上意下達が悪い理由は?言語化型の組織風土改革

VUCA時代となり、問題領域が拡大しており、それに対応していくために人財の多様性がもとめられています。また指示通り動く人財ではなく自ら意思決定して動いていく人財が求められており、人財の変身が求められております。
人財の変身のためには組織風土そのものを変えていく必要性があります。しかし、組織風土改革は短期的に成果が出にくいため、どうしても途中で形骸化し、元に戻ってしまいがちです。
 
今回は組織風土改革を成功させるためのポイントをご紹介していきます。

時代が変わり求められるチームのあり方が変化

組織風土改革の依頼がここ数年非常に多くなってきています。その理由は、時代の変化が大きいからです。
昔は正解があり、未来予測も容易で、やることが見えていました。組織運営としては、指示通りに動く人財を求め、人財のキーワードは専門性と協調性でした。先が見えていたため、中期経営計画を立ててPDCAを回してくような組織運営でした。
しかし時代が変わり、正解がなく、未来予測が困難で、やることが次々に増殖していきます。組織運営としては、各現場で状況に応じて個人で意思決定して動いてくれる人財を求め、人財のキーワードは多様性と自発性となりました。先が見えないため、中期経営計画は作成した瞬間に陳腐化してしまいます。こうした中では、OODA型で状況を把握して対応していくことが求められています。選択と集中では対応できず、今は布石をいかに打っておけるか、が重要な経営のポイントとなっています。

イメージを図解していくと、昔は問題領域が小さく、求める人財は専門性をもって、指示されたことを真面目に愚直にこなす集団でした。しかし今は、問題領域が広く、今までの人財のままでは解決ができない状況であるため、求める人財は多様性となり、問題領域をカバーするような多彩で多才な多様性のあるメンバーを集めることが求められています。

その結果、各企業においては、人財が変わらないといけないということでリスキリングや、上意下達で指示通り動くのではなく、自発性をもって自ら意思決定し腹を括ってやりきる人が求められるようになり、組織風土改革、人財変身の問い合わせが非常に増えております。

【図1】問題領域と求められる人財能力領域

上意下達の何が悪い?

組織風土改革のプロジェクトを推進していく際に、背景、目的・狙い、内容、具体的効果が言語化されずに進んでいくことがたまにあります。何のためにこのプロジェクトをやるのですか?という目的・狙いを聞いても、手段的なことを回答されてしまうことがあります。そして、その手段をなぜやるのかをさらに深掘りすると回答を得られなくなってしまうことがあります。

なぜ風土改革をしたいのですか? 「心理的安全性を高めたいのです」
なぜ心理的安全性を高めたいのですか 「うちの会社は上意下達で。」
なぜ上意下達だとダメなのですか、指示を出してみんなが素直に動くならいいじゃないですか、なぜ上意下達だとダメなのですか? 「・・・」

このようなやり取りが発生します。「自発性を高めたい」なども同様で、なぜ自発性を高めたいのですか?と確認すると回答が詰まってしまうことがあります。

いかにも目的に見えてしまいそうなキーワードが羅列されるのですが、背景、目的・狙い、内容、そしてなぜ今実施する必要があるのか、などが言語化されておらず、ストーリーで語れないのです。これではそのプロジェクトの必要性が全社員に浸透せず、いずれ形骸化し、失敗します。言語化、ストーリー化が組織風土改革のプロジェクト推進においては非常に重要なポイントとなります。

「上意下達で何が悪いのですか?」このような質問に明確に背景、現状の実態、目指すべき姿などをストーリーで語れることが大事です。目的と手段、インプット/アウトプット/アウトカム、といったことを意識しながら、腹落ちするストーリーを作成することが重要です。

【図2】組織風土改革の目的の明確化

言語化型組織風土改革

我々は「プロジェクト憲章」という形で組織風土改革プロジェクトを推進していく際には、背景、目的・狙い、実施する内容、なぜ今やる必要があるのかの理由、全体の実行計画などを作成し言語化していきます。

組織風土改革のプロジェクトを支援してく中で、各企業においては様々なキーワードが飛び交います。
例えば「心理的安全性」「自発性」「コミュニケーション」「スピード」「イノベーション」「イキイキ」「感謝」「脱・上意下達」「チャレンジ(挑戦)」「リスペクト」「エンゲージメントメント」「会社と個人の縦の関係から横の関係へ」「褒める」「1on1」「HRBPの設置」「人材交流」「組織の壁の破壊」「女性活躍」「働き甲斐」「モチベーション向上」「イノベーション」「生産性向上」といった、組織風土改革においてはもっともらしいキーワードが飛び交います。
コンセプト、シンプルなキーワード、これは非常に重要です。しかし、そこに込められて想いや、そもそもの背景などをしっかりと言語化、明文化することが重要です。図も用いますが、しっかりと「読み物」として文章化していき、プロジェクト憲章という形にしなければいけません。

