会計システム刷新

会計システム刷新シリーズ総集編(その2)

◆この記事の要約

本記事では、老朽化した会計システム刷新に向けて、ERPや会計パッケージを構成する一般会計、債権管理、債務管理、固定資産管理、経費管理、資金管理の各サブシステムについて、標準機能と導入時に吟味すべきポイントを解説します。

  • 一般会計サブシステムでは、仕訳入力、仕訳承認、総勘定元帳転記、多通貨対応、複数元帳機能、配賦機能の確認が重要となる
  • 債権管理・債務管理では、計上処理、請求・支払、入金・消込、相殺、残高管理、一般会計への仕訳連携を業務フローに沿って整理する必要がある
  • 固定資産管理では、取得から除売却、減価償却、減損、リース、一般会計連携に加え、日本基準・IFRS・税法基準への対応が重要となる
  • 経費管理・資金管理では、クラウドサービスや専用パッケージも含め、入力負荷軽減、承認ワークフロー、資金繰り管理、ERPとの連携を検討する必要がある
2000年前後に各社で構築された会計システムは、四半世紀が経ち大きく老朽化し、刷新の必要性が高まっています。レイヤーズ・コンサルティングでは、ERPや会計システムパッケージによる「会計システム刷新のキホンのキ」として、35回に分けて会計システムの刷新の秘訣をご紹介してきました。
 
ERPや会計システムパッケージは、一般会計、債権管理、債務管理、固定資産管理、資金管理、経費管理などのサブシステムから構成されています。
 
そこで会計システム刷新シリーズ総集編(その2)では、第7回~第13回を振り返り、財務会計領域のサブシステムのポイントをご紹介します。

【第7回】会計システムの一般会計って何のこと?(前編)

会計システム刷新で重要な「一般会計サブシステム」は、仕訳帳・総勘定元帳(General Ledger)を中核に、仕訳入力→承認→元帳転記(残高更新)までを統括する機能です。

そこで「【第7回】会計システムの一般会計って何のこと?(前編)」では、ERPや会計パッケージ導入時に確認すべき一般会計の標準機能(入力画面、入力項目、登録方法、仕訳入力補助機能、仕訳承認ルート設定など)の要点を、内部統制の観点も含めて解説しました。

主なポイント

  • 一般会計サブシステムの役割
    会計における仕訳帳と総勘定元帳の役割を担うサブシステムが一般会計サブシステム
    会計システムの中核機能として、仕訳入力、仕訳承認、元帳転記機能を保持
     
  • 仕訳入力機能
    仕訳入力機能は、企業の取引を正確に記録し、財務諸表作成や経営分析の基礎となる重要な機能
    入力項目、手動入力・CSV登録・IF登録・仕訳自動計上など、ERPや会計パッケージによって異なるため導入時に吟味
     
  • 仕訳入力補助機能
    ERPや会計パッケージによって、仕訳パターン登録機能、仕訳コピー機能、定期定例仕訳自動計上機能、反対仕訳自動生成機能などの補助機能を保有
     
  • 仕訳承認機能
    入力された仕訳は、内部統制の観点から複数の段階で承認を経て、正式な仕訳として確定
    正式な仕訳は直接的な修正や削除は不可。仕訳承認の承認段階数やワークフロー機能はERPや会計パッケージによって異なるため導入時に吟味

【図1】一般会計サブシステムの主要機能

【第8回】会計システムの一般会計って何のこと?(後編)

会計システム刷新の土台となる一般会計サブシステム(仕訳帳・総勘定元帳)の総勘定元帳転記機能、通貨対応機能、複数元帳対応機能、配賦機能などは、ERPや会計パッケージで異なるため、導入時に確認すべき重要な項目です。

そこで「第8回 会計システムの一般会計って何のこと?(後編)」では、特に重要な確認ポイント(総勘定元帳転記、多通貨対応、複数元帳機能、配賦機能など)を解説しました。

