【テクノロジー紹介編】宝の持ち腐れはやめよう
~HRテクノロジーへの処方箋~
そこで今回コラムでは、その続編として、「今後主流となるシステムや最新技術を使ったテクノロジー」をご紹介いたします。
「プラットフォーム型テクノロジー」と「モジュール型テクノロジー」
そもそも一概にテクノロジーと言っても、各々の特性により効果を発揮する範囲は異なります。
大きく2つに分けた場合、「プラットフォーム型テクノロジー」と「モジュール型テクノロジー」があります。
①「プラットフォーム型テクノロジー」
プラットフォーム型テクノロジーでは、複数部門/複数担当者が関わる業務を“一連の流れ”とするように、1つのセットで複数のシステムをまたいで対応することが可能です。
従って、既存のテクノロジーの総入れ替えや、細かいアドオンを前提とはしていません。
勿論、企業ごとに独自のニーズがあるため、一切アドオンをしないで全ての要件を満たすことができることは稀ですが、まずはテクノロジー導入という手段により、広い範囲をカバーしようという発想です。
②「モジュール型テクノロジー」
一方、モジュール型テクノロジーでは、組織全体の業務やデータの流れ方ではなく、ピンポイントでの効率化や電子化を図りたいという場合はモジュール型テクノロジーを使うことになります。
ただし、あまりにピンポイントのテクノロジーを継ぎ接ぎしていくと、長期的には組織全体のテクノロジー間で、データを扱う単位や形式が変わってしまったり、情報を集める際にテクノロジー導入前より苦労が増えてしまったりする場合もあります。そのため、ピンポイントのテクノロジーを使う場合は、高い効果が見込まれており、かつ、他のテクノロジーに手を入れる必要がないものであることが望ましいです。
いずれにしても、業務改善や効率化などの大上段の目的から逸れたテクノロジーでは意味がありません。
その中で、如何に高い効果を発揮するかが重要となります。それでは次項より、「プラットフォーム型テクノロジー」と「モジュール型テクノロジー」の詳しいご紹介をしてまいります。
「プラットフォーム型テクノロジー」の紹介
「プラットフォーム型テクノロジー」では、システムが扱うデータを、複数の既存システムをまたいでシームレスに流れるようにすることが可能になります。その際に、都度データ変換などを行う必要がないため、“一連の流れ” を1つのセットとして扱うことができるのです。その他にも、ユーザーが使用する上での利便性を考慮した仕組みになっています。
従って、プラットフォーム型テクノロジーは、以下の特徴があると言えます。
1.「既存システムとの連携」
2.「ユーザーフレンドリーなインターフェイス」
3.「ローコードツールによる提供」等
これらは、多くの企業がテクノロジー化を推進するにあたり、課題を感じている“迅速なテクノロジー化”や、“テクノロジー導入後の使い勝手”に寄与する特徴となります。
例えば、最大の特徴である1つ目の「既存システムとの連携」という特徴は、既存のデータやシステムの総入れ替えを必要とせず、プラットフォーム型テクノロジーがそれらの上に配置されます。そのため、既存システムの大幅な改修が不要となり、スムーズな導入が可能という利点となります。
また、2つ目の「ユーザーフレンドリーなインターフェイス」という特徴は、エンドユーザーに複雑な操作を求めないため、どのような企業でもデジタル化した業務が円滑に浸透するという利点となります。
3つ目の「ローコードツールによる提供」という特徴は、カスタマイズ可能なローコードツールを提供することで、組織特有のニーズに応じたソリューションを迅速に構築できるという利点となります。
このように、プラットフォーム型テクノロジーの導入では、組織全体にまたがる広い範囲での効率化が可能であり、標準化できる業務を一括でデジタルに置き換えることが可能なため、テクノロジー化を一足飛びに推進することが出来ます。
【図1】プラットフォーム型テクノロジーの導入イメージ
「モジュール型テクノロジー」の紹介
「モジュール型テクノロジー」では、その中でも今回最新技術や技術の組み合わせを使ったテクノロジーを例に挙げてご紹介いたします。
1.面接業務の標準化や非効率解消を図りたい場合
面接内容を自動で書き起こし、分類してくれるテクノロジーを使うことで、面接後の考課業務を効率化することができます。
また、面接時に記録した面接官の表情や音声を分析する機能を組み合わせることで、傾聴率や表情を数値的にレポートにすることができ、面接官の標準化が可能になります。
2.職場への物品持ち込みを避けて効率的に勤怠管理をしたい場合
IDカード等を持ち歩くこと自体がリスクとなる職場(食品工場や医療現場等)でも、生体認証(顔認証)を使ったテクノロジーを使うことで効率的に勤怠管理をすることができます。
また、認証時の生体情報をAIで分析するテクノロジーも併せて活用すれば、ストレスチェッカーの機能も持つことが可能です。
3.コミュニケーションにより、社員のエンゲージメント向上を図りたい場合
携行型のウェアラブルセンサーとAIを組み合わせたテクノロジーを使うことで、収集した行動データを複数の項目で細分化し、各個人にカスタマイズされた幸福感向上に有効なアドバイスを日々自動的に作成、配信することができます。アドバイスとしては、職場でのコミュニケーションや時間の使い方に関して具体的な提案をしてもらうことが可能です。
このように、企業にとって高い効果を発揮すると見込まれる場合や、他の既存テクノロジーに手を入れる必要がない場合は、ピンポイントで手を打つことができるテクノロジーも有効な手段となります。
ただし、いずれもテクノロジーを導入するだけでは意味がありません。
導入したテクノロジーを、企業ごとに異なる具体的な業務やアクションに落とし込む必要があります。
一見当たり前のようですが、テクノロジーの導入が目的となってしまわないように、正確な目的設定や業務の変化点を整理することが重要となります。
これらは、実際に当社が多くの企業様へ支援をする中で重視している点でもあります。
【まとめ】 ~テクノロジー紹介~
「プラットフォーム型テクノロジー」と、「モジュール型テクノロジー」の2つに分けて、どのような特徴や機能があるのかをご紹介しました。いずれにしても、どちらを選ぶのかという判断を誤らないことが重要となります。
「プラットフォーム型テクノロジー」の場合は、広い範囲に手を打つことになりますし、「モジュール型テクノロジー」の場合は、顕在化している課題に手当をするようなアプローチになります。
ただし、導入コストや導入後の保守・運用のことまで考慮すれば、長期的な観点からは「プラットフォーム型テクノロジー」から始める方が、後々の不整合や帳尻合わせ的な改修は不要となります。
そのため、直近で明確になっている課題や、導入するテクノロジーをどれだけの期間使う前提なのかということを含めて、よりそれぞれの会社に合ったテクノロジーを選ぶことが重要です。
また、「プラットフォーム型テクノロジー」の導入から当社が支援をさせていただく場合には、単なる導入に終始してしまうのではなく、既存システムの取捨選択も含めて丁寧な整理をさせていただきます。
次回コラムでは、引き続き当社によるテクノロジー導入の支援事例をご紹介していきます。
今回ご紹介した内容で気になる点やご不明な点がある方は、是非弊社までお問い合わせください。
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この記事の執筆者
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小川 嘉一HR事業部
シェアードサービスビジネスユニット長
マネージングディレクター -
沢里 翔子HR事業部
マネージャー -
小森 聖人HR事業部
シニアコンサルタント
職種別ソリューション