DXで狙う!営業生産性の向上
~ターゲティングとセグメンテーション~

◆この記事の要約

本記事では、コロナ後の営業に効くDXを徹底解説します。営業生産性向上の核心は、データ起点のターゲティング/セグメンテーションとテリトリー最適化。購買確率の高い顧客に集中し、商談効率と目標達成率を両立するのがカギといえます。

  • ターゲティング/セグメンテーション:購買確率と潜在価値で優先度設計
  • テリトリー最適化:商談量・難易度・負荷で配分最適化
  • データ統合基盤:データ統合で社内外の情報を集約
  • 成果:売上成長率+5%、目標達成率+16%の改善事例あり
公益財団法人日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2024」によると、日本の就業者一人当たりの労働生産性は、主要先進7か国の中で最も低い水準にあると報告されています。特に営業部門においては、生産性の向上が企業全体の業績に直結するにもかかわらず、十分な対策が取られていないケースも少なくありません。そこで本記事では、営業生産性を高めるために押さえておきたいポイントと、当社の支援サービスについてご紹介します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以降、高い営業成果が上がっていますか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、世界中でビジネスの在り方が大きく変化しました。これは日本の営業活動においても例外ではなく、従来の「足で稼ぐ」営業スタイルから感染拡大防止を目的としたオンライン営業への移行が急速に進みました。

リモート商談やオンライン会議が主流となり、時間や距離の制約を受けずに営業を行える新たなスタイルが浸透しました。その結果、移動時間の削減や商談件数の増加が可能になり、営業生産性の向上につながったという声も多く聞きます。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の終息とともに、徐々に対面営業へと回帰する動きも見られます。対面ならではの信頼構築や関係性強化は依然として重要ですが、一方で移動時間やコスト、効率面での課題も再び浮上しています。

コロナ禍で得たオンライン営業のメリットを手放してしまっては、せっかくの効率的な営業スタイルが後退してしまうかもしれません。今こそ、オンラインと対面の「よいとこ取り」をしたハイブリッド型営業スタイルを再構築し、営業の生産性を継続的に高めていくことが求められているのではないでしょうか。

営業生産性の阻害要因

営業生産性とは、売上を営業コストで割った数値で示され、売上や営業コストはさらに複数の要素に分解して考えることができます。これらの要素を高めるための施策を体系的に定義することは難しいものの、一般的には以下のような取り組みが挙げられます。

<主な施策例>
① 売上を高めるための施策

  • 見込み客数の増加:顧客リストの購入、リード獲得ツールの活用、大量のアクセス獲得
  • 受注率の向上:営業ツール(提案書・トークスクリプトなど)の整備、営業研修の強化
  • 単価の向上:商品・サービスの高付加価値化、クロスセル/アップセルの促進

② 営業コストを抑えるための施策

  • 業務効率の改善:単純作業の自動化・外注化、営業事務処理の効率化
  • 商談時間の削減:リモート商談の活用、営業ツールによる短時間化
  • 営業プロセスの可視化・最適化:SFA(営業支援システム)の導入による管理・効率化 等

上記のように、営業生産性を高めるためには多角的な施策が必要ですが、実際の現場ではどこから着手すべきか迷われるケースも少なくありません。その際には、これらの施策を単に表面的に導入するのではなく、自社の営業活動全体を俯瞰し、ボトルネックを特定したうえで、最も効果の見込める部分から着手することが重要です。

当社では、営業生産性向上を支援するために、各社の課題に応じた個別の施策設計や実行支援を行っております。例えば、ターゲティングやセグメンテーション設計に課題を感じている企業様には、実際の商談データに基づいたアプローチ戦略の見直しをご提案しております。そこで次項以降では、上記課題を解決するうえで重要な「ターゲティングとセグメンテーション」についてより具体的にご紹介していきます。

【図1】営業生産性の計算式

営業の生産性を向上させるためには

前項では営業生産性を阻害する要因をご説明しましたが、本項では営業生産性を向上させるためのポイントについてご解説します。営業生産性を高めるためのポイントは、大きく次の2つに分類できます。

1つ目は「購買確率が高いと推定されるお客様に対する効率的なアプローチ」、2つ目は「戦略顧客を見極めたテリトリー(営業エリア)の最適化」ですが、今回は特に2つ目のポイントについてご説明したいと思います。「戦略顧客を見極めたテリトリー(営業エリア)の最適化」とは、情報活用により戦略顧客を見極め、それに合わせて営業の配置を最適化することによって生産性向上を実現することです。これを支える仕組みとして以下の2つがあり、これらの仕組みにより売上成長率の向上や、営業の配置最適化による生産性向上を実現することができます。

1.顧客のポテンシャル予測に基づくセグメンテーション
グローバル市場・国内市場・業界動向などの外部データと、社内の販売実績・顧客属性情報を組み合わせ、顧客ごとの潜在価値を見極めます。さらに、ロジスティックスや購買傾向などの予測モデルも活用し、営業の現場知見も加味することで、戦略的な顧客抽出を行うアプローチです。

2.顧客価値と営業生産性向上に着目したテリトリー(営業エリア)最適化
セグメント別の商談件数や営業活動の実績データをもとに、地域別の営業効率を可視化します。さらに、業務負荷や対応難易度なども考慮し、テリトリー配分の最適化モデルに落とし込みます。これにより、人的リソースの集中と選択が可能になります。

上記1、2のいずれも、社内外に点在するデータを統合し、論理的な理論値等を算出するためのシステムの仕組みが必要になります。各社のシステム状況によってその実現方法は様々ですが、例えば、社内外の情報を集約させるためのデータ統合基盤を構築して、理論値等を算出するためのアルゴリズムをそのうえにのせる仕組みが代表的な方法の一つとなります。

【図2】テリトリー(営業エリア)の最適化を支える仕組み

成功事例と当社サービスの紹介

「1.顧客のポテンシャル予測に基づくセグメンテーション」および「2.顧客価値と営業生産性向上に着目したテリトリー(営業エリア)最適化」の実践結果として、実際に成果が出た事例があります。
例えば、「1.顧客のポテンシャル予測に基づくセグメンテーション」では、戦略顧客層の顧客と他層の顧客とを比較した場合で、売上成長率が5%向上したケースがあります。
「2.顧客価値と営業生産性向上に着目したテリトリー(営業エリア)最適化」では、推奨モデルに基づいたリソース配置を行った営業組織は、推奨モデルとの乖離が大きい組織と比較した場合、16%高い目標達成率を実現したケースがあります。

当社では、「購買確率が高いと推計されるお客様に対する効率的なアプローチ」として、データマイニングを実施したターゲティングリスト等の作成や、「戦略顧客を見極めたテリトリー(営業エリア)の最適化」に関しては、データ活用を実施した解決策の提供をしています。

<解決策の提供例>

  • 構想策定(データ活用における課題・方向性整理、ロードマップ 等)
  • 構築(システム構築 [データ基盤、最適化アルゴリズム]、
    データマネジメント設計 [ガバナンス・セキュリティ・データ品質・組織/体制 等] )
  • 運用(効果測定、定着化支援)等

これらの詳細についてご興味がございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。

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この記事の執筆者

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