KPI・KGIマネジメント
KPI・KGIマネジメントとは、企業や組織の目標達成のために、各活動の業績管理指標であるKPI(Key Performance Indictor)及び、目標数値となるKGI(Key Goal Indicator)を定め、これらをベースに企業運営のPDCAサイクルを回していくことです。
VUCA時代と言われるように企業を取り巻く環境の複雑性や不確実性が増している今日においては、こうしたKPI・KGIによってマネジメントサイクルを回すことにより、環境変化やそれに伴う業績変動にスピーディかつ、きめ細かに対応していくことが重要です。
レイヤーズでは、KPI・KGIの定義や体系化、KPI・KGIを用いたPDCAサイクルや管理体制の構築、デジタルテクノロジーを活用したKPI・KGIの見える化(経営コックピット)などを支援するコンサルティングサービスを提供しています。
VUCA時代の勝ち残りをかけ、KPI・KGIマネジメントの見直しが求められている
現在ほとんどの企業でKPIを設定し目標管理を実施していますが、継続的に大きな効果をあげている企業は少ないのが実状です。
効果があがらない要因は様々ありますが、多くは下記のいずれかに該当します。
①KPI・KGIの定義が不明確
②経営目標とKPI・KGIの関係性に整合が取れていない
③設定されたKPI・KGIが多すぎてマネジメントしきれていない
④KPI・KGIが更新されていない
⑤KPI・KGIの責任者が不在で十分な改善活動が行われていない
変化の激しいVUCA時代に勝ち残っていくために、よりスピーディに環境・業績の変動を見極め、手を打ち続けなければいけません。
こういった時代背景を受け、KPI・KGIマネジメントの見直しが求められています。
【図1】多くの企業が抱えるKPI・KGIマネジメントでの問題
KPI・KGIマネジメントを実現するうえでの重要視点
KPI・KGIマネジメントの効果を上げるためには、KPI・KGIマネジメントとして企業運営のPDCAサイクルを回していく仕組みを構築することが必要です。
ここでは、KPI・KGIマネジメントを実現するうえで特に重要な視点を4つご紹介します。
①経営指標(KGI)からのリンケージ
②活用局面・アクションプラン、マネジメント運用の明確化
③KPI改善→KGI達成の数値化、シナリオ検証
④実績の自動収集等ICT活用による効率化
経営指標(KGI)からのリンケージ
KPI・KGIは、経営指標から分解して構成されるツリー構造で策定することが重要です。
例えば、ROIC(投下資本利益率)をKGIとして設定する場合、ROICの数値に直接影響を与える投下資本、営業利益といった目標値がその下位に置かれます。
この先も同様に、投下資本の下位には運転資本と固定資産、営業利益の下位には売上と費用といった目標値が置かれます。
さらに落とし込んでいくと、最終的に現場のプロセス指標まで分解され、そのうち自社の経営環境で特に重要な指標をKPIに設定します。
このように、因果関係が明確で数値連動するKPI・KGIストラクチャーを策定することがまず一つ目のポイントになります。
【図2】ROICを頂点とするKPI・KGIストラクチャーのイメージ
活用局面・アクションプラン、マネジメント運用の明確化
KPIが定まり業績変動の兆候を掴めたとしても、対応が後手にまわってしまうといったケースが往々にしてあります。
これはKGI達成に向けた戦略の具体化が不足していることが原因です。
ビジョン実現、KGI達成のためには、実績数値の動向を見ながら施策実行を判断していきます。予めビジョン実現、KGI達成に向けた具体的施策と施策モニタリングのためのKPIを明確にしておけば、どのような局面で、どのKPIを確認し、どのような施策を打つか、状況に合わせスピーディに動くことができます。
また、KPIを軸にしたPDCAの運用イメージも明確にしておく必要があります。マネジメント側と現場側で情報連携の精度・頻度が担保できていないと、個別対応を取るのが精一杯で目標達成に向けた全体最適の視点での対応が難しくなります。KPIの数字を共通言語とし、適切な粒度・頻度でコミュニケーションをとり、PDCAサイクルを回していくことでマネジメント側・現場側が一体となり継続的改革を実現することができます。
【図3】アクションプランへの落とし込みのイメージ
【図4】KPIを軸にしたPDCA運用のイメージ
KPI改善→KGI達成の数値化、シナリオ検証
スピーディ、かつ的確にKPI・KGIマネジメントのPDCAサイクルを回していくには、予めKGIが未達になる場合の想定要因を把握し、分析シナリオとして整理しておくことが重要です。
例えば、あるKGIが未達となる局面を想定する場合、KPI・KGIストラクチャーに沿ってドリルダウンする形式で関連指標の想定未達要因を明確にしておけば、KGI達成のためにどのKPIの改善が必要か、どのような施策を打つべきか、スピーディ、かつ的確に導き出すことができます。
また一方で、KPIを達成した場合、上位の指標が改善し、KGIを達成できるかどうかのシナリオ検証も必要です。これら原因分析のドリルダウンと改善実施による目標達成シミュレーションを繰り返し実施することで、KPI・KGIマネジメントの質がどんどん上がっていき、現場が自ら能動的に改善し続ける強い組織を生み出すことができます。
【図5】分析シナリオ検討のイメージ
実績の自動収集等ICT活用による効率化
KPI・KGIの実績集計、アラート検知、報告データ作成等のKPI・KGIマネジメントのシステム化も重要です。
システム化により、担当者は未達要因分析、施策検討・実施といったコア業務にさらに集中することができ、KPI・KGI達成のためによりスピーディできめ細かい対応が可能になります。
KPI・KGIダッシュボード構築により、タイムリーな数値のモニタリングや指標のドリルダウン分析も可能になり、さらにシミュレーション機能を持たせることで損益シミュレーションの精度・スピードを上げることもできます。
必ず最終的なシステム化まで視野に入れ、KPI・KGIマネジメント導入計画を立てるべきです。
【図6】KPI・KGI可視化のしくみのイメージ
レイヤーズのKPI・KGIマネジメントの導入ステップ
レイヤーズでは、下記のステップでKPI・KGIマネジメント導入を推進しています。
STEP1:目的・スコープの明確化(自社方針・戦略からの目的・スコープの整理)
STEP2:KPI・KGIストラクチャー策定(経営目標から現場施策・KPIまでの落とし込み)
STEP3:KPI・KGIマネジメントの運用業務・体制構築(運用業務・ルール・体制の構築)
STEP4:KPI・KGI可視化のしくみ構築(ダッシュボード等のシステム構築)
自社のKPI・KGIマネジメントの見直しにあたり、「こんなデータが見れたら良い、といった曖昧な社内ニーズを受け、具体的アクションにつながらないデータ取得に躍起になってしまった」、「必要以上の情報精度を追求した結果、コストや運用負担が過度に増加してしまった」といった失敗談をよく聞きます。
KPI・KGIマネジメントを単なる指標可視化で終わらせないために、変革に必要な数値・ITを徹底的に議論し再定義することが重要です。そのためにレイヤーズのKPI・KGIマネジメント導入支援では、必ず最初に目的・スコープの明確化を行い、プロジェクト全員が共通の考え・目的を持つプロセスを大事にしています。
【図7】目的・ビジョンの明確化のイメージ
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