人事部門の生産性を高める超速構造改革
◆この記事の要約
日本企業においては、人事部門においてはオペレーションにかかる工数が全体の8割以上に上り、制度・配置・育成などの「攻めの人事」に工数がかけられていない現状があります。そこで本記事では、そういった現状に対して、役割再定義/標準化から、 企業の特性に応じたSSC/BPOの活用を踏まえた“構造的に工数を適正化/省力化する”状態を作り出します。
<改革のポイント>
- SSC/BPOでオペレーションを集約
- BP・CoE・OPEの役割分離を徹底
- 例外処理対応のためにかかる膨大な工数を削減することによる生産性向上
- SLA/KPIによる、継続的な品質管理とコスト削減
なぜ今、人事の「構造改革」が必要か
日本企業では海外と比べて労働生産性にギャップがあります。もちろん、前提や数値の取り方により多少増減があるとはいえ、ギャップがあることは真実だと思いますし、そのギャップをどう埋めるかは重要な経営課題と考えます。では、人事はその課題にどう向き合うべきでしょうか。答えは、個人の頑張りではなく“構造”を変えることです。 特に、グループ会社を多く持つような大企業では、勤怠・申請・異動・昇給・昇格などの処理が多様化し、問い合わせや例外処理が増えやすく、工数が雪だるま式に膨らみます。この状態では、価値を生む「攻めの人事」に時間を割けません。
構造改革の狙いは、(1)標準化して集約する、(2)統制することで継続的な取り組みをする、(3)価値を創出する機能へ人員/工数をリソースを再配分する、の3点です。
【図1】国別の労働生産性比較
「オペレーション過剰」の状況を断ち切る設計の起点は“例外処理”の最小化
人事の仕事が重くなる最大の原因は、実は「通常処理」よりも「例外処理」です。誰かの事情で申請が遅れた、マスタがバラバラ、ルールが曖昧で都度判断に時間がかかる…こうした例外が積み重なるほど、確認・調整・手戻り対応に時間が取られます。これを放置したままBPOやシステム/ツール導入をしても、非効率を“そのまま”の形で残して、工数削減が限定的なものとなります。 そこで、以下の3点を起点として改革を推進いたします。
オペレーション棚卸し:例外の理由を「制度」「ルール」「データ」「教育」「権限」に分解します。
標準化単位の決定:会社別ローカルを「残す必然」と「慣習」に分け、後者から統合していきます。
サービス設計:SLO/KPI(処理日数、一次回答率、差戻し率など)で合意形成します。
【図2】人事工数の偏り(オペレーション過剰)
BP・CoE・OPEの分離で「人事の時間」を取り戻す
次に問われるのが組織の役割設計です。人事は同じ部署の中に、(1)日々の処理(OPE)、(2)制度・専門領域(CoE)、(3)事業と向き合う(BP)が混在しやすい構造にあります。混在すると何が起きるでしょうか。緊急の処理が常に優先され、日々の“複雑な業務”に追われ、“本来の仕事”に集中できなくなります。重要なポイントは「仕事を減らす」より先に「仕事の種類を分ける」ことです。
OPE(Operational Excellence):標準化・データの構造化を踏まえて“少数精鋭で回る”運用へ。
CoE(Center of Excellence):制度改定、人材開発、働き方改革等、価値創出に専念するための業務へ移行する。
BP(Business Partner):単なる御用聞きではなく、人材投資・配置・要員計画を踏まえて、事業の付加価値の源泉となる立ち位置へと進化する。
以上のことが必要となります。役割と権限の再定義を行うことにより、人事は「処理する組織」から「事業を動かす組織」へ移行することが可能となります。
【図3】BP・CoE・OPEの役割分担と改革イメージ
SSC・転籍BPOで“構造的に”工数を減らす
OPEを少数精鋭化するには、SSC(集約)とBPOをどう組み合わせるかが核心となります。
ここで大切なのは「外に出せば終わり」ではなく、移行後も運用品質を管理できる状態を作ることです。
■ポイント
ノンコア業務の切り分け:まずは、徹底的にBPO化することをベースに、バリューチェーン上で必要不可欠な業務のみ“内部”に維持していくことが必要となります。
リソースの行き先を先に決める:余剰となる人員の活用方法をあらかじめ検討しておくことが必要となります。特に、BP/CoEへ再配分するなど、求められる要素を明確にしていきます。
移行計画の現実性:構造改革を推進するとともに、データ整備・育成を並走させ、移行後に破綻しないスケジュールにします。
■改革を推進するための前提
雇用・配置への配慮:転籍や役割変更に対しては丁寧な説明が必要不可欠です。
標準化への抵抗:子会社固有業務の背景を理解しつつ、例外対応が残る場合の背景を明文化し、将来振り返るときの材料とします。
【図4】改革前→効率化施策(SSC/BPO)→ 改革後の姿(リソースシフト)
事例:SSC+BPOで“攻めの人事”へ再配分し、改善を継続させる
あるグループ企業(従業員数数千〜1万人規模、複数拠点・複数事業)では、給与・勤怠・申請の運用が会社ごとに分かれ、問い合わせ対応も分散していました。そこで、(1)SSCに業態・特性ごとに整理した業務をパターン化して集約、(2)定型処理はBPOへ移管、(3)SLO/KPIで品質とコストを管理、(4)捻出した余力をCoE(制度改定・人材開発)へ再配分という順で改革を実行しました。
結果として、移行完了後6か月〜12か月で、工数を約20%〜30%削減し、FAQ整備と標準化により問い合わせ件数も約15%削減し、CoEが企画に使える時間を確保できました。ポイントは外部化そのものではなく、KPIで運用品質を“管理可能”にした点です。
■導入ステップ(実務の進め方)
1. 現状棚卸し(工数・例外・問い合わせ・マスタ品質)
2. To-Be設計(標準業務・役割分離・統制/権限)
3. 移行計画策定(教育・データ整備・SLO/KPI)
4. SSC/BPO移行(段階移行+早期安定化)
5. 運用改善の定着(KPIレビューと例外削減の継続)
【図5】BPO前提でKPI(SLA等)により人員・品質をコントロールする考え方
まとめ
生産性を高める省力化を実現するためには、現在の業務の大多数を占めるOPEをいかに小さくしていくかがポイントとなります。複雑なOPEを解きほぐし、
① 標準化
② システム/ツール化の徹底
③ 基本、BPOとして推進する(社内に残るものは、バリューチェーン上の重要業務)
とし、改革を推進することが必要不可欠となります。
【出典】
・【図1】:OECD the world’s economic database


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