主なポイント

  • 総勘定元帳転記機能
    総勘定元帳転記とは、一定期間の仕訳データを元に、元帳残高テーブルの残高を計算し、記録(転記)すること
    元帳残高テーブルのキー項目(勘定科目、組織、取引先、セグメント、プロジェクト等)、更新(計算)タイミング、残高計算期間(日、週、月、四半期、半期、年等)、会計期間のオープン・クローズ、年度繰越機能などは、ERPや会計パッケージで異なるため導入時に吟味
     
  • 多通貨対応機能
    会計システムに記録する基準となる通貨が記帳通貨(日本の場合、通常は円)
    記帳通貨以外の通貨で記帳できる機能が外貨建取引管理機能。換算レート(TTS、TTB、TTM)、外貨建資産・負債の元帳残高、為替換算損益/期末評価替えの自動計算・自動仕訳などは、ERPや会計パッケージで異なるため導入時に吟味
     
  • 複数元帳機能と多通貨元帳機能
    総勘定元帳を日本基準とIFRS、財務会計と管理会計など複数持てる機能が複数元帳機能
    子会社などの総勘定元帳を現地通貨と円などで持てる機能が他通貨元帳機能
    これらは、ERPや会計パッケージで異なるため導入時に吟味
     
  • 配賦機能
    元帳残高(勘定科目、組織等)を、他の組織や勘定科目に配賦できる機能が配賦機能
    配賦元・配賦先設定、配賦基準、配賦率計算、非会計データ(人数・面積等)保持、多段階配賦、予算と実績での配賦条件差の可否などを導入時に吟味

【図2】複数元帳のイメージ

【第9回】会計システムで債権管理ってどうやるの?

債権管理サブシステムは、売掛金などの計上、請求、回収業務などを効率的に管理するためのサブシステムです。特に、販売管理システム等と連携して、企業における重要な債権を管理するシステムであり、債権管理サブシステムがどのような標準機能をもっているかによって、As-Is業務とのギャップが出やすい機能でもあります。

そこで「第9回 会計システムで債権管理ってどうやるの?」では、債権管理サブシステムでの計上・請求・入金・消込・相殺・残高管理から一般会計システム連携まで、標準機能の勘所と確認ポイントを業務フローに沿って整理し、販売管理システム等との役割分担まで解説しました。

主なポイント

  • 債権管理サブシステムの主要機能
    発生した債権明細を起点に、計上処理→請求処理(締め)→入金処理→消込処理→相殺処理→残高管理までを債権明細単位で管理し、一般会計へ仕訳連携
     
  • 債権計上の前提
    債権管理サブシステムで債権管理を行うためには、管理する取引先や勘定科目(売掛金、未収入金等)、回収条件(締め日、回収サイト、一括回収・分割回収、回収手段等)などを取引先マスタに事前に設定することが必要
     
  • 登録方法と統制
    手動入力、Excel等(CSV)からのインポート、インターフェースデータ連携などで登録
    前二者は内部統制の観点から確認・承認が前提、後者はIT統制が担保されていれば確認・承認を省略することもできる
     
  • 電子帳簿保存法対応
    会計システムに証憑を電子保存したい場合は、取引先への納品書や請求書等の証憑を電子的に添付できるか否か、添付操作がしやすいかなども確認が必要
     
  • 導入時の確認
    回収条件(サイト、手段等)の標準機能の制限、請求書発行(アドオン要否)、自動消込(マッチング方法、マッチング率等)、相殺処理、滞留期間管理(年齢調べ)やアラーム等As-Is業務とのギャップが出やすい機能を吟味
    標準機能の制限でアドオン開発が増えるなら、販売管理システム側に債権管理機能を持たせる選択肢も検討

【図3】債権管理システムの取引計上イメージ

【第10回】会計システムで債務管理ってどうやるの?

