デジタル戦略

デジタル戦略とは

デジタル戦略とは、ITテクノロジーを使用してビジネスパフォーマンスを向上させることで、DX戦略とも呼ばれています。デジタル戦略には2つのパターンがあります。1つ目は、組織がテクノロジーによって新たに競争力を獲得するための方向性の確定(概念的)、2つ目は、1つ目を達成させる戦略の確定(具現的)です。

デジタル戦略の重要性

デジタル戦略の重要性については、経済産業省が発表した「DXレポート」により大きな話題となり、その認知度が上がりました。また、昨今のコロナ禍でのリモートワークや顧客との非対面によるコミュニケーションなど、デジタル技術を抜きにはビジネスモデル転換は実現できません。
あらゆる要素がデジタル化されていく時代に向けて、ビジネスモデルを抜本的に変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)し、新たな成長を実現する企業が現れてきており、グローバルプレーヤーによる新たなビジネスモデルが既存ビジネスを淘汰してしまう(デジタルディスラプション)脅威も顕在化してきています。こうした時代変化の中で、持続的な企業価値の向上を図っていくためには、企業全体の組織構造や企業文化の改革、中長期的な投資を行う観点からも、経営者の関与が不可欠なものとなります。具体的には以下の取り組みをデジタル戦略において重視しています。
 

  1. ITシステムとビジネスを一体的に捉え、新たな価値創造に向けた戦略を描いていく
  2. ビジネスの持続性確保のため、ITシステムについて技術的負債となることを防ぎ、計画的なパフォーマンス向上を図っていく
  3. 必要な変革を行うため、IT部門、DX部門、事業部門、経営企画部門など組織横断的に取り組む

(経済産業省「デジタルガバナンス・コード」より引用)

デジタル戦略を担う体制

デジタル戦略は経営者が責任を持って推進することが重要です。デジタル戦略においては、企業文化の変革や新たなサービスモデルの創出など、既存事業や既存の仕事のやり方を変える取り組みが重視されるため、現場での活動においてはアイディア発出やPoCを進めた後、本格的なビジネス化には経営の参画による様々な課題、調整が欠かせません。
 
そのため、DXの専任組織を置き、これを経営者がサポートしたり、DXを専門に担当するCDO(CDXOとも呼ぶ)を設置してCDOがその推進役を担ったりするケースが増加してきています。JUAS「企業IT動向調査報告書2021」によると、日本企業ではDXの専任組織による推進が依然として多く、CDOによる推進は6.5%に留まると報告されています。
 
また、CDOによりDXの推進組織を設置しますが、理想形は経営の直下にDX組織を設置し事業横断、組織横断による取り組みが望ましいのですが、企業の風土に合わせ各事業部門やIT部門配下にDX推進組織を設置し、クイックウィンによる実績をバネに段階的に理想形に格上げすることを目指している企業もあるようです。

DX戦略を成功に導くポイント、発想の転換

次に、デジタル戦略を成功に導く4つのポイントをご紹介します。
 
1つ目はツール志向(AI・RPA・ERP)から経営志向へとシフトすることです。新たなビジネスモデルを想起するキーワードとして、例えば「サブスクリプションモデル」、「モノからコト化(サービス化)」、「シェアリングエコノミー」、そしてテクノロジーでは「チャットボット」、「サービス提供型AI」、「RPA」等があります。デジタル戦略というとこれらを導入することを想像しがちですが、あくまでこれらは手段にすぎず、新規事業開発、既存事業におけるビジネスモデル変革、超効率経営を目標として設定し、その上で手段としてのツールを検討することが重要です。
 
2つ目は短期・内部志向から中期・外部志向へとシフトすることです。今までのIT開発は各部門の現在の困りごとの抽出を元に要件定義、開発を行いました。しかし、経営目的を達成するためのデジタル戦略を実現するためには3~5年かかります。このような数年先の事業、プロセスのイメージには、外部環境、顧客、競争者の変化をみる必要があります。具体的には、3~7年程度の時間軸を設定すること、外部環境分析(政治・経済・社会)+技術分析+顧客分析+競合分析を短期集中で行うこと、中期モデルを策定すること(そのために必要なデジタル技術を定義する)、画像化(見える化)することです。
 
3つ目は部分システムから全体システムへとシフトすることです。コミュニケーションシステム、データベース、基幹業務システムのどれかに取り組むのではなく、これらを同時に取り組むことが重要です。
 
4つ目は中途半端投資から適正投資へとシフトすることです。人財投資として、IT人財中心+IT専門外部パートナーへの投資を止め、(精鋭クロスファンクションチーム+トップマネジメント)+(経営+デジタル技術に強い外部パートナー)へ投資します。年度予算内での安値小出し発注を止め、経営側の積極的な参加によるメリハリのある適時適正投資が重要です。

DX戦略のまとめ

世の中が目まぐるしく変化する中、デジタル戦略の検討・実行は必要不可欠になっています。しかし、多くの日本企業はデジタル戦略に苦戦しています。一歩先んじるためには、経営のサポートをうけたDX専任組織、あるいはCDOが上記の4つのポイントをしっかり押さえ、組織に合った体制でデジタル戦略を企画・推進して行くことです。

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