単なる事務局で終わらない
VUCA時代のプロジェクトマネジメントとは!

変化の激しいVUCAの時代において、日々状況も大きく変わっていきます。
多くの企業では経営環境の変化への対応のために、様々なプロジェクトを企画し推進しています。
しかし、こうしたプロジェクトが上手く進まずに、当社にご相談いただくことも多々ございます。
 
今回は、変化の激しい時代においてプロジェクトを成功させるために求められる、プロジェクトマネジメントのあるべき姿についてご説明させていただきます。

変化の激しい時代はOODAループでの対応が必要

あるべきプロジェクトマネジメントをご説明する前に、まずはVUCA時代におけるプロジェクトについて考えていきたいと思います。

昨今VUCAという概念が広く浸透しております。VUCAは「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」の頭文字をとった言葉ですが、端的にいうと「周りの環境の変化が激しく、複雑性を帯びており、将来の予測が困難な状態」です。

こうした変化の激しいVUCAの時代において、常に変化に柔軟に対応できるようにするためには、下図のようなOODAループでの対応が不可欠です。

【図1】環境変化に柔軟に対応するためのOODAループ

「プロジェクトの成果」とは何か?

それではそのような変化の激しいVUCA時代において、変化に対応できるような「プロジェクトの成果」とはどのようなものでしょうか。

プロジェクトにおいては、『成果物=成果』ではありません。成果物はあくまでも目的を達成するための一つの要素にすぎません。「成果」は、「プロジェクトにおける目的の達成(実現)」です。
即ち、目的(成果)を明確にしたうえで、その目的を達成するために必要な成果物を設定し、計画を立てて遂行していくことが必要です。

しかし、変化の激しいVUCAの時代においては、当初に定めたとおりに遂行していくことが必ずしも正しいというわけではありません。何をしたいのか、何を実現したいのかといった目的を重視し、柔軟に進め方も変化させながら対応していくことが重要です。

実際に2021年に改定されたPMBOKの第7版においても、第6版と比較し「プロジェクトのパフォーマンス領域」にウェイトを置いた内容となっています。
これは、VUCA時代における環境変化を想定した内容といえるでしょう。

【図2】パフォーマンス領域にウェイトがおかれているPMBOK第7版

陥りがちなプロジェクトの失敗例

では、「あるべきプロジェクトマネジメント」とはどのようなものでしょうか。
プロジェクトマネジメントのあるべき姿を考えるにあたり、よくあるプロジェクトの失敗理由として以下の3点をご紹介します。

【図3】よくあるプロジェクトの失敗理由

① 目的(ゴール)が不明確/共通認識化ができていない

何をしたいのか、何を実現したいのかといった目的(成果)が不明確な場合や、共通認識化が図れていない場合、目の前の成果物の完成に集中してしまい、ふたを開けてみたら当初の目的を達成できなかった、ということになりかねません。

マーケティングの格言に、「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく「穴」である」といった言葉があります。これはマーケティングの格言ですが、プロジェクトにおいてもまさに重要な点がここにあるのではないでしょうか。
目的が不明確な場合や共通認識化が図れていない場合、全員が目的を理解したつもりになって、ドリルを売ることに必死になり、本来実現したい「穴」を達成できるかは二の次になってしまうのです。

② 誰も決断しない

変化の激しい時代においては、日々環境の変化が起こるため、様々な場面で柔軟な判断を求められることとなります。この時、重要な事項や影響度の大きい事項になればなるほど、誰も最終判断をしなくなる(したがらない)という事態も生じます。
誰かに判断をゆだねようとすると、万が一のことを気にして誰もリスクを取らなくなり、目的をすべて満たせなかったとしても結局現行踏襲、といった結論になってしまいます。

③ 組織間の壁

役割分担を明確にすることは非常に重要なことですが、役割分担を明確にしていたとしても環境変化によって、グレーゾーンのタスクが生じてしまうことが多々あります。
組織間に高い壁がある場合、「多分、向こうがやっているだろう」といった思い込みや、「向こうのタスクだ」といった決めつけを双方でしてしまうことにより、直前までタスク漏れが明らかにならず、ぎりぎりになってスケジュールや品質に影響が判明することにもなりかねません。

あるべきプロジェクトマネジメントとは

よくある失敗例を起こさないために、どのようなプロジェクトマネジメントが必要となるでしょうか。
先にご説明した失敗例ごとに考えていきたいと思います。

① 目的(ゴール)が不明確/共通認識化ができていない

変化の激しい時代では目的(ゴール)は明確にするものの、そこまでの道筋には柔軟性を持たせておくことも必要です。
しかし、目的(ゴール)自体がぶれてしまったり、目的(ゴール)と手段が置き換わってしまったりしてはいけません。
このような状態を避けるためには、スタート時点で上位層のメンバーだけでなく全メンバーでの目的の共通認識化を図るとともに、プロジェクトを進める中で中身に入りこみながらも客観的な立場で全体を俯瞰し、軌道修正を図るように仕向けていくことが重要となります。

② 誰も決断しない

このような状態を避けるために、ステアリングコミッティという組織をプロジェクト内に設け、重要な事項はステアリングコミッティメンバー総意で決めていく、ということも解決策の一つとなります。
(軽微な決め事は、変化に即座に対応できるよう現場レベルに委譲します。)
もちろんこのようにしてもボールの押し付け合いとなることも想定されるため、ステアリングコミッティの中で客観的な立場で事実や意見も交えながら、しかるべき人にボールを持たせる役割が重要となります。
この時、誰かに押し付けるのではなく、客観的な事実や意見をもとに各々に役割を持たせ、進め方を全員で決めていくことで納得感にもつながっていきます。

③ 組織間の壁

セクショナリズムを壊すために、組織を横断した横串活動体を設け、意思疎通を円滑にすることも重要です。ただし、セクショナリズムの意識が強い場合は、横串の活動体を設けただけでは十分に機能せず、結局横串活動体内部でグレーゾーンが生じてしまうといった結果にもなりかねません。そこで、客観的な立場からグレーゾーンを早期に明らかにするとともに、積極的にグレーゾーンに飛び込み、グレーゾーンを潰しこんでいくといった活動が重要となります。

【図4】組織間の壁を壊しグレーゾーンをなくす

せっかく立ち上げたプロジェクトがうまく進まないと、いろいろなところに影響が生じることとなってしまいます。変化の激しい時代だからこそ、将来起こる事項が事前に予測でき、計画に沿って遂行すればよいという考えを捨て、柔軟性と要点を抑えたプロジェクトマネジメントが重要となってきます。

今回は、そんなプロジェクトマネジメントの要点についてご説明させていただきました。
皆様のプロジェクトと共振し、成功させるべくお力になれればと考えております。
詳細については、是非お問合せください。

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この記事の執筆者

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