予算・計画管理ソフトのイロハのイ
~何を選んだらいいの?~
特に予算・計画管理の分野は、今でも多くの日本企業でプロフェッショナル達の手により、莫大な工数・コストをかけて作り上げています。作るだけで精一杯で有事による作り直しやシミュレーション等にまで手を回す余力が残っていない、なんとかDXによる効率化・データの見える化を実現したい、と考えられている企業も少なくないと感じております。
「しかし、数多あるソフトウェアパッケージ(市販のソフトウェア製品)の中から自社のニーズにあったものはどれなのかわからない。」
今回はそのような課題に直面されている皆様に、ソフトウェアパッケージ選定のひとつの基準をシステムの構造の違いからお伝えします。
予算・計画管理システムの一般的な構造
まずは簡単に、予算・計画管理システムの構造をご説明します。
機能を大きく3つに分類すると「入力」・「計算処理」・「レポーティング・分析」の3つに分けられます。
「入力機能」にはシステムの機能を用いた直接入力、特定のファイル形式でのインポート、他システムと連携することによるデータインポートなどがあります。
「レポーティング・分析機能」にはシステム内で収集・処理したデータのシステム内でのグラフ・レポートの作成や、特定のファイル形式でのエクスポート、別システムへのデータ連携によるエクスポートなどがあります。
ここまでは、多くの方が直感的に理解しやすい機能ではないかと思います。
本日皆様にお伝えしたいのは「計算処理機能」の部分です。リアルタイムの計算処理を行い、常に最新の計算結果を参照可能とする、多次元DB(キューブ)の仕組みとその構造の違いについてです。
【図1】計画系システムの基本的なアーキテクチャ
多次元DB(キューブ)とは
それでは、多次元DB(キューブ)とは何なのか。
一言でいうと、多種多様なデータを多視点で管理することで、高速に扱えるようにしたデータベースのことで、管理会計に必要な多軸での集計・分析を可能とする保存形式です。
キューブはディメンション(切り口)とメジャー(考察対象)によって定義されます。例えば、商品の売上高(メジャー)を分析する際のディメンションとしては、「日時」、「製品」、「担当」などがあると考えられます。
また、キューブを構成する際には階層の定義が重要となっています。階層とは、集計結果を表示する順序を表すものです。例えば、「日時」のディメンションに対しては「年」、「月」、「日」、また「担当」のディメンションに対しては「部」、「課」、「担当者」などがあります。ディメンションと階層を定義し、組み合わせることにより、キューブではあらゆる角度からの詳細な分析を可能としています。
【図2】キューブのディメンションと階層の設計
予算・計画管理システムの種類
さて、前置きが長くなりましたがここからが本題です。
前述したキューブの運用において、ソフトウェアパッケージ間で大きな違いがあります。大きく分類すると、「単一キューブ運用型」、「小規模キューブ連動型」、それらを組み合わせた「ハイブリッド型」の3種類があります。
「単一キューブ運用型」では1つの大きなキューブに対し、領域ごとに定められた担当範囲に対して各々が入力することによってキューブを作り上げていくイメージです。
それに対し、「小規模キューブ連動型」ではディメンションを任意に組み合わせた小規模なキューブを複数作成し、それらのキューブ同士を連携させることによって、入力~計算~出力を完全連動させています。
ここでのタイプの違いによって、得手不得手が存在することになります。
【図3】キューブの運用タイプによる構築の違い
キューブの特徴によるシステム選定の基準
それでは、それぞれのキューブタイプによってどんな特徴があるのでしょうか。
「単一キューブ運用型」はソフトウェアパッケージ間でのコンセプトに大きな違いがないので、製品に拠らず開発が可能で比較的シンプルでわかりやすく、ウォーターフォール型の開発に向いています。その反面、一度構築したあとの大幅な変更は難しい特徴があります。また、機能としては、収集と集計作業の効率化が中心であり、全ての業務をシステムで完結できないことが多いです。
「小規模キューブ連動型」ではソフトウェアパッケージ間でコンセプトや機能が異なるものが多く、製品固有の特性を理解した人でなければ構築が難しく、不用意にキューブを作りすぎると複雑化してしまうなど、開発上の難易度は高めです。しかし、構築後でも機能変更・追加が容易で、計画の作り込みも含めて業務プロセス全体のIT化が可能であり、会計以外の領域(SCM等)での実績もあるなど柔軟性・カバー範囲の広さに特徴があります。
生産計画・販売計画連動での経営計画策定例
「小規模キューブ連動型」による業務プロセス全体のIT化の例としては、当社コンサルティング事例のひとつに生産計画・販売計画と連動した経営計画の策定を実現したものがあります。
【図4】販売計画・生産計画と連動した経営計画
この事例では、販売計画を受けての生産計画の策定、それを受けての所要量展開といったところの品目・得意先別数量をフルリンケージすることによって、個々の計画から財務諸表へのシステムでの連動を実現した事例となっております。
当記事にてお伝えしたように、予算・計画管理システム導入検討の際は、導入領域・範囲と難易度・コスト側面も適正に判断し、ソフトウェアパッケージ選定の判断軸として取り入れられてみてはいかがでしょうか。
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