ついに始まる!Planning DXの新潮流、xP&Aとは?

半導体不足、物価上昇、円安など環境変化のボラティリティが高まっている昨今において、伝統的手法での計画立案・モニタリングを通じた経営管理では対応が不可能と言えます。このような中で注目されている考え方がxP&Aと呼ばれる経営手法です。
これは財務領域でのみ実施されていたFP&Aを、他の領域まで広げ、全社のあらゆる業務と継続的な協調を実施することで、変化を即座に把握し、進むべき方向を予測し、そこにアジャストするマネジメントが可能になるとされています。
 
本日はこのxP&Aの考え方を中心に、今後の計画業務の在り方についてご紹介いたします。

VUCA時代に求められる計画策定業務とは

どの企業においても年次の経営計画を立案しているかと思います。しかしその計画をどのくらいの期間で構築されていらっしゃるでしょうか。恐らく多くの企業では3Qの途中からプロセスが開始され、4Qが終わるまでの4-5か月をかけていらっしゃるのではないでしょうか。

日本における経営管理はこの計画を最重要視し、これまでここに多くのリソースを割いてきました。しかし、年間の活動の3分の1から半分位の時間をかけて作られたこの計画の前提条件が環境変化によって大きく変更してしまったとしたらどうでしょう?果たして計画を作り直せるような気力・体力が現場に残っているでしょうか。
また、環境変化が激しい現代において、そもそも長い時間をかけて策定するプロセス自体、あるべきプロセスと言えるでしょうか。

VUCAの時代における計画策定は計画を正しく時間をかけて作りこむことではなく、機動力・アジリティをもって修正し続けられることが重要になると考えています。

【図1】軌道修正活動実施イメージ

プランAにこだわり続けざるを得ない日本企業

多くの企業で使われている計画策定ツールはMicrosoft Excelを中心としたスプレッドシートです。このExcelを部門間をまたいだバケツリレーでつなぎながら各部門が計画策定のプロセスを実行しているのが実態です。Excelはとても便利なツールではありますが、情報を「つなぐ」という観点からすると不向きであると言わざるを得ません。

いろいろなバージョンのExcelが各部門に散在し、そのExcel同士が連携しておらず、人手を介在するため、エラーも起きやすく、透明性確保ができません。結果として計画プロセスのスピードが失われてしまいます。

【図2】Excel計画業務イメージ

先ほどの問いに戻りましょう。
「計画の前提条件が環境変化によって大きく変更してしまったとしたら?」
もう一度計画のプロセスを実行することは不可能です。ですので、企業は計画前提が変わっていると解っていながら、最初に立案した計画を正とし、その達成の為のまさに「PDCA」を回さざるを得ないのです。

そのため本来であればプランB、プランCを発動しなくてはならない状況にあるにもかかわらず、プランAに固執し、結果ビジネス上のチャンスを逃す事は少なくありません。皆様にも同じような経験があるのではないでしょうか。

例)
製造業A社は新サービスのためのアプリを開発。約2年の期間をかけてローンチしたものの、新型コロナウイルスに対する自粛の影響もあり、サービスが世の中に受け入れられなかった。
本来であれば体制を大きく縮小し細々と続けるか、サービス自体を辞める決断をすべきであったが、役員肝入りの案件であったため、やめるにやめられず当初のアプリのコンセプトは変更せずに広告宣伝費を使い続けているが全く売れ行きは伸びていない。

今注目の「xP&A」って何?

これまでお話ししてきた伝統的なExcel数珠繋ぎの計画プロセスでは最終的に組みあがった全社レベルでの数値が一体どこからきているのか、どういう根拠でこの数字になっているのかを読み解くことは不可能であると言えます。

また、数値に変更が生じた場合、スピーディな数値の影響把握や機動力を持った計画変更は難しいと言えます。

xP&Aでは「組織を横断した拡張計画・分析」とも言われ、これまで財務部門だけで取り組んできたFP&Aの考え方をあらゆる部門に展開し、各部門がそれぞれ作成してきた計画をデータで連動させます。

例えば営業の販売計画⇒製造の生産計画を連動することだけでもタイムリーに市場の変化を取り入れられるようになり、機動力を持った活動の実現が可能になり、「継続的で動的な計画策定」を可能にします。

最終的には需要予測やマーケティング計画から販売・生産・在庫・調達計画と原価計算、そこから人員や投資・資金といった資源計画が連動され、最終的に財務諸表まで完全連動されることが理想と言えます。

もちろんここまでを全て実現するためにはExcel数珠繋ぎでは限界があり、システムでの実現が不可欠になります。

【図3】xP&Aイメージ

2023年はPlanning DX元年に!

xP&A実現=まさにPlanning DXと言い換えることもできます。マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートでは「優れたプランニング能力を持つ企業が競争に勝ち残る」とされており、闇夜をドライビングしながら意思決定を矢継ぎ早にしていく必要がある昨今において、変化に対応し続ける計画プロセスを構築できるかがポイントとなります。

多くの企業で現在の計画立案プロセスと現実ビジネスとの間には大きなGAPがあり、またそのGAPは年々大きいものとなってきていることは確実です。

これまで現場業務を中心にDXが推進されてきましたが、ついに今後数年間で計画系のDXが始まろうとしています。まさに2023年はPlanning DXの元年ともいえる年になることは間違いありません。

このPlanning DXの波にいち早く乗り、競争優位をつくるご支援を引き続きしてまいりたいと思っておりますので、是非お問い合わせください。

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この記事の執筆者

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