ジグソーパズル型チームビルディング

正しく処理をする働き方を重視する時代は終わろうとしており、各人の強みを活かし、イノベーションの創出が求められる時代となってきました。カリスマ性のあるリーダー1人に頼る組織ではなく、メンバー全員がリーダーシップを発揮していく組織が、勝ち残る組織になってきます。
 
今回は非常に面白い興味深い本からの引用で、「ジグソーパズル型チームビルディング」を当社の事例も交えてご紹介させていただきます。

自分の強みを生かして働く

昔は、平時で先が見える時代でした。よって中期経営計画を立てて、PDCAを回していくことで企業も成長していきました。大量生産、大量消費の時代です。企業は徹底した効率化をして、ミス、失敗が許されない均一性が重要視されていました。
従業員に求められたのは、『指示通りに働く』ことでした。イメージとしては関ケ原の戦いのように総大将がいて、足軽隊、騎馬隊、鉄砲隊、と指示通りに動くことが求められました。
今はVUCA時代であり、経済的有事、先が見えない時代です。よって状況把握をして動いていくOODA型が求められています。さらに世の中がモノであふれており、均一性ではなく多様性が求められる時代となりました。
従業員に求められるのは『自分の強みを生かして働く』ことです。イメージとしては「海賊王になる」というキャラクターのチームのように、それぞれの強みを活かして協力し、イノベーションを起こすことが求められております。
リーダーシップとしてはシェアードリーダーシップ、つまりカリスマ性のあるリーダー1人に頼る組織ではなく、メンバー全員がリーダーシップを発揮していくことが重要となります。

時代が大きく変わっている中で、昔ながらのやり方に依存して抜け出せていない企業も多くあるのではないでしょうか。

【図1】時代の変化

ジグソーパズル型チームビルディング

非常に面白く興味深い本に出会いました。チームビルディングについてジグソーパズルで表現をしている本です。仲山 進也著『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』です。一節をご紹介します。

 

この本では、「グループ」が成長して「チーム」になる、と考えます。どういうことかもうちょっと深掘りしてみてみましょう。やや唐突ですが、ジグソーパズルをするときのことをイメージしてみてください。 ① まず、ピースの形や色、模様で分類して、ざっくり並べます(仮置き)。 ② 次に、ピースの凸凹を組み合わせる作業を進めていきます。 チームづくりは、ジグソーパズルに似ています。

出典:仲山 進也著『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則』(講談社)

 

つまり、①で分類して仮置きした状態は単にグループに分かれただけで、②で凸凹を組み合わせてピースとピースがはまった状態がチームだということです。各企業のチーム作りにおいては、②まで進まず、①で止まってしまっている状態だ、と著者は訴えます。

人はそれぞれ強み弱みがあります。それがジグソーパズルのピースの凸凹です。個人の強み弱みを理解し、互いに補い合うことでしっかりとしたチームになっていきます。著者の本のタイトルのとおり、今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームになっていきます。

実はこの考え方は我々が多くの企業を支援していく中での、いわゆる「哲学」に非常に合致しております。上記の内容はD&Iのインクルージョンそのものであり、違いのある人材が集まり、違いを受け入れるリーダーがいて、違いを受け入れる組織であることが重要です。違いのある他者から学び、組織として継続的に学習をすることで、イノベーションにつながっていきます。

【図2】ジグソーパズル型チームビルディング

個を活かすチームビルディング

人には凸凹(強み弱み)があります。それを自分自身も理解し、チームメンバーにも理解してもらい、「互いに自分の凸(強み)でもって相手の凹(弱み)を補ってあげる」、「自分の凹(弱み)を相手の凸(強み)で補ってもらう」、という利他の心でチームとしてのパフォーマンスを上げていきます。

当社が支援させていただく際には、互いに凸凹を理解し合うための様々なアプローチ(自分史作成、マイパーパス策定、Assimilation 等)を駆使して、自分のありのままを理解する、自分らしさを理解するといったワークショップを実施させていただきます。ご興味があれば是非ともお問い合わせいただければ幸いです。

そして個を活かすチームビルディングとして重要となってくるのが、個の成長を促す環境を用意していくことです。言い換えれば「潜在力」を引き出す環境を整備することです。
例えば、失敗してもいいから挑戦してみて、といった場合には、結局失敗することが多いです。それよりもちょっとストレッチした、届くか届かないかギリギリの目標をしっかりと設定して、適度なプレッシャーがあるほうが、ヒトは研ぎ澄まされ、成果をしっかりと出してきます。その時に、認めてあげて、誉めてあげることが大切です。
他には、ヒトは頼られると頑張ります。よって信じて、任せることが大切です。
このようにチームメンバーの個を活かすための環境を用意していくことが重要となります。

【図3】自分表出の様々なアプローチ

事例のご紹介

風土改革、チームビルディングにおいては、各社各様のアプローチでご支援をさせていただいております。風土改革には魔法の杖はなく、長い期間をかけて変革をしていく必要があります。各社でどのような取り組みを、手を変え品を変え実施しているか、少しご紹介いたします。

サービス業A社:自分史の共有

プロジェクト型でお客様にサービスを提供していくA社様では、プロジェクトごとにチームが組成されてメンバーが入れ替わります。そこで、プロジェクトがスタートした段階で、メンバー全員で「自分史(パーソナル・ルーツ)」(今までの人生のやる気変遷、人生に大きな影響を与えた出来事や言葉、大切にしている軸)を作って、共有し合い、メンバーが何を大事にしているのか、どのような思いで仕事をしているのか、を理解し合います。
マネージャーの意外な一面も垣間見えて心理的安全性が高まるといった効果があり、チームビルディングに有効に機能しております。

システム会社B社:グランドルールの設定

開発、保守運用を提供しているシステム会社B社様は、正しく動いて当たり前、ミスなどがあるとクレームになる業界固有の文化が、社内にも根付いていました。上意下達で、風通しも悪く、チーム間の組織の壁も厚く、若手メンバーが発言をしない、といった状況で、実際にエンゲージメント調査結果は非常に低いものとなっておりました。
そこで社長自ら変革を覚悟され、自社のミッションに立ち返り、そこからグラウンドルール「みんなで知り、みんなで学び、みんなでやり遂げる」を掲げ、そこからブレイクダウンした行動規範を策定しました。一つ一つの会議の場で、グランドルール、行動規範を確認し、真に浸透するまで繰り返しました。その結果、エンゲージメントも高まり、若手からの発言も増えてきました。

製造業C社:成長実感フィードバックミーティング

エンゲージメント調査で、若手メンバーが成長を感じられていない、という結果になった製造業C社様では、毎月1回、チーム毎にメンバー全員参加型で、一人ひとりのメンバーについてリーダーからこの期間で成長したことを伝える「成長実感フィードバックミーティング」をスタートさせました。最初はやらされ感満載の雰囲気でしたが、繰り返すことで、若手メンバーも成長を感じられるようになり、エンゲージメントも高まるという結果になりました。

 

色々な風土改革、チームビルディングの事例がございますので、ご興味があれば是非ともお問い合わせください。

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この記事の執筆者

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