LTVの最大化を図るマネジメントとは?
~時間と空間を超えた価値創造を目指せ~

製品や顧客などの生涯価値(LTV:Life Time Value)という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、実際にはこの生涯価値を最大化するマネジメントが十分行われていないのではないでしょうか。日常的には短期的な企業活動(日次、月次、年次)のマネジメントが中心であるため、どうしても時間軸が長期的なLTVマネジメントが後回しになるからです。
今後の企業の持続的成長と企業価値の向上を図るためには、長期的視点から生涯価値の最大化を図ることは不可欠です。
今回は、生涯価値の最大化を図るためのLTVマネジメントのポイントをご紹介します。

LTVマネジメントとは

生涯価値(LTV:Life Time Value)とは、企業にとって特定の対象が過去・現在・未来に渡って生み出す価値の総額です。LTVマネジメントは、その特定の対象のLTVを時間的・空間的に捉えて、価値を最大化するようマネジメントしていくことです。
LTVマネジメントの対象としては、一般にプロダクト、顧客、物件(不動産・建築等)、プロジェクトなど様々な価値を生み出す対象があります。
 
今回は、プロダクトやモノを中心に、

  • 価値追跡型のLTVマネジメント
  • 価値獲得型のLTVマネジメント
  • 価値共感型のLTVマネジメント

といった3つのLTVマネジメントをご説明します。

価値追跡型のLTVマネジメント

モノの「所有」から「利用」へというユーザーの価値の転換に伴って、供給サイドが「どこで、いくら稼ぐのか?」という考え方も変革が変革が迫られています。
 
これまでのようにプロダクトは売ったら終わりではなく、売った後のサービスの重要性が高まっています。その結果、企画・開発から生産、販売、アフターサービスまでのライフサイクルを今までより長く捉える必要があります。
 
また、販売後にそれを動かすソフトウエアのアップデートや新しいアプリのリリースなどによって新たな価値をどんどん付け加えていける時代であることを考えれば、今後「アフターサービス」という概念も、従来とは大きく変わっていくのではないでしょうか。
 
即ち、サービスは「所有」後に従属するものではなく、まさに「活用」するための手段そのものとなり、供給サイドにとって重要な収益源へと変わってくるのです。
 
このような変化に対応し、これからは「モノを売る」局面だけでなく、その後のサービスも含めたライフサイクル全体でコストをどれだけ掛け、いくらで提供して利益をどう稼ぐのかを考える必要があります。これが、価値追跡型のLTVマネジメントです。

【図1】価値追跡型のLTVのイメージ

一般にプロダクトのライフサイクルでは、企画・開発段階で多額の費用が発生し、生産・販売段階で、ようやく収益が発生します。その後、ライフサイクルを通じた累積利益はマイナスからプラスに転じ、その後もサービス提供に応じて増加していきます。
 
従って、ライフサイクルの出発点である企画・開発段階で、サービスまで含めたライフサイクル全体を見据えたトータルコストとプロフィットのデザインを行うことが重要なのです。

価値追跡型のLTVマネジメントの2つの事例

自動車メーカーA社

自動車メーカーA社でライフサイクル全体での収益分析を実施したところ、新車販売後のアフターサービス(補修品供給、整備など)で、ライフサイクル利益の大半を稼いでいることが判明しました。 アフターサービスによる利益の規模は、新車販売時の利益の倍以上です。しかも、一旦車を売ってしまえば、ユーザーの多くはメーカー指定工場に整備を依頼し、純正サービスパーツを使用するので、競争環境は新車販売ほど激しくありません。
 
そこで販売時にはできるだけ安く売って販売台数を増やし、アフターサービスの受注機会を増やすことで利益を稼ぐという戦略に切り替えました。
 
この他にも、顧客別のサービス利用度に応じて新車販売価格をコントロールする、純正部品比率や指定整備工場への入庫率の向上を図るといった方法で、利益の最大化を図っています。

自動車メーカーB社

自動車メーカーB社では、販売済みの車両からIoT技術によって送られてきた車両稼働情報や、ディーラーから送られてくる販売・サービス実績情報などのビッグデータを活用しています。
 
