経営コックピット導入のポイント
~失敗しないためにデジタルブームに踊らされるな!~
そこで今回は、経営管理におけるデジタル活用について失敗例を交えつつ、具体的内容と事例をご紹介いたします。
経営コックピットの落とし穴
経営管理のデジタル化の理想と現実
先行きが不透明で、答えが見い出せない激動の時代といわれている昨今、多くの企業がデジタル活用に活路を見い出そうとしています。環境変化の中で、特に経営者の重要な判断スピードが求められている状況下において、デジタルテクノロジーがもたらす経営管理に関わる情報も時々刻々と変化をしていきます。
1.頻度(月次から日次・週次)、2.時間軸(過去から未来)、3.粒度(サマリ情報から明細情報)、4.範囲(内部から外部)といった観点で得られる情報を進化させていくことで、リアルタイム性や予測・見込みの精度が格段に上がっていくことが予想されます。
【図1】求められる経営情報の変化
しかしながら、現在あらゆる企業において、デジタル技術で収集した情報を「経営コックピット」として活用を進めようとしていますが、大きな効果が出ている企業は非常に少ないと考えています。
特に、製造現場や個々の部門では進みつつあるものの、いざ経営側や部門を飛び越えた活用となると、欲しい形で情報が集まってこない「現場と経営のデータ分断」が起こっているケースが散見されます。
【図2】経営と現場の乖離
御社の経営コックピットは本当に機能しているか?
では、なぜ情報活用がうまくいっていないのでしょうか。失敗する原因は様々ありますが、多くはデータ活用の仕組みにとらわれ、そもそものKGI・KPIといった指標の定義や因果関係が不明確なまま設定されていることが多いことに起因します。よくある失敗事例としては以下が挙げられます。
【図3】経営コックピットの失敗事例
経営コックピット成功のポイント
次にどのようにすれば、デジタル化を成功させることができるのでしょうか。
大きく3つのポイントがあると考えております。
ポイント1:目的の明確化
ポイント2:『リアルタイム』の再定義
ポイント3:行動につながるKPI
ポイント1:目的の明確化
経営コックピットや見える化・KPIというプロジェクトが走ると、つい必要な数値・ITが何かという、「How」の議論になりがちです。本来は、自分達はどうなりたいのか、そういったビジョン・ミッションに基づき目的を明確にする「Why」の議論が最優先です。その上で、どういう戦略をとるのか、その戦略を達成するための組織や最適なPDCAは何か、そのために必要な数値・ITは何か…と順を追って必要なことを詳細化していくプロセスが非常に重要です。
【図4】目的明確化の重要性
ポイント2:『リアルタイム』の再定義
世間でいう「リアルタイム」とは、あくまでも即時にデータをとるという定義が一般的です。
当社はリアルタイムを「意思決定の迅速化+行動アクションの最適化・迅速化」であると定義しています。つまり、本来リアルタイムでやりたいことは、意思決定を早くするだけでなく、その後のアクションまでのリードタイムが最適化され、迅速なアクションにつながることではないかと考えております。
【図5】リアルタイムの再定義
例えば、4時間に1回しか改善ができない組織があった時に、リアルタイムは不要という考え方も正解です。4時間おきにデータがあればいいのです。その仕事にとってのリアルタイムはどのタイミングなのか?ということを真剣に考えて頻度を決定してくことが重要です。
ポイント3:行動につながるKPI
KPIはほぼ達成しているのに、なぜかKGIは達成していないということが往々にして起こります。
そのためには、KGI未達成のなぜを繰り返し、予め分析シナリオを考えておくことが大切です。
KPIや数値に固執せずに、分析シナリオのなぜの結果が現場のどのような行動・活用につながっていくかを見ていくことが非常に重要となります。
【図6】分析シナリオイメージ
CAP-Do Proactiveマネジメントによる意思決定・アクションの迅速化
ここでは上記の3つのポイントを踏まえ、当社の「CAP-Do Proactiveマネジメント」というコンセプトをご紹介します。CAP-Doというのは、いわゆるPDCAを半回転させたもので、まず把握(Check)からはじめ、問題となっている部分を可視化し、いち早く施策立案(Action)、計画策定(Plan)、実行(Do)していき、改善のスピードを高速回転で回していこうという考え方です。
一方、ProactiveはCAP-Doで出てきた実績値をベースとして未来予測を実施し、目標達成のために現場-ミドル-トップが一体となった改革をしていこうという考え方です。
これらをハイブリッドで活用することで、様々な企業様の迅速な意思決定とアクションが実現します。
【図7】CAP-Do Proactiveマネジメント
大手製造業における経営コックピット構築
とある大手製造業では、本社-製造本部-製造子会社におけるデータがExcelのバケツリレーでつながっており、いざ問題が発生した後の対応が非常に遅れていたという課題がありました。
そこで、CAP-Do Proactiveマネジメントのプラットフォームを導入し、皆が同じデータを見て、必要な時に必要な分析シナリオで原因分析を行うことで、意思決定からアクションまでのスピードの迅速化を実現しました。
さらに、あらゆる変化(製造数量の変化等)が起きた場合の影響を常にシミュレートし、予算・中期計画へ継続的にフィードバックを行い、計画目標達成に向けた取り組みを進めています。
加えて、本取り組みでは本部と子会社の機能配置を見直しています。本部をCoEとして機能強化し、本部から専門的な各種支援をすると同時に、生産現場も変化に強いものづくりを目指して、設備の汎用化や多能工化の教育改革といった施策も並行で進めています。
【図8】事例:大手製造業における経営コックピット構築の取り組み




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この記事の執筆者
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田平 智規経営管理事業部
マネージングディレクター -
武貞 正浩経営管理事業部
バイスマネージングディレクター -
大橋 遊経営管理事業部
マネージャー -
富重 成顕経営管理事業部
マネージャー
職種別ソリューション