営業生産性向上に向けた営業時間の創出とリソースの最適化
クライアントが抱えていた課題
労働人口の減少が進む中、当クライアントでは、限られた営業人員で売上・利益を維持、向上させるための営業生産性向上が大きな課題でありました。営業生産性を高めるためには、「営業時間の増加」と、「一得意先あたりの利益増加」が重要です。
しかし、実際には、受発注業務や各種調整業務、社内手続きといった間接業務が多く、営業担当者が本来注力すべき商談や提案活動に十分な時間を割けていない状況でした。また、一得意先あたりの利益増加を実現するために必要な得意先の適正評価についても、明確な評価尺度や定期的な見直しプロセスが整備されておらず、営業担当者個人の経験や感覚に依存する属人化が進んでいました。
加えて、食品卸業界では小売業界の再編やM&Aの進展により、注力すべき得意先が変化しやすく、得意先の適正評価と定期的な見直しが不可欠である一方、得意先数や取扱商品数の多さが、間接業務の増大や得意先評価プロセスの属人化を助長する要因となっていました。
【図1】生産性向上に向けた取り組み
レイヤーズのアプローチ
当社は、営業生産性向上を「実質的な営業時間の創出」と「営業リソースの最適化」の二つの観点から整理し、現場実行を前提とした支援を行いました。
<実質的な営業時間の創出>
営業担当者の業務内容を詳細に棚卸しし、間接業務の実態を可視化しました。そのうえで、営業が本来注力すべき業務に集中できるよう、業務プロセス全体の見直しを行いました。具体的には、仕入先を巻き込んだ帳票様式や対応フローの標準化を行い、個別対応や手戻りの発生を抑制しました。あわせて、分散していた間接業務を集約し、定型業務についてはシェアードサービス化を推進しました。さらに、現場の声を起点に、不要となっている業務や改善余地のある業務を洗い出し、廃止・改善を継続的に進める体制を構築しました。
これらの取り組みにより、営業担当者の間接業務負荷を軽減し、顧客対応や提案活動に充てられる時間を着実に増やしました。
<営業リソースの最適化>
得意先ごとの価値を可視化するため、売上規模、利益率、将来性・成長性といった複数の観点から得意先を評価・分類しました。その分類結果をもとに、「重点的に営業リソースを投下すべき得意先」、「効率的な対応に切り替える得意先」、「取引の縮小や中止をすべき得意先」といった形で、営業の関与レベルを明確化しました。
これにより、すべての得意先に一律で対応するのではなく、得意先ごとに訪問頻度、提案内容、対応方法を変える運用へと転換しました。
【図2】本取り組みの全体像
成果と顧客満足
本取り組みにより、営業生産性向上に向けた各施策は着実な成果につながりました。間接業務の集約化やシェアードサービス化、運用ルールの標準化によって、営業担当者の間接業務時間は削減され、顧客訪問や提案準備に充てられる時間が従来の倍になりました。また、業務の手戻りや属人的な対応が減少し、業務の安定化と効率化が進展しました。さらに、現場起点での業務廃止・改善活動が定着したことで、生産性向上は一過性に終わることなく、継続的に改善を重ねる文化が組織内に根付きました。
加えて、実効性の高い得意先評価を構築するため、営業現場との打ち合わせを何度も重ね、実務の実態や感覚を一つひとつ確認しました。議論の過程では、現場から示された違和感や懸念点をそのままにせず、評価の考え方や指標を都度見直し、段階的に精度を高めていきました。こうして整理した評価指標を用いて実際に得意先を評価し、その結果を再度現場と照合したところ、日常の営業活動で培われた現場の認識と大きな乖離がないことを確認できました。現場の納得を前提とした得意先評価を基に営業リソースの再配分を行った結果、利益貢献度の高い得意先への営業活動が強化され、営業活動全体の質が向上するとともに、収益の改善を実現しました。
これらの成果により、同社では属人的な営業スタイルから脱却し、再現性のある営業マネジメントが可能となっています。当クライアントからは、「現場の実態を踏まえた実行可能な改革であった」、「営業の時間の使い方と注力先が明確になった」といった評価が寄せられており、高い顧客満足につながりました。


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