債務管理サブシステムは、買掛金などの計上、支払決定、支払業務などを効率的に管理するためのサブシステムです。特に、債務管理サブシステムは、購買管理システム等と連携して、企業における重要な債務を管理するシステムであり、債務管理サブシステムがどのような標準機能をもっているかによって、As-Is業務とのギャップが出やすい機能でもあります。

そこで「第10回 会計システムで債務管理ってどうやるの?」では、債務管理サブシステムでの計上・支払決定・支払・消込・相殺・残高管理から一般会計システム連携まで、標準機能の勘所と確認ポイントを業務フローに沿って整理し、購買管理システム等との役割分担まで解説しました。

主なポイント

  • 債務管理サブシステムの主要機能
    発生した債務明細を起点に、計上処理→支払決定処理(締め処理)→支払処理→消込処理→相殺処理→残高管理を債務明細単位で管理し、一般会計へ仕訳連携
     
  • 債務計上の前提
    債務管理サブシステムで債務管理を行うためには、管理する取引先や勘定科目(買掛金、未払金等)、支払条件(締め日、支払サイト、一括支払・分割支払、支払手段等)を取引先マスタに事前に設定することが必要
     
  • 登録方法と統制
    手動入力、Excel等(CSV)からのインポート、インターフェースデータ連携などで登録
    前二者は内部統制の観点から確認・承認が前提、後者はIT統制が担保されていれば確認・承認を省略することもできる
     
  • 導入時の確認
    支払条件(サイト、手段等)の標準機能の制限、支払通知書発行(アドオン要否)、ファームバンキングデータ・でんさいデータ連携、支払仕訳・消込仕訳のタイミングなどAs-Is業務とギャップが出やすい機能を吟味
    標準機能の制限でアドオン開発が増えるなら、購買管理システム側に債務管理機能を持たせる選択肢も検討

【図4】債務管理システムの取引計上イメージ

【第11回】会計システムで固定資産管理ってどうやるの?

固定資産管理サブシステムは、企業が所有する固定資産(建物、機械設備、車両、備品など)の情報を一元管理し、資産の取得から廃棄までのライフサイクルを効率的に管理するためのサブシステムです。
特に、日本において固定資産管理は、税法からの影響を強く受けている会計領域であり、ERPや会計パッケージの導入にあたっては、固定資産管理サブシステムがどのような標準機能をもっているか、日本の税法にどこまで対応しているかが重要となってきます。 

そこで「第11回 会計システムで固定資産管理ってどうやるの?」では、会計システム刷新で固定資産管理をどう実現するかを、取得から除売却、減価償却、減損、リース、一般会計連携まで導入時の確認点を解説しました。

主なポイント

  • 固定資産サブシステムの主要機能
    固定資産(有形・無形)の登録、履歴管理(設置場所変更・譲渡・売却・廃棄)取得・除売却処理、減価償却費計算、現物管理、リース処理などを固定資産の物件単位で管理し、一般会計へ仕訳連携
     
  • 登録内容
    固定資産の個々の物件に関する資産番号、資産名、設置場所、管理組織、取得日、取得価額、などの情報を固定資産マスタとして登録・管理
    会計処理のために、資産の種類(建物、機械、備品など)や耐用年数、減価償却方法などの分類も設定
     
  • 登録方法
    手動入力、Excel等(CSV)からのインポート、インターフェースデータ登録などで登録
    前二者は内部統制の観点から確認・承認が前提、後者はIT統制が担保されていれば確認・承認を省略することもできる
     
  • 導入時の確認
    Excel(CSV)インポートやインターフェース登録機能、建設仮勘定整理機能、将来予測シミュレーション機能、減損登録機能(帳簿価額・回収可能価額)、日本基準(JGAAP)・IFRS・税法基準の並行管理機能、税法対応帳票の豊富さ等はERPや会計パッケージによってとなるため導入時に吟味
     
  • 新リース基準対応
    2027年4月の新リース会計基準対応が可能かも吟味

【図5】固定資産管理のイメージ

【第12回】会計システムで経費管理ってどうやるの?