目的と手段、インプット/アウトプット/アウトカム、あるべき姿とそれを実現するための施策、そのような区別を意識しながらプロジェクト憲章として言語化していきます。これにより全従業員の多くが腹落ちして、組織風土改革への取り組みに積極的に参加して、一過性のお祭り、打ち上げ花火に終わらせず、組織風土改革が成功するまで続けられる取り組みとなります。
このプロジェクト憲章の内容をもとに、社内報的なもので全社員に定期的に取り組みや、マネジメント層の想いを発信していくことを継続していくことも重要です。

【図3】プロジェクト憲章

言語化型組織風土改革におけるPVMVCモデル

我々が言語化組織風土改革プロジェクトを推進していく中で、非常に重要としているのが「PVMVCモデル」です。これは弊社CHRO賢人倶楽部会長の八木氏が提唱しているモデルで、それを我々もプロジェクト推進の際に活用しております。プロジェクト憲章を策定していく中での重要なコンテンツとなります。

PVMVCの定義は以下のようにしております。
Purpose:組織の存在意義
Vision:一定期間に達成したい未来
Mission:達成した未来に向けた現実的・具体的なステップ
Value:行動・判断の基準や指針
Culture:(PVMを実現するための)組織メンバーにとっての当たり前

これらをしっかりと言語化していくことが組織風土改革推進において重要です。もちろん企業そのもののPurpose、Vision、Mission等が定まっており、浸透して、業務における判断基準になっているのであればそれを再確認するだけになります。しかし、多くの企業では、浸透しておらず、額に入れて壁に飾っただけのものとなってしまっていることが多いようです。その場合には再度しっかりとPVMVCを議論し、定めていく必要があります。特にVisionとして5年後10年後の姿、達成したい未来を明確にしていきます。

PVMVCを定めていくために、我々はNowファインディング(今の現実の分析による発見・気づき)、Willファインディング(ありたい姿の検討による発見・気づき)を実施していきます。基本的には全従業員を対象に、全社員アンケート及びキーマンヒアリング、担当者ヒアリングを実施して方向性を定め、組織風土改革推進者とともに議論していきます。組織風土改革推進者自体が決まっていない場合には、全社員アンケートやヒアリングによって、組織風土改革推進者自体を特定していきます。
詳細についてはお打ち合わせをさせていただきご説明をさせていただきます。

【図4】PVMVCモデル

組織風土改革の実現のために

組織風土改革においては、中長期での取り組みが必要です。1年程度で組織風土が変わるということはなく、3年5年と継続することで徐々に「なんかうちの会社、変わってきたね!」という実感を得られるレベルになります。組織風土改革に「魔法の杖」はありません。愚直にあらゆる施策を継続して実施していくことが重要となります。施策を実施してすぐに成果を求める方もいますが、「成果は3年後に出ます!」と覚悟を決めて施策を継続していく必要があります。

短くても3年は継続していく取り組みですので、しっかりと言語化してプロジェクト憲章という形で残していくことで、「どのような背景から、どのような狙いのもと、どのようなあるべき姿を目指して、この取り組みを実施しているのか」を『立ち返る場所」としていくことが重要です。プロジェクト憲章に立ち返り、新たな施策を検討し継続して実施していくことが組織風土改革成功の鍵になります。

組織風土改革においては

  • 踊り続ける狂信的な変革者の存在
  • 変革者をフォローする改革推進者の存在
  • ありたい姿(PVMVC)の言語化
  • トップマネジメント層の巻き混み
  • 頻度の高い定期的な社内への発信

といったことが重要となります。

我々が組織風土改革を支援する場合には半年程度でまずは現状分析、ありたい姿構築、そして施策立案・計画策定まで実施いたします。その後、施策実行の流れとなります。その間も社内報配信やプロジェクト憲章の策定及びブラッシュアップを実施していきます。

今回は概要レベルのご説明となりましたので是非ともお打ち合わせをさせていただき詳細内容や具体的事例などをご紹介させていただければ幸いです。

【図5】組織風土改革の進め方

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