Excel依存からの脱却。
全社統合計画シミュレーションシステム構築ガイド
この記事の要約
Excel依存から脱却する全社統合計画シミュレーションシステムについて解説した記事です。計画策定が遅れる要因、需要予測から計画損益までをつなぐCPMのデータ連動モデル、アーキテクチャ選定、予実差異分析を次の計画や戦略的アクションに活かす仕組みを紹介しています。
この記事を読むとわかること
- Excel依存の計画業務から脱却する進め方
- 全社統合計画シミュレーションシステムの仕組み
- 自社に合うシステムアーキテクチャの選び方
- 予実差異分析を戦略的アクションに活かす方法
なぜあなたの会社の計画策定は、いつも遅れるのか?
「経営層から急なシミュレーション依頼が来たが、すぐには回答できない」「各部門から集めたExcelファイルの整合性チェックに膨大な時間がかかる」こうした光景は、決して他人事ではないはずです。Excelは優れたツールですが、全社規模の計画管理においては、属人化や人的エラーの温床、バージョン管理の破綻といった限界を露呈します。市場の変化に対応し、経営判断のスピードを上げるためには、このExcel依存の構造から脱却することが必然といえるでしょう。目指すべきは、構造化された統一データモデルのうえで、計算ロジックが自動化・標準化された世界です。
【図1】Excelバケツリレーの限界
経営の神経系統をつなぐ、理想のデータ連動モデルとは
理想的な経営管理基盤とは、いわば企業の「神経系統」です。ある営業部門が販売計画の数量を変更した瞬間、その情報が即座に生産計画、購買計画、人員計画に伝達され、最終的に全社の計画損益インパクトとして経営層のダッシュボードに反映されます。このような「一気通貫」のデータ連動モデルこそが、CPM(Corporate Performance Management)システムが目指す姿です。需要予測という「源流」から、BOM(部品表)展開による生産・購買計画、そして計画原価計算を経て、計画損益という「河口」まで――この水の流れを淀みなくつなぐことで、部門間のサイロを破壊し、全社最適の意思決定を迅速に行うことが可能になります。
【図2】計画シミュレーションシステムのあるべき姿
自社に最適なシステムは?賢いアーキテクチャの選び方
計画シミュレーションシステム導入を検討する際、重要な判断軸となるのが「データの量(トランザクションボリューム)」と「計算ロジックの複雑性」です。比較的シンプルな事業構造であれば、CPMシステムでその全量をカバーできます。しかし、例えば、SKU(最小管理単位)数が膨大で、多段階のBOM展開や複雑な原価配賦ロジックを高速で処理する必要がある場合、高性能な計算エンジンを持つ原価計算パッケージをCPMシステムと組み合わせて実現することになります。自社の意思決定サイクルや求める粒度に見合わないオーバースペックな投資や、逆に安価でも性能不足なシステムは避けるべきです。スモールスタートで始め、段階的に拡張していく視点も重要になります。
【図3】トランザクションボリュームが多く、計算ロジックが複雑な場合のシステム構成例
「計画して終わり」にしない、予実差異を未来に活かす仕組み
精緻な計画シミュレーション基盤を構築しても、それだけでは不十分です。重要なのは、実績との差異(予実差異)を分析し、その学びを次の計画に活かす「学習ループ」を回すことです。なぜ計画と実績は乖離したのか、それは原材料の「価格」が原因か、生産の「歩留まり」か、あるいは販売の「数量」や「構成比」の問題か――この差異要因をタイムリーに特定し、恒常的な問題なのか、偶発的な事象なのかを切り分ける仕組みが不可欠です。そのためには実績原価計算の仕組みを整備し、製造実績や購買実績とタイムリーに連携させることで、PDCAサイクルそのものをシステムに埋め込むことができます。
【図4】実績損益・原価算定による予実分析
データは武器になる、シミュレーションシステムで実現する戦略的アクション
統合されたシミュレーション基盤は、単なる「見える化」ツールではありません。下記のように具体的なアクションを高速で検証し、実行するための「武器」となります。
- 製品・顧客ポートフォリオの見直し
製品・顧客の注力度合いを変更した場合の損益インパクトおよび製造・物流インパクト分析。
- 営業見積原価の随時改定
ある企業では、実際原価との乖離が大きかった見積原価を、シミュレーション結果に基づき月次で見直すことで、赤字受注・機会損失のリスクを劇的に抑制。
- 機動的生産拠点の見直し
地域ごとの需要の変動を反映し、地域ごとの生産量・損益を明らかにし、最適な調達・生産拠点を選定するなど機動的な変更。
- 固定費マネジメント
先々の需要をとらえた場合の利益見込み分析。先手を打った固定費の削減または戦略投資。
上記のような全社規模のシステム改革は、どこから手をつけるべきか悩むことも多いでしょう。まずは現状の業務とシステムの課題を整理し、最適な導入計画を描くことから始めてみませんか。
【図5】シミュレーション基盤を活用した戦略的アクション
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この記事の執筆者
-
上山 吾郎経営管理事業部
マネージングディレクター -
広瀬 亜未SCM事業部
マネージャー -
増田 凪紗経営管理事業部
シニアコンサルタント
職種別ソリューション