経費管理サブシステムは、企業の一般社員が旅費や交際費等の立替払いなどの経費を計上するために使用するサブシステムです。昨今では、クラウドサービスや経費精算システムとして、様々なサービスが提供されているため、それらのクラウドサービスを導入するか、ERPや会計パッケージの経費管理サブシステムを導入するかの判断が重要となってきます。

そこで「第12回 会計システムで経費管理ってどうやるの?」では、個人立替精算処理、請求書払処理、承認ワークフロー処理、会計システム連携処理の要点と導入判断基準を解説しました。

主なポイント

  • 経費管理サブシステムの主要機能
    個人立替精算処理(旅費交通費・交際費等)と請求書払処理を軸に、申請・承認・管理を効率化
     
  • 入力負荷軽減と誤謬予防が鍵
    交通系ICカード連携、領収書/請求書の画像・PDF添付、OCR登録、消費税計算、ルート金額チェック等で、仕訳に不慣れな従業員でも運用可能
     
  • 承認ワークフローの見直し
    上長・部門長・経理担当者の承認、修正依頼・棄却、事前承認や金額超過アラームなど承認ワークフロー機能の豊富さを吟味
    システムの導入前に、承認の簡素化(権限移譲)でハンコ文化を是正することを推奨
     
  • 一般会計への連携
    仕訳を生成し、一般会計に連携するタイミングやデータの流れを導入時に確認
     
  • クラウドサービスの活用
    ライトユーザー対応やライセンス料の増大回避、分かり易いユーザーインターフェースなどでクラウドサービスの採用も検討

【図6】個人立替精算の入力項目

【第13回】会計システムで資金管理ってどうやるの?

資金管理サブシステムは、預金、有価証券、貸付金、借入金などを効率的に管理するためのサブシステムです。特に、資金管理サブシステムは、預金、有価証券、貸付金、借入金などの管理対象が多い企業では重要なシステムです。

資金管理サブシステムは、ERPや会計パッケージの一部として提供されるものもありますが、専用パッケージやクラウドサービスとして提供されるものもあるため、ERPや会計パッケージの導入にあたっては、それらがどのような標準機能をもっているか、ERPや会計パッケージと同じものを選ぶか、違う提供企業が提供するものを選ぶかなどの検討が重要になってきます。

そこで「第13回 会計システムで資金管理ってどうやるの?」では、預金・有価証券・貸付金・借入金をどう管理し、一般会計やファームバンキング等とどう連携するか、ERPや会計パッケージの標準機能の活用と専用パッケージ・クラウドサービスの選び方などを解説しました。

主なポイント

  • 資金管理サブシステムの主要機能
    預金管理・有価証券管理・貸付金管理・借入金管理を中心に、金融資産・負債の管理を効率化。導入時に管理可能範囲を確認
     
  • 預金管理
    銀行口座情報管理、入出金管理、入金予定・出金予定管理、振込依頼データ管理、資金繰り管理、外貨建預金管理で資金繰りの最適化を支援
     
  • 有価証券管理
    有価証券の銘柄管理、取引履歴管理、評価替管理などを一元化
     
  • 貸付金・借入金の管理
    契約条件管理、取引履歴管理、評価替管理、利息の受領予定・満期償還予定、返済スケジュール、利息の自動計算、与信管理・リスク評価、電子契約管理、外貨建管理までを一元化

【図7】有価証券管理のイメージ

まとめ

今回は会計システム刷新シリーズ総集編(その2)として、第7回~第13回を振り返り、財務会計領域のサブシステムのポイントをご紹介しました。

今後の会計システム刷新は、ERPや会計パッケージに限らず様々なクラウドサービスやAIサービスを活用して「真に経営に資する情報システム」として実現する必要があります。個別のERPや会計パッケージ、クラウドサービスの活用のポイントについて、レイヤーズ・コンサルティングでは多数のご支援実績をもとに、貴社の課題感に合った内容をご紹介することが可能です。是非お気軽にお問い合わせください。

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