「コンサルティング営業」とは
~デジタル時代に求められる真の営業力~
そこで今回は、その有力な解として考えられる以下のコンサルティング営業について解説いたします。
-過去ブームになったものと何が違うのか?
-いかにしてコンサルティング営業を実現していくのか?
-営業組織はいかにあるべきか?
600万人の営業マンはどこに向かうのか
顧客に価値を認めてもらえない営業マンの横行
世の中には約600万人もの営業マンが存在しています。営業は企業における売上づくりと顧客接点を直接担う重要な機能でもあり、営業が従業員数や固定費の50%を占めている企業もざらにあります。営業が顧客にどれだけ価値提供できるかが、企業の明暗を分けるといっても過言ではありません。ただ、果たして顧客に価値を認めてもらえている営業は、この内どの程度いるのでしょうか?
結論的にいうとかなり少ないというのが実情です。顧客に対するアンケート結果では、営業担当者が変わっても取り引きに影響しないという回答、すなわち価値を感じていないという回答が約7割を占めるというものも存在しています。
営業の価値はさらに厳しく問われる時代に突入
一方、セールステックといわれるデジタルサービス・ツールが浸透し、営業業務がデジタルに置き換わる中、営業マンとしての価値がある領域が着実に狭まっています。さらにその浸透は、新型コロナの影響によりリモートワークやオンライン商談をきっかけに着実に加速しました。
特に、営業の主戦場であった対面商談は、新型コロナへの忌避から敬遠されて以降、あえて対面にするには「大義」が求められるようになっています。すなわち、従来の御用聞きや表敬訪問はご法度であり、ホスピタリティ・足腰による営業はそもそも価値を発揮できない状況に追い込まれているのです。事実、オンライン商談下でも受注を獲得できている営業マンと、そうでない営業マンとで大きく二極化しています。
【図1】対面商談に対する顧客・営業に対するアンケート結果
向かうべきは「真のコンサルティング営業」
では、営業マンとして価値ある領域とはどこなのでしょうか。その1つがコンサルティング営業だと考えています。コンサルティング営業へのシフトはアメリカにおいて特に顕著です。米Forrester社の2015年レポート「The Death Of The B2B Sales」では、基本的に営業マンは減少予測となっていますが、その中で唯一、増加予測となっているのがコンサルティング営業です。
ただ、日本でも、数年前にコンサルティング営業ブームがありましたが、それとは何が違うのでしょうか。従来まではプロダクトアウト的な売り方は止め、顕在化された顧客ニーズに合う商品・サービスを提案していこうという、いわば「マッチング営業」に近いものだったと捉えています。ただ、そのレベルであれば、情報・デジタル環境が発達した現在であれば、顧客自身で十分に行うことができ、価値は低いといえます。いま営業マンに求められているのは、提案において顧客が認識できていない潜在的な課題まで発掘できる「真のコンサルティング営業」だと考えます。
いかにコンサルティング営業を実現するか
全く新たなスキルセットの形成が必要
「真のコンサルティング営業」を実現するためには、何が必要となるのでしょうか。それは、コンサルティングプロセスを実行するためのコンサルティングスキルの形成と、インプットとして必要な情報を駆使するデータ武装化の大きく2点だと考えます。
まず、コンサルティングスキルについてみると、必要となるスキルセットは従来のものと比べると大きく異なります。すなわち、従来の営業がコミュニケーションなどヒューマンスキル中心であるのに対して、コンサルティング営業で必要となるのは、より上位のコンセプチャルスキルです。実際にとある企業で営業マンのアセスメントを行った結果、同じ営業でもコミュニケーション型とコンサルティング型の大きく2系統に明確に分かれました。ただ、コンサルティング型はごく一握りであり、従来の営業と別人種といっても過言ではありません。人種が違えば当然人材開発も従来とは全く異なるものを作りあげていく必要があるのです。
【図2】営業マンのアセスメント&クラスタリング結果
デジタル時代においてはデータ分析力がコアスキル
次に、データ武装化についてみると、コンサルティングにおいてファクトを押さえることは基本であり、一方、ファクトとして活用できるデータは、いまや多種多様ある意味無数に存在するといえます。ただ、データはどの企業でも簡単に入手できるがゆえ、活用できない企業・営業はそれだけで後塵を拝してしまいます。
各企業ではこうしたデータを営業で活用するため、データ専門部隊を配置、またはデータに基づく将来予測システムを構築といったデータ武装化を行っています。しかし、単にデータを整備するだけでは宝の持ち腐れになるため、最前線の営業もそれを使いこなし、または自ら分析を行っていく必要があります。デジタル時代においては「データ分析スキル」がコアスキルとなるのです。
ゼロベースで構築していくことが必要
いざ導入を進めようとなったとき特に肝になってくるのが、スキルセットを検討するうえでの前提にもなるコンサルティング営業としてのプロセス構築です。
よくありがちなのは、従来の営業の延長線で考えてしまい、その結果マッチング営業など従来に毛が生えた程度に陥るというパターンです。現状に捕らわれずゼロベースで考える必要があるのですが、逆に一般論過ぎても意味がありません。それを回避するためにもまず最初に顧客が抱える課題を仮説レベルで設定することが重要となります。その課題を顧客ごとに見極めていき、またその解決に向けて何を・どのように提案していくのかをプロセスとして描いていくのです。
変革に向けては営業組織・体制の再構築も同時に必要
組織も従来とは別に、専門組織化すべき
こうなると、従来の営業組織の枠組みには収まりきらなくなってきます。すなわち、求められるスキルセットはもとより、求められる成果や行動・思考モデルも異なり、それにともない管理や評価の仕方も当然違ってきます。これを従来組織に押し込むと、結局は従来型営業の延長線上の行動・思考に陥ってしまいます。組織も従来の営業とは別に専門組織として組成すべきなのです。
競争優位につなげるには営業体制全体の再構築が必要
会社全体としてコンサルティング営業へと変革させるためには、従来の営業体制にもメスを入れていく必要があります。従来の営業体制が肥大化した状態のままだと、コンサルティング営業の組織が単なるオマケの位置付けになり、会社としての提供価値は従来とほぼ変わらなくなってしまいます。固定費負担もそのまま重くのしかかり、営業の非効率性は残ったままになります。
また、新型コロナ以降デジタルの浸透が加速する中、従来の営業マンの行き所に頭を抱える企業を多く見かけます。変革を成し遂げるためには、従来型営業マンについて出口戦略を同時検討していくことが必要不可欠といえます。そうした中、先手的にコンサルティング営業の確立はもとより、従来の営業領域を徹底的にデジタル化や効率化、スリム化を進め、利益体質や営業モデルを筋肉質化している企業も現れてきています。先行優位を勝ち取るためにも、いかに早期に取り組むかが今後の勝負の分かれ目になるのはないでしょうか。
今回は、デジタル時代に求められる「コンサルティング営業」について解説いたしました。
詳細につきましては、是非お問い合せください。皆様とともにデジタル時代に求められる真の営業力、コンサルティング営業へと革新していきたいと思っております。




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この記事の執筆者
職種別ソリューション