ERP

ERPとは情報の一元管理を図るためのシステムのことで、企業内の莫大なデータを1か所に集めて管理することが可能です。すでに多くの企業に導入されているERPですが、このコロナ禍において、その注目はさらに広がっています。ここでは近年さらに注目を集めているERPについて、その導入メリットなども合わせてご紹介します。

ERPとは

ERPとはEnterprise Resource Planningの略で、日本語では統合基幹システムと呼ばれます。企業の資源であるヒト・モノ・カネ・情報を一元管理し、有効活用するシステムのことで、「人事管理」「給与管理」「在庫管理」「会計管理」「生産管理」「顧客管理」「販売管理」「注文管理」といったあらゆる基幹業務をサポートします。

ERPの背景

ERPが誕生する以前は、企業は部門ごとにシステムを導入し、個々のデータベースで管理をしていました。しかし、企業全体でみると、企業にとって有益な情報が散在している状態で、集約するには時間や資源を要しました。また、データの集約の際にミスが起こることも稀ではありませんでした。このような情報が散在している状況を脱するために登場したのがERPです。

ERPの主な機能

ERPの主な機能として、「人事・給与管理」「販売管理」「生産管理」「購買管理」「会計管理」「営業管理」があります。一つひとつの機能について、詳しくみていきます。

 

  1. 人事・給与管理
    社員の情報を一元管理し、日々の勤怠管理から給与の計算、個人目標の管理までまとめて行います。社員たちはここから経費の申請を行うことも可能です。
  2. 販売管理
    出荷・納品・見積もり・売上・請求のすべてを管理し、損益管理や販売在庫管理といったお金とモノの動きを一元管理します。
  3. 生産管理
    生産計画から原価管理、工程管理、品質管理といった生産過程で管理する必要のある項目をすべて担います。在庫や物流の管理も可能です。
  4. 購買管理
    発注から仕入在庫の管理まで管理することが可能です。
  5. 会計管理
    資産管理、財務会計、債券・債務管理など幅広く管理可能です。
  6. 営業管理
    顧客リストの作成から顧客管理やマーケティング活動の管理など、営業活動にあたって必要な管理項目を担います。

 

上記のように、ERPは幅広い管理項目をまとめて一元管理することが可能です。パッケージによってその注力度は変わりますが、これらのすべてを一元管理できるパッケージがほとんどです。

ERPの種類

ERPは、従来の基幹システムとは大きく異なります。ここではERPと基幹システムの違い、ERPの種類についてご紹介します。

ERPと基幹システムの違い

基幹システムとは、企業の基幹となる業務を管理するシステムの総称です。基幹システムには人事管理システムや生産管理システム、販売管理システムなど、様々な種類があります。これらの基幹システムは企業の部署ごとに導入されている場合がほとんどで、他部署とのやり取りの際にはそれらを連携させる必要がありました。この手間を無くすために登場したのがERPです。ERPでは企業に存在するデータのすべてを一元管理することが可能なため、部署同士での連携のやり取りが不要になったのです。これにより、連携の手間が省かれ、企業の経営状況をリアルタイムで確認できるようになりました。

クラウドERPとオンプレミスERPの違い

ERPには、クラウドERPとオンプレミスERPの2種類があり、その違いはERPシステムの構築場所によって異なります。クラウドERPでは、システムをインターネット上に構築し、ユーザーがそこにアクセスする形を取ります。一方、オンプレミスERPでは自社のサーバー上にシステムを構築します。以下は、クラウドERPとオンプレミスERPの違いをまとめた表です。

  クラウドERP オンプレミスERP
システムの構築場所 インターネット上 自社のサーバー上
コスト 自社でのサーバー保持の必要がなく、低コストに抑えられる 自社でサーバーを保持する必要があり、初期費用や導入コストが多くかかる
セキュリティ データをクラウド上にアップロードするため、外部攻撃が懸念される 自社環境に大きく依存する
強み 社内外問わず、インターネット環境があればどこからでもアクセスできる 必要な機能に応じてカスタムやアップグレードが自由にできる

 

上記のように、クラウドERPとオンプレミスERPにはそれぞれの強みや弱みがあります。企業にとってどちらがよいかは、システム導入の目標や目的によって異なるため、しっかりと比較して導入することが大切です。

ERPのメリット・デメリット

ここまでERPについて様々な観点からご紹介しましたが、最後にERPのメリット・デメリットについてご紹介します。

ERPのメリット

ERPのメリットは何といってもその柔軟性です。企業のデータ・マスターを一括で管理し、活用することが可能です。ERPの導入により、従来の基幹システムでは拭えなかった手間が省け、企業の経営状況をリアルタイムで知ることができます。また、システムが統一化されることで内部統制にも効果があるとされています。

ERPのデメリット

ERPのデメリットは、初期コストやランニングコストが大幅にかかる点だけではなく、そのシステムを社内に浸透させることもひと手間であるということです。従来の基幹システムは、部署ごとに管理していたものがほとんどですが、ERPは全社で導入するため、従来とは仕様が異なる場合がほとんどです。システムを浸透させるためには全社を挙げて取り組む必要があります。また、国内外問わず多くのERPシステムが普及しているため、その選定にも時間やコストを要します。システム導入の目標・目的をきちんと定めてから選定に入ることが重要です。

お仕事のご相談や、ご不明な点など、お気軽にお問い合わせください。
セミナー開催予定など最新ニュースをご希望の方はメルマガ登録をお願いいたします。