を果たすためには、CFO機能の強化が不可欠です。欧米で一般的なFP&A(Financial Planning & Analysis)は、CFOの配下で、業績目標の達成のために計画策定やモニタリング、業績予測や分析を通じて、CEOや事業部門の意思決定を支援し、企業価値向上に貢献する機能であり、日本企業の企業価値向上のためにはこのFP&A機能の強化・活用が必須といえます。   【基調講演】 FP&A教育の第一人者として「最先端の経営管理を実践するFP&Aハンドブック」(中央経済社)などを執筆された日本CFO協会 FP&Aプログラム運営委員会 委員長(元 インテル日本法人CFO、元 日本トイザらス 代表取締役副社長兼CFO)の石橋 善一郎 氏をお招きし、企業価値向上のためのFP&Aの導入・活用についてご講演いただきました。   レイヤーズ・コンサルティングからは、真のCFO組織への変革、FP&A機能強化のポイント、財務経理機能におけるSSC・BPOによる生産性向上などを講演しました。   【講演Ⅱ】真のCFO組織への変革と、FP&Aが活躍するためのポイント 真のCFO組織とは何か、FP&Aに必要な武器と備え方、日本企業でどのようにFP&A活用の土壌をつくるか 等   【講演Ⅲ】FP&Aを活かす、財務経理機能の生産性向上とリソースシフト FP&Aが本来業務に注力できる組織の在り方、SSC/BPO化による戦略家へのリソースシフト、グループ横串管理のための会計システム統一 等

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