グループ経営の間接業務を最適化する方法
この記事の要約
本記事では、グループ経営における間接業務改革を解説します。事業特性に応じたSSC・BPO・統制の組み合わせ、業務・システムの型化、RPA・VBA・AI活用に向けた業務設計、地域SSC/BPOと全体方針の定め方を整理します。
この記事を読むとわかること
- グループ経営で間接業務が肥大化しやすい理由
- ビジネスタイプ別にSSC・BPO・統制を組み合わせる考え方
- M&Aや再編に対応する業務・システムの型化の方法
- RPA・VBA・AIを活かすための業務設計のポイント
間接業務が肥大化する“構造”を見抜く
日本型のグループ経営では、間接部門が厚くなりやすい傾向があります。背景には、雇用を守る文化や人員調整の難しさがあり、事業環境が変わっても人員と業務が“残り続ける”構造があるためです。
結果として、バックオフィス比率が相対的に高くなり、成長投資や新規事業への資源配分を圧迫します。ここで必要なのは「削減」だけを目的にすることではありません。ビジネスサイズに応じて、必要な機能を必要なだけ持つ状態に変えることです。
【図1】国別のバックオフィス比率比較と、日本型構造の示唆
ビジネスタイプ別に「SSC/BPO/統制機能」を出し分ける
グループ内に「成熟大企業型」、「M&A拡大型」、「成長企業」、「オーナー色の強い企業」などが混在するケースがあります。このとき「全社で同じやり方に統一する」と決めてしまうと、合意形成が進みません。
このような場合、ビジネスタイプにより、SSCの必要性、BPO適合性、統制機能の置き方、改革スピードが変わります。ついては、企業のパターン/改革の目的を整理することが必要不可欠です。
- 企業のパターン分類軸:規模、事業の単一/複合、歴史、資本特性
- 改革の目的:コスト削減・生産性向上、統制の強化、余力創出
【図2】ビジネスタイプ別の業務改革の方向性
プラグインワークスとしての業務・システムの型化
グループ経営では、グループイン/アウトや再編がたびたび起こります。
毎回、ゼロから“自分の会社へ染める”活動を個々で行っているとM&Aによる効果が小さくなり、本来得られる果実が十分に得られないことも多いと思います。
このような課題に対応するうえでは、業務・システムをパッケージ化し、子会社のグループインではそのパッケージを充てて、グループアウトする時にはそのパッケージを外す状態とすることが一つの解決策となります。このようなパッケージを持つことで、経営の機動力を上げることが可能です。
特にファンド傘下となる企業などは、早急な結果が求められることが多いため、「プラグインワークス」の仕組みを構築することで高い効果が得られるものと考えます。
【図3】再編を前提にした業務・システムのパッケージ化の考え方
RPA・VBA・AIを活かすための業務設計の必要性
DXはツール導入だけでは成果が出ません。RPA・VBA・AIは強力ですが、前提は「機械が処理できる定型」があることです。入力がばらばら、判断が属人、例外が頻発では効果が十分に引き出せません。
DX化の投資対効果を最大化するためにも、しっかりとした業務設計が必要です。定型的な業務を効率化することで、限られた人材をより高付加価値な業務へシフトすることが可能になります。
- 定型の定義を統一:拠点・会社ごとの判断基準を揃え、ルールを文書化します
- 例外処理を分離:例外は人が扱い、通常処理の自動化率を高め、自動化の部分は一連の処理にできるように寄せます
【図4】RPA・VBA・AIによる定型業務自動化のイメージ
地域SSC/BPOで“規模の経済”による効果を創出し、継続可能なものとする
ひとつの地域に拠点を持つ複数企業において、採用難・人件費上昇・法対応負荷の増大を背景に、単社での間接業務改革に限界を感じているケースもみられます。
このような場合、複数社(自治体単位)でSSC/BPOスキームを組成し、共通業務(申請・帳票・定型処理)をまとめて処理する形への移行を検討することが必要となります。複数社でスキームを組成することで、SLO/KPI運用やデータ整備など、個社では投資しにくい“改善の仕組み”を持つことが可能となります。このような仕組みはまだまだ構想段階ですが、日本全体としての生産性向上を目指すうえでは、地域の中小企業にとっては効果が大きいと考えられます。
【図5】複数企業・自治体単位でSSC/BPOを行い規模の利益を確保するスキーム
まとめ
各社/各グループの業態/特性に応じて、役割分担/SSC化/BPOスコープ/システムのパターンを包括して検討することが必要となります。 多くの企業において、それぞれ分けて取り組んでしまっていることで、施策全体としての効果が出づらい構造になっているケースがあります。
改革の第一歩として、全体としての方向性を定めることが必要不可欠となります。
【出典】
・【図1】:独立行政法人 労働政策研究 「データブック国際労働比較」
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