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SSC(シェアードサービスセンター)

1.SSC(シェアードサービスセンター)とは何か

グループ企業の間接業務(オペレーション業務)を集約化・標準化する企業改革をシェアードサービスといいます。そして、シェアードサービス導入を通じて、グループ内企業の間接業務を集約して運用する組織がSSC(シェアードサービスセンター)です。
間接業務とは、経理や人事、総務、法務、情報システムといった、各グループ企業が共通して対応している業務のことを指します。SSCは、各グループ企業の共通業務を一律で引き受けることにより、業務効率化(コスト削減)・品質向上を達成することを目的にして、親会社内で別組織又は別子会社として設置されます。また、多様な雇用機会の創出による地域創生にもつながるケースがあります。
SSCは1980年代に米国で導入されて以来、各国の多くの企業で導入されており、日本の大企業の多くも活用しています。また、Beyondコロナ時代においては、ビジネス環境の変化に応じてサービス機能や範囲を多様化させた新しいSSCモデルを模索する動きがあります。

2.SSCとBPOの違い

双方とも各グループ会社の特定業務を集約化・標準化する手法ですが、立ち位置が異なります。
SSCは前章でも記した通り、親会社内の別組織や子会社として、グループ内に設置されます。
一方、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、企業の特定業務(部門)を他企業に外部化(移管や売却)して、より効率的な業務運用を目指す手法となります。

3.SSC構築のメリット・デメリット

SSC構築の主なメリットは以下の3つです。

  1. オペレーションコストの削減
    従来は各グループ企業がそれぞれ間接業務の人財やシステムを用意する必要がありました。SSCの活用を行うと、人財やシステムを集約並びに共有できるため、各グループ企業は個別にリソースを用意する必要がなくなり、コスト削減が可能となります。コスト削減は企業利益の向上にもつながります。
  2. サービス品質の改善
    SSCに業務を集約化させることにより、各社・部門の業務プロセスの差異が可視化され、業務課題の改善並び業務標準化につながります。また、特定業務の担当者が組織横断的に業務運用することにより、業務品質、処理能力/正確性も向上します。
    さらに、業務集約化によるノウハウ並びデータの蓄積は、人財育成や経営に資する提言に活用することも可能となります。
  3. 内部統制の強化
    各グループ企業の業務・データの集約化は業務可視化につながり、これはガバナンス強化に寄与します。各グループ企業・部門ごとに独自ルールや判断基準等が存在するケースも散見され、その可視化は不正やセキュリティリスクの低下に繋がります。また、内部統制の強化は前項で触れた業務品質の向上にもつながります。

一方、SSC構築の主なデメリットは以下の3つです。

  1. コスト削減の弱体化
    SSCの人財が異なる部門から異動してくる場合、SSCは異なる組織文化の集合体となります。その結果、担当者と業務を異動させただけで、集約化の効果が不十分になるケースが多く見受けられます。従前の業務ルール・プロセスを変えることが出来ず、業務プロセスの見直しのタコツボ化が蔓延するリスクがあります。
    またコスト削減=要員体制見直しにつながる発想により、コスト削減に抵抗する文化を醸成してしまうデメリットもあります。
  2. モチベーションの低下
    全社の中でのSSCの位置づけが単なるコストセンターに陥るケースもあります。そのためSSCに異動された社員のモチベーションが低下して、業務の生産性や品質が低下する事例も散見されます。
    SSC設置にあたっては、担当者の評価方式やキャリアプラン等についての議論を尽くして、業務効率化のインセンティブをSSCに如何に埋め込むのか、キャリアップモデルを如何に策定するか?等、十分かつ継続的なコミュニケーションが重要となります。
  3. 追加コストの発生
    SSC構築・運営にあたり、業務集約化・効率化・標準化・システム共有化等の整備だけでなく、新組織の業務基盤・システムも構築する必要があり、相応の追加コストが発生します。また、設立以後に組織を統括する管理コストが継続的に発生するケースもあります。
    SSC構築の際は、構築のみならず、移管並び運用コストも含めて、投資対効果を検討する必要があります。

4.よく見られるSSCの現状課題

多くのSSCでは以下の4点のような現状課題が見られます。

  1. 不十分なコスト削減
    多くのSSCでは業務集約したにも関わらず、小手先の業務改善のみに終始し,
    制度改正を伴う業務の簡素化/標準化が後手になる傾向があります。
    SSCは雇用維持を勘案して設置されるケースもあるため、運用体制(人数や担当者等)が大きく見直しづらいケースがあります。また業務範囲は大量かつ定型業務に限定されることが多く、粒度の小さい定型業務や専門性を要する業務が社内に残置されるケースが多く見受けられます。つまり、インパクトのない業務改革度、体制面(体制数・人件費)の見直し不足、限定された対象範囲等により、コストが十分に削減されないという課題があります。
  2. 過剰なサービス品質
    SSCは社内向けサービス向上の位置づけもありますが、社内力学や人間関係を重視する余り、サービス品質が過剰となり、逆に業務量が増加するという本末転倒のケースもあります。
  3. 滞留する人材流動化
    SSCにオペレーション業務を集約化させてコスト削減を目指す一方で、業務の高度化やBP化(事業部支援)への人財シフトが一向に進まないケースも多く見受けられます。SSCの担当者は担当業務に専念することとなるため、確立したリスキルモデル(キャリアアップモデル)がない場合には、会社全体のビジネス強化に向けた取り組みは不足し、オペレーション業務に埋没してしまいます。
  4. グループ横断型SSCが実行できていない
    SSCはグループ横断的に各関係会社・各事業部を目指すものですが、各関係会社や事業部の自主性を尊重する故に、類似業務の集約化・標準化が進まないという課題があります。

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