ダイバーシティ&インクルージョン
1.ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは何か
ダイバーシティとは直訳すると「多様性」であり、様々な属性の人々が集まった状態を指します。インクルージョンとは直訳すると「包括」であり、会社内の全人財のスキルや考え方が包括的に活かされている状態を指します。したがって、ダイバーシティ&インクルージョンとは、社内において多様な属性の人々が等しく自身の価値観や能力を存分に発揮する機会がある環境を指しています。権利尊重の観点から、他者と異なる価値観や外見であることによる不都合が生じないように、会社側が環境を整えることが必須課題となっています。
2.D&Iの種類
ダイバーシティと聞くと、多くの方は「女性活躍」や「性的マイノリティへの配慮」といったことを思い浮かべます。しかし、ダイバーシティにはほかにも多くの軸があります。ダイバーシティの種類は2つに大別されます。
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デモグラフィ型多様性
デモグラフィ型多様性は、外見や言語といった、外から確認できる要素に対する多様性です。多くの方が考える「性別」や「人種」の多様性はこの型です。社内人事における「女性管理職率の増加」や「外国人取締役の増加といった施策は日本国内でも多く行われています。 -
自分表出型多様性
自分表出型多様性は、スキルや経験、性格といった、外からは確認できない要素に対する多様性です。社員が今までにどのような経験をしてどのようなスキルを獲得したか、どのような性格を有しているのかといったことは、当人に開示してもらうことで初めて他者の知るところとなります。そして、企業のイノベーションに正の影響を与えるとされるダイバーシティはデモグラフィ型ではなく自分表出型です。
しかしながら、国内企業では表面的な多様性に対する対応が中心となってしまい、自分表出型ダイバーシティに考えが至っていない現状があります。
3.社内のD&Iを改善させるために何をすべきか
D&Iを実行し、経営を向上させるには3段階の取組が必要です。
まず、社内にD&Iの重要性を啓蒙し、取り組むべき課題であるとの共通認識を得ることが大事です。第一項でも記した通り、D&Iは国際的に取組必須の課題とされており、取り組まないことは企業に対する信頼の喪失につながります。企業発展のための最重要課題であるとの認識を会社全体で共有することが前段階となります。
次に性別や人種といった、デモグラフィ型多様性を高める施策を実行することが必要です。国際的に満たすべき最低限の多様性を確立する「守り」の姿勢が大事です。
そして、最終的には経営と多様性の両軸を達成するために、自己表出型の多様性を目指していくことが必要です。会社独自に「個」の多様性を認識し、活かしていくことは、人事だけでなく経営向上策の一環であり、「攻め」の多様性といえます。