ROE(アールオーイー)

ROEとは

ROE(自己資本利益率)とは、Return on Equityの略称で、企業の自己資本(純資産)に対する利益の割合を表す財務指標です。以前は、株主の投資額に対して利益をどれだけ上げたかを意味していたため、株主資本利益率とも言われています。ROEが高い企業は、自己資本に対して効率よく利益を上げることができている企業だと言えます。
 
<計算式>
① ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100
② ROE(%)=EPS(一株当たり利益)÷BPS(一株当たり純資産)×100
なお、ROEは以下のように分解することもできます。
 
<計算式>
ROE=(当期純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷株主資本)
  =売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

ROEとROAの違い

ROEと似ている指標として、ROA(総資産利益率)があります。ROAは、Return on Assetsの略称で、企業に投下された総資産に対する利益の割合を表す財務指標です。つまり、ROEと違ってROAは、自己資本か他人資本かどうかを問わず、企業が資産をどれだけ効率よく使用して利益を上げることができているのかを表しています。
 
<計算式>
ROA(%)=当期純利益÷総資産(自己資本+他人資本)×100

ROEが注目される背景

ROEの概要とROAとの違いについて述べてきましたが、ROEが注目されるようになった背景についても説明したいと思います。元々、1980年代のバブル期までは日本企業の株式の多くは取引先企業や銀行が保有しており、株式持合構造になっていました。しかし、バブル崩壊により手放された株が外国人投資家の手に移ったことで、外国人投資家による保有比率が高まりました。そして、経営について株主からの要求が増していく中で、企業の利益効率を測るための指標としてROEが注目されるようになりました。さらに、経済産業省が2014年8月に公表した「伊藤レポート」によって、ROEはより注目されるようになったのです。

4.ROEを向上させるには

日本企業の平均ROEは2018年時点では9.4%となっていますが、米国は18.4%、欧州は11.9%となっており、欧米と比べると低いことがわかります。ROEを上げるためには、計算式からわかる通り、①売上高利益率と②総資産回転率、③財務レバレッジを向上させることが必要です。
 

<計算式>
ROE=(当期純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷株主資本)
  =売上高利益率×総資産回転率×財務レバレッジ
 

  1. 売上高利益率を向上させる方法
    売上高利益率を向上させるためには、売上高やその他収益を維持しつつ費用を削減するか、費用を抑えつつ売上やその他収益を増加させる必要があります。
  2. 総資産回転率を向上させる方法
    総資産回転率を向上させるためには、計算式の分母となる総資産を増やさずに売上高を増加させるか、分子となる売上高を維持しつつ総資産を減少させる必要があります。
  3. 財務レバレッジを向上させる方法
    財務レバレッジを向上させるためには、負債を増加させるか、資本を減少させる必要があります。
    しかし、費用削減の一環として人件費を削減したり、仕入先に無理を言って売上原価を削減したりすると、取引先との関係悪化や従業員からの反発等が生じる可能性があります。また、資産を減少させるために自社株買いをするという方法がありますが、自己資本比率が低下することになるため、企業の安全性が損なわれることになります。また、自社株買いが過剰になりすぎると、自社株を買うために資金を借り入れるという事態に発展する可能性もあるため、注意しなければなりません。

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