これらを基に、車の使われ方に応じた故障箇所や部品ごとの寿命などを統計的に分析しました。例えば設計・開発部門では、コスト増要因である無償修理費を減らすべく、例えば少々コストが高くても耐久性の高い部品に変えるなどの対策を実施しました。

【図2】ビックデータを活用したLTVの向上

価値獲得型のLTVマネジメント

価値獲得型のLTVマネジメントは、プロダクトの周辺の関連マーケットにおける顧客価値を自らのビジネスモデルに取込んでLTVを拡大していくことです。
 
自動車マーケットで言えば、新車販売、アフターサービスだけでなく、ガソリン・電気、駐車場、移動(通勤、旅行、ドライブ等)、移動後(仕事、宿泊、観光)など、自動車を軸として周辺の顧客価値を取込みます。
 
価値獲得型のLTVマネジメントでは、ビジネスモデルのビジネス要素の組み合わせを変えることによって新たなビジネスモデルを生み出します。当社では、こうしたビジネスモデルの変革に当たっては、下記のバリューマップを利用します。

【図3】価値獲得型LTVマネジメントで利用するバリューマップ

先ずはバリューマップに検討対象の市場における顧客セグメントと市場プレーヤーをマッピングし、更に市場におけるビジネス要素を、バリュー、利用・使用、提供、モノ、ソフト、サービス、保守・メンテナンス、ファイナンスに分けてマッピングします。また、ビジネス要素と合わせてそれぞれの収益・コストもプロットすることにより、収益・コストマップも出来上がります。
 
次に既存のビジネスモデルの組み合わせを明らかにします。例えば、自動車市場におけるカーシェアリングならば「マンション居住者、便利に買い物、低コスト、所有の煩わしさ、車両、駐車スペース、予約システム、車両メンテ、時間貸し、サブスク(個人)」、レンタカーならば「旅行者、楽しく旅行、移動の煩わしさ、楽しい音楽、車両、ナビ、オーディオ、店舗、車両メンテ、時間貸し、レンタル」などとなります。
 
次に新しいビジネスモデルの組み合わせを考えます。例えば、「カーシェアリング」+「リモートワーカー、ブース、車内テーブル、Wi-Fi、充電、サブスク(法人)」で「リモートワークペース・シェアリング」とかのビジネスアイディアを出していきます。
 
このように価値獲得型のLTVマネジメントでは、市場のバリューマップや収益・コストマップから、新たな価値獲得を目指したビジネスモデルを創り上げ、LTVを最大化していくことが重要です。

価値共感型のLTVマネジメント

価値共感型のLTVマネジメントは、プロダクトの周辺における顧客の体験価値を共有・共感していくことにより、顧客価値を高めLTVを拡大していくことです。
 
価値共感型として有名なのが、東京ディズニーランドです。キャストがゲストに通常サービスを行いながら、常に気配りやホスピタリティのあるサービスを行うことにより、キャストとゲストの間に共感と感動が生まれ、熱烈なファンを創造しています。
 
このように、プロダクトやサービスを通じた顧客との接点において顧客体験価値を伴に共感して行くことによって、ロイヤルカスタマーというLTVを獲得するのです。
 
自動車業界では、SUBARUのSUBAROADが有名です。通常のナビアプリは、目的地への最短距離ルートや最短時間ルートを推奨します。しかし、SUBARUのお客様は走る愉しさを求めています。SUBAROAD は、「SUBARUのクルマを使ってもっとお客様に走りを愉しんでもらいたい」が出発点です。
 
SUBAROADは、「走る道のすべてを発見と刺激へナビゲートするドライブアプリ」と謳い、走る愉しさを追及したルートを選びます。筆者も幾つかのルートを体験しましたが、非常に刺激的で未知のドライブを体験できました。是非皆様も試しては如何でしょうか。
 
顧客の価値観が多様化する今後は、こうした価値共感型でLTVをマネジメントしていくことが増々重要になっていくと思われます。

今回は、LTVを如何にマネジメントし最大化していくかをご紹介させていただきました。LTVマネジメントの詳細については、是非お問い合わせください。是非皆様とLTVマネジメントを通じた企業価値創造に貢献していきたいと思っております。

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