コーポレート機能の抜本的なスリム化

昨今、人不足やガバナンス強化に向けた要求から、生産性を向上させることや、コーポレート機能による改革・事業への貢献がより一層求められています。前回2023年4月5日にご案内した記事「経営・事業に資するコーポレート機能のプロ化とSSCの果たすべき役割」にて、コーポレート機能改革を進めて行く際のグループのシェアードサービスセンター(SSC)が果たしていくべき役割について示しました。今回は、コーポレート機能を“抜本的”にスリム化していくための考え方について示してまいります。

コーポレート機能のスリム化施策

コーポレート機能のスリム化を進めるにあたって重要なのは“基本的には外部化をする”というアプローチを採って施策を進めることです。バリューチェーン上の重要な業務、つまり競争優位性に影響するコア業務は、各々(各社)に残しますが、一方のノンコア業務は外部化しコーポレート機能のスリム化を進めていきます。

【図1】コーポレート機能におけるOPEのスリム化の考え方

具体的には、下記表のような施策をもとにオペレーショナルな業務をスリム化していきます。

【図2】コーポレート機能におけるOPEのスリム化施策

特に、リモート化を進めることは、例えばフルタイム以外の勤務形態を望む人財や、オフィスから遠方に居住する人財等、多様な人財を雇用することに繋がります。人財の多様性による創造性や革新性の向上といったメリットだけでなく、繁閑に応じた人財と業務のマッチング調整も可能となり、その結果としてコスト削減にも寄与すると考えます。

“抜本的”なコーポレート機能のスリム化

究極的にデジタル化・外部化と余剰・余力の”再適”配置(グループ内での配置だけでなく、外部転身までも含めたコーポレート人財ポートフォリオの再設計・配置)を進めれば、一般的には70%のコーポレート工数削減がはかれると考えられます。
しかしグループ各社の自立とグループ全体のガバナンスの両立や、デジタル化・外部化と”再適”配置の徹底度合いのバランスを鑑みたスリム化の設計が肝要になってきます。
現時点ではコストを理由に外部化している業務であっても、将来的にはデジタル化の進展等により内部化させることの方が経済的になることもあるでしょう。
また、単に本社部門から別部門、外部に人財を配置しても、リスキルに対応できていないケースも多いのが現状だと思われます。さらに、経営の求める対象人員数の規模、スピード感と、対象者となる従業員の納得感がすり合うことも稀であると思われます。例えば、リスキル施策の設計、本人のキャリアに対する意向や適性もアセスメントできるようなスキームを検討したうえで、ある部署全体を外出しするような方法も選択肢としては考えられます。
そうした中、抜本的なスリム化を実現する上では、SSCの活用が不可欠であり、顧客(グループ本社・各社)とSSCが一体となって人財を育成・活用するスキームが求められます。
例えば人財を本社からSSCに移し、SSCで適所適財として活躍してもらうことや、逆にSSCが顧客(グループ本社・各社)に代わって3ピラーモデルにおけるBP(各事業部門に対する具体的サポート)人財や、CoE(戦略の担い手)人財を採用するようなことも考えられます。

【図3】抜本的なコーポレート機能スリム化の考え方

【図4】余剰・余力の”再適”配置

SSC・BPOの活用モデル

下記の表は、抜本的なコーポレート機能のスリム化における、SSC(グループの間接業務を担う機能子会社・組織)、BPO(グループ外の委託業者)の活用のあり方をモデル化したものです。
SSC、BPOの活用を図るにあたって、今後は、自由度(日本固有の専門業務の委託可否)や、カントリーリスクを回避することが必要不可欠になってきます。こういった状況を鑑みると、国内特化型BPOサービスの活用が求められてくるでしょう。
将来的なコーポレート機能の強化を鑑みた、活用のあり方を設計していくことが重要です。

【図5】SSC・BPOモデル

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