2026/05/01NEW

MRPとシステム~わが社に適したシステムは?~

#DX#サプライチェーンマネジメント

◆この記事の要約

MRP(Material Resource Planning)の概念が生まれてから50年以上の歳月が経過しましたが、“活用しきれている” “システム化し現場に定着している”とはいえない企業も多く耳にします。
そこで本稿では、MRPとMRPⅡ・DDMRPの違いやMRP機能のシステム配置について、そして製造形態や計画変更頻度に基づく、MRPに関するシステム選定の実務的ポイントを解説します。

  • MRPとは:“いつ”・“何が”・“何個”必要かを導出する仕組み。適時適切なタイミングでオーダーを発出し、欠品防止・在庫適正化を実現。
  • MRPの種類・派生:MRP・MRPⅡ・DDMRP。
    MRPⅡは工場キャパシティ(製造能力)を加味し、DDMRPはデカップリングポイントと在庫管理のバッファ設定でブルウィップ効果を抑制。用途に応じた使い分けが必要。
  • MRPとシステムの関係性:MRP単体で完結することは稀で、BOM・在庫のリアルタイム性の観点からAPS/ERP/MES等のシステムに組み込む設計が一般的。
  • システム選定で重視したい実務視点:自社の製造形態(ETO/ATO/MTO/MTS)、品目管理体系(中間品・仕掛品の管理方法)、計画変更頻度に応じてMRP適用可否・方式を判断することが導入成功の鍵。
“MRP”という名称自体は広く知られていますが、皆さんの会社ではうまく導入・運用が進んでいるでしょうか?MRPの仕組み化に際してはどういった種類のものが存在しているかを理解し、それぞれの企業にマッチする仕組み/方式を適切に選び、システム導入を図っていくことが肝要です。そこで本コラムでは、MRPとそれにまつわるシステム導入のポイントについて解説いたします。

MRP(資材所要量計画)とは

MRP(Material Resource Planning)とは、資材所要量計画を意味し、需要・在庫・BOM(Bill of Material:部品表)・リードタイム等の情報からモノづくりに必要な資材を、必要なタイミングで、必要な数量算出する仕組みを指します。
その導出は大きく下記3つのStepにより構成されます。

【Step1】総所要量の計算

受注・見込生産・安全在庫基準等の情報から需要計画を確定させ、BOMの構成・員数
情報から総所要量を算出。

【Step2】正味所要量の計算

計算された総所要量から現在の在庫・将来の受入予定数を差し引くことで不足資材・不足数を特定し、正味所要量を算出。

【Step3】計画オーダー生成

算出した正味所要量に対し、

  • ロット方式(仕入先・品目ごとに設定)の適用
  • 製造/購買リードタイムの逆引き反映を行い、購買・製造オーダーを生成する

MRPの実行により、『欠品防止』『在庫適正化』等のメリットを享受できるため、多くの企業でMRPあるいはそれに近い概念が取り入れられています。
詳しくは下記リンク記事をご参照ください。

生産管理でよく聞く「MRP」とは?

MRPの種類と特徴

ひとくちに“MRP”と呼んでも、その種類は様々です。そのため本章では、MRPの種類とその特徴を振り返ります。

MRP

いわゆる広義のMRPを指すケースが大多数です。
前章で説明したStepを経て資材所要を算出し、販売目線で適時適切な購買・製造オーダーを生成します。

MRPⅡ

MRPがMaterial Resource Planningを指すのに対し、MRPⅡはManufacturing Resource Planningを意味します。
資材だけでなく工場の製造能力にまで着目した所要計画の立案が可能となり、製造オーダーは生成されたが、工場のキャパシティから製造不能/残業過大といったケースを防ぎ、工場能力を加味した適切な製造計画の立案が可能です。

DDMRP

MRP・MRPⅡともに昨今の急激な需要・市場動向の変動の影響が大きく受けます。
完成品で少しでも需要変動が生じた際、完成品を構成する部品について階層が深いほど影響は大きくなり、末端品目では大きな手配影響を受けることになります(ブルウィップ効果)。DDMRP(Demand Driven MRP)はそういった影響を抑制するため、構成情報上にデカップリングポイントを設け中間品/仕掛品等の単位で在庫管理を行います。

 

さらに、設定したデカップリングポイントについても、固定/一定の発注点を設けるのではなく、『要補充領域』~『通常領域』~『補充完了領域』まで在庫のバッファを設け、常に定常稼働が可能な状態を維持するとともに、各在庫領域の数値設定が需要状況に連動するよう設計することで、需要変動による計画変動の影響範囲を狭くし、ブルウィップ効果を抑制します。

MRPとシステムの関係性

さて、ここまでMRPの仕組み、種類について語ってきましたが、実際のシステムとはどう結びついているのでしょうか?結論から述べると、MRPの仕組みが単体でパッケージングされているシステムはあまりありません。1章で述べたとおり、MRPの実行には様々な情報を必要とし、特にBOM・在庫の精度はMRPにて生成される各種オーダーの精度に直結します。そのため、BOMや在庫情報のリアルタイム性が非常に重視されます。

 

上記理由より、MRP機能単体でパッケージングされることはほぼなく、APS(Advanced Planning and Scheduling:生産スケジューラー)や、ERP(Enterprise Resource Planning:基幹システム)・MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)等、MRP実行に必要な情報を保有するシステムに機能として組み込まれるケースがほとんどです(【図1】参照)。

【図1】MRP実行に必要な機能・情報

システム選定のポイント

MRP機能を包含するパッケージは多種存在しますが、有名だから、大手企業も導入しているから、といった理由で導入判断に踏み切るのは早計です。

製造形態は何か?

ETO(Engineer To Order:受注設計)・ATO(Assemble To Order:受注組立)・MTO(Make To Order:受注生産)・MTS(Make To Stock:見込生産)等、自社の製造形態に応じてMRPの有効性や重視すべき情報が大きく異なります。
MTS(見込生産)の場合はMRPが最も有効に作用する業態でしょうし、逆にETO(受注設計)の場合はBOMが案件都度で異なるため、そのままMRPを活用しようとしても設計が完了しなければ構成も員数もわからないため所要は算出できません。

品目の管理体系は何か?

MRPの精度向上には、モノの実態と合わせて中間品や仕掛品を品目管理する必要があります。そのため、工程間の仕掛品を品目設定せず、製番+工程情報等で生産管理を行っている場合等は、いわゆる製番管理に適合しているMRPシステムを選定できるかどうかが大きな分水嶺となります。

計画変更の頻度はどうか?

業態・業種によっては、一度は固まった計画に対して顧客要望やその他の外部・内部の影響で変更が高頻度で発生するケースもあるかと思われます。
その際、変更部分のみで再度MRPを実行するケース、全体の計画精度・工程間の負荷バランスを加味して全品目に対して再度MRPを実行するケースの両者が存在しますが、システムによっては両方に対応していないケースも存在します。

 

上述のとおり、ひとえにMRPと述べても機能多寡・得意とする製造形態は多岐にわたります。さらに、現状のシステム構成との兼ね合い・機能配置をどう考え、どう整理するかは多くの企業で頭を悩ませるポイントですが、当社レイヤーズ・コンサルティングでは製造業向けコンサルティングおよびシステム導入~定着における豊富な経験と知見を有しておりますので、生産管理に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽にお声がけいただけますと大変幸いです。

この記事の執筆者

小曽 颯真
小曽 颯真
株式会社レイヤーズ・コンサルティング
SCM事業部
マネージャー

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