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なぜ営業改革がいつも失敗に終わるのか?
~分かった風になっているだけの意識改革~

約5分の1。これは、企業における経営改革の成功率です。逆に言うと、残り5分の4は、失敗に終わっているのです。改革が失敗してしまえば、無駄に労力・コストをかけることとなり、プラスにならないばかりか、むしろマイナスにすらなってしまいます。
本記事では、そうした改革の失敗回避に向けて、成否の鍵を握る「意識改革」について、進め方のポイントをご紹介します。

改革に成功できるのは一握り

約5分の1。これは、企業における経営改革の成功率です。
改革として、いかに優れた施策を考え、また、いかに優れた計画を策定しようとも、5分の4が失敗に終わっています。
改革は、本来経営にとって有意義な取組みになるはずですが、失敗に終わった場合、労力・コストを無駄に費やすことになり、プラスにならないばかりか、むしろマイナスにすらなってしまうことになるのです。

成否を分けるのは意識改革

では、何が改革の成否を分けるのでしょうか? 当然ながら、企業ごとに異なる外部・内部の複雑な環境下で、万能的な黄金則は存在しません。但し、失敗を回避する方法は存在します。
例えば、営業改革に向け、営業人材の改革としての教育体系を再構築したがスキルアップが進まない、業務改革として業務プロセスを再構築したが行動変容に繋がらない、などはよくある話ですが、これらを回避するためには、成功を阻む「壁」とその真因に対して、対策をうっておくことが必要です。
まず、成功を阻む「壁」は、大きく3つあり、これらの壁を深掘ると、真因はいずれも、改革に対する意識(マインド)に行きつきます。

  1. 「行動の壁」:そもそも改革施策が行動に移されすらしない
  2. 「活動水準の壁」:行動に移されるが、活動の量や品質が必要水準に満たない
  3. 「企画精度の壁」:施策精度が悪く、成果に繋がらない

具体的には、まず、①「行動の壁」では、行動がなされない背景として、”指示が周知・徹底されていない”、”工数に余裕が無い”、”やり方が分からない”などありますが、結局、これらの問題は、指示側の強い改革意識、または実行側の改革意識があれば、自然と解消されるはずです。
次に、②「活動水準の壁」も同様で、指示の欠陥や、実行での工数・スキル不足が問題であり、指示側・実行側に改革意識があれば、解消できる話です。
最後に、③「企画精度の壁」は、そもそも改革におけるビジョン・目標の共有不足や、企画力不足ですが、これも少しずつでも改善を重ねることで解決する話で、あとはそれを継続しようとする意識によってきます。
事実、ある調査によると、経営改革に成功した企業の6割は、改革に対する従業員の賛同を得られていたのに対し、失敗した企業では、賛同を得られていたのは、わずか3割程度に留まるという結果もあります。

【図1】改革成功を阻む壁とその真因

【図1】改革成功を阻む壁とその真因

なかなか上手くいかない意識改革

そうはいっても、経営改革における意識改革は、もはや当たり前の話になっており、どの企業も、当然その重要性は、認識できているはずです。
では、意識改革の重要性が分かっていながらも、上手くいかないのは何故でしょうか?
その要因は、意識という、言わばソフト面・左脳系への対応となるため、意識改革に向けた施策自体もソフト面・左脳系のものに偏り、ハード面・右脳系の施策が欠落してしまうことにあります。
ソフト面・左脳系の施策とは、例えば、改革の象徴として経営トップが中心となって錦の御旗を掲げるというものや、ビジョンや危機意識を熱く&手厚く語り、啓蒙を図っていくというもので、どの企業でも、実践されていると思います。
当然ながら、それは最低限のレベルで必要ですが、それだけでは片手落ちです。人間には、判断が感情に左右されるタイプもいれば、逆に理論がないと全く納得できないタイプもおり、後者のタイプには、右脳系、特にファクト(事実)をベースとした説明の展開が必要になります。
また、人依存のソフト面のみの対応では、意識改革の効力が長続きせず、継続的に改革状態を維持していくためには、ハード面として仕組み化することが必要不可欠になります。

では意識改革をどう進めるか

意識改革の進め方も、世の中でフレームワーク化されており、基本的には、3つのステップになります。
 (A) 必要性の理解:改革をやるべきだということを理解してもらう
 (B) 動機付け:改革に向けた行動に対して、実行したいという意欲を起こさせる
 (C) 現実味の担保:自分たちでもその行動ができそうだと安心感を与える

意識改革を進めるうえでは、この3ステップに対して、先ほどのハード面・右脳系での視点で施策をアドオンしていくことが重要です。
具体例として、ある企業において、新市場として、新たな顧客層の開拓に向けて営業改革をご支援させて頂きましたが、そこで講じた施策をご紹介します。
まず、(A)必要性の理解ですが、既存顧客も掛け持ちしてしまうと、どうしても易きとしてそちらに流れてしまうため、退路断ちをすべく、ハード面として新規顧客専門の組織を新設しました。更に右脳系として、新規顧客の攻略において、自社の受注実績・顧客評価とも完全に負け越している状況を、営業担当や顧客への個別ヒアリング・アンケートを通じてつまびらかにし、言い訳のできない状況をつくりました。
但し、責任追及が目的ではないので、(B)動機付けとして、新規顧客開拓が花形であるよう、社内表彰でのサクセスストーリー化(右脳系)や、業績・人事評価制度への組み込み(ハード面)を行い、徹底的な演出を実施しました。
とは言え、新しいことへのチャレンジになるため、求められるスキルの従来とのギャップ等からくる躊躇感を払拭すべく、(C)現実味の担保も必要でした。具体的には、スキルギャップを補う情報収集・思考のサポートツールの整備(ハード面)や、クイックヒットとして皆がそれぞれ小さな成功を事実として実体験できるような、お試しキャンペーン(右脳系)を実施しました。

【図2】意識改革の進め方と重要視点

【図2】意識改革の進め方と重要視点

意識改革で最も大事なことは…

総じてみると、意識改革を進めるうえで最も重要なことは何でしょうか? それは、意識改革を軽んじず、中途半端に終わらせないことです。
意識改革では、経営改革の方向性に合わせて、前述のハード面施策の通り、組織構造や業績・人事評価制度、システム・ツールまで、大々的に再構築する必要があります。逆に、これらの再構築が中途半端なまま進めてしまうと、”易き”のベクトルや、既存事業の慣性に飲み込まれ、意識が直ぐに先祖返りしてしまいます。
改革が失敗すると、それまでに投じた労力・コストが失われることもそうですが、改革の頓挫を垣間見た従業員が抱く「経営への不信感」の蓄積が、最大の損失といえます。
こうした失敗が続くと、従業員の中で「またか」といった意識が固着化し、改革が一種の儀式やポーズに捉えられてしまい、その難易度がより一層高まっていくことになります。
経営改革においては、経営トップが、意識改革に向き合う際、アジャイルやトライ&エラーなど将来持ち越し型の甘い流行り言葉に騙されず、一度で完遂しようとする断固たる決意をもち、強く示していくことが最も大事なことだと考えます